「自動車用ワイパー」特許権侵害事件

2024-03-18

 事件の概要

 フランス某洗浄システム会社は、特許番号が200610160549.2、名称が「自動車用ワイパーのコネクタ及び関連の接続装置」の特許権者である。同社は、自動車部品会社であるアモイ盧某汽車配件有限公司らがワイパー製品を製造、販売する行為は係争特許権の侵害を構成すると判断し、アモイ盧某汽車配件有限公司らに対して侵害の停止、経済的損失の賠償および権利保護に関する合理的支出600万元の賠償の判決を命じるよう請求した。一審手続きにおいて、フランス某洗浄システム会社は訴訟中行為保全を申し立て、アモイ某汽車配件有限公司らに対して侵害の即刻停止を命じるよう請求した。その後、一審法院は先行して部分判決を下し、アモイ某汽車配件有限公司らが権利侵害を構成すると認定し、その侵害の停止を命じる判決を下したが、関連の行為保全申立を同時に処理しなかった。アモイ某汽車配件有限公司らはこれを不服として控訴した。フランス某洗浄システム会社は控訴しなかったが依然としてその訴訟中行為保全の申立てを維持した。最高人民法院は事件の受理から40日後に公開法廷において即日判決を下し、一審判決の機能的特徴の認定を訂正した上で、控訴を棄却し、原判決を維持する判決を下し、かつ判決において関連の訴訟中行為保全申立てに対して事件の状況に基づき支持することが可能であることを示し、一審判決が控訴により一時的に執行力を失うという法的効力の空白を補った。

 典型事例の意義

 本件は最高人民法院知的財産権法廷の設立後に審理を経て「初めて判決が下された」事件であり、法廷が国レベルの知的財産権事件控訴審理メカニズムにおいて裁判機能を果たすことを初めて公に示した事件である。本件の判決は知的財産権保護の強化という方向性を鮮明に示したものであり、かつ有益な試みとなった。実体面では、機能的特徴の認定基準を明確化し、特許権の保護範囲に対する不当な制限・縮小を回避することにより、特許権者がその技術的貢献に適した権利保護範囲を獲得する状況を確保した。手続き面では、「先行的な判決+一時的な禁止命令」の判決方法による速やかかつ効率的な権利救済を提唱し、当事者の「裁判に勝って、市場に負ける」状況を回避した。

 (事例出典:中華人民共和国最高人民法院新聞局)

 

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