事件の概要
原告は某映像作品の著作権者、被告の科学技術会社Aは車載システム応用管理サービスの提供者、被告の動画会社Bは権利侵害作品コンテンツの提供者、被告の新エネルギー会社Cは某ブランド自動車メーカーである。原告は、3社の被告が許諾を得ずに、某ブランド自動車の動画ソフトウェア車載APPでテレビドラマのオンライン配信サービスを提供したことは、原告の情報ネットワーク伝達権を侵害すると主張し、被告3社による権利侵害の停止、損失の賠償、謝罪を求めた。
法院は審理を経て次のように判断した。B社が権利侵害動画を動画ソフトウェアの車載ネットワークサーバに保存し、ユーザーに配信サービスを提供したことは、原告が係争著作物に対して有する情報ネットワーク伝達権を侵害するものである。A社はB社と協力し、当該ブランド自動車の車載システムにおける動画ソフトウェアの車載APPのデプロイ、展示、普及、会員向けセットプランの提供および料金の徴収を担当し、A社は係争著作物の提供行為の参加者、受益者として、B社と共同権利侵害を構成することから、B社と連帯して責任を負うべきである。両被告の賠償金額は原告の経済的損失および合理的支出計5万元とする。
典型事例の意義
本件は全国初の「IoV(車のインターネット)」に係る著作権侵害事件であり、車載システムの提供者と著作物の提供者による分業・協力を通じて著作権を侵害する行為が、共同権利侵害を構成することが初めて認定された。本件は「IoV」に係る著作権事件の審理にとって有益な参考事例になるとともに、「IoT(モノのインターネット)」などの新たな状況の下の著作権侵害事件の審理における論理的思考の手本となり、デジタル経済の健全な発展に資するものである。
(事例出所:北京インターネット法院)