「中華人民共和国商標法」(以下商標法と略する)の第十条一項(8)によると、「社会主義の道徳・風習を害し、又はその他の不良な影響を及ぼす」標識であったら、商標として登録してはならない。何が「その他の不良な影響」がある標識であるのか について、まだ明確な説明がついていない。2005年3月23日に国家商工業行政管理総局商標局(以下商標局と略する)が(2005)商標異字の第00366号「G2000」商標異議裁定書を作って、具体的な判例によって、この条項に含まれた1つの重要な内容を解釈した。
この訴訟事件の背景情況は次のようである。縦横二千有限会社(以下異議者と称する)が1992年12月20日に許可を得て「G2000」の商標(以下例証商標と称して、商標登録番号が第623170号である)を登録した。例証商標はアルファベットの「G」と数字の「2000」から組み合われていている。例証商標は登録した商品が第25類の「服装、靴、帽子、手の袋、ベルト」などの商品を含んでいるが、第25類の「靴下、手袋(服装)、マフラー、肩掛け、ネクタイ、服装帯(服)、帯、ベルト(アパレル用) 」などの商品を含まない。2000年に2月12日に被異議者の杭州市上城区藍星スポーツ用品店(以下被異議者と称する)も 商標局に「G2000」の商標(以下被異議商標と称して、初審の公告番号が第1617424号である)を登録すると申請した。この商標もアルファベットの「G」と数字の「2000」から組み合われていて、指定された商品が第25種類の「靴下、手袋(服装)、マフラー、肩掛け、ネクタイ、服装帯(服)、帯、ベルト(アパレル用)」であった。商標局はニース協定が制定した類似商品とサービス分類表によって例証商標を使っている商品と被異議商標を使っている商品とを第25類の違いグループに分けて置いたのである。商標局の一貫した扱い方はこの二つのグループの商品が互いに類似していないと認定するのである。このような状況の下で、被異議商標が商標局の初審にパスして公告された。
異議者がこの情況を発見した後、北京集佳知的所有権代行有限会社に委託して、杭州市上城区藍星スポーツ用品店(被異議者)が商標局の初審にパスしてに第783号の「商標の公告」に 掲載した第1617424号「G2000」商標(被異議商標と称する)に対して異議を出した。
異議者の異議理由は次のようである。異議者「G2000」のブランドが1985年に創立されて、異議者の英文名称「Generation 2000 Limited」を源としたものである。1987年に異議者はシンガポールで最初の支店を開設して、2000年7月まで、中国、香港、マカオ、シンガポール、マレーシア、韓国、タイなどの国家と地区を渡って300軒以上の支店を経営している。異議者は多くの国家と地区で「G2000」商標を登録した。中国では、異議者の商標が登録した商品は服装、靴、帽子、手の袋、ベルトなどを含でいる。そして、異議者は各大手新聞、『?麗』 、『週末画報』などのファッション雑誌と週刊の上で異議者の「G2000」商標を宣伝していた。異議者の長期の使用と強力な宣伝を通って、異議者の商標はすでに高い知名度を得て、有名な商標になった。被異議商標と異議者の商標が完全に同じであるし、被異議商標を使い、指定された商品と異議者の商標を使った商品とは生産、用途、機能、販売ルート、販売場所などの面においてほとんど同じであるから、すでに類似商品においての同一又は類似商標になってしまって、混淆しやすくて、誤って見分けやすい。被異議者は故意的に被異議の商標を登録したのであって、その行為は不当競争の行為に属する ものである。被異議商標が登録されたら、消費者の誤認を招き、異議者の商標を稀釈し、異議者の先に取得した商標権利とメーカーの名称を侵害して、不良な影響をもたらした。以上の事実と理由に基づいて、商標局は以下の商標法の三つの条項によって、被異議の商標を登録させないべきである。
1、商標法の第九条第一項: 登録出願にかかる商標は、顕著な特徴を有し、容易に識別でき、かつ他人の先に取得した合法的権利と抵触してはならない。
2、商標法の第十条第一項(8)によって、「その他の不良な影響がある」標識であったら、許可して登録させない。
3、商標法の第十三条が次のように規定している。 同一又は類似の商品について出願した商標が、中国で登録されていない他人の著名商標を複製、模倣又は翻訳したものであって、かつ同著名商標と容易に混同を生じさせる場合には、その登録を認めずその使用を禁止する。同一又は非類似の商品について出願した商標が、中国で登録されている他人の著名商標を複製、模倣又は翻訳したものであって、かつ公衆を誤認させ、同著名商標権者の利益に損害を与え得る場合には、その登録を認めずその使用を禁止する。
被異議者の答弁理由は次のようである。被異議者は合法的に創立した企業で、被異議商標はこの前登録した「2000」 商標に基づいて設計されたものである。被異議商標を使った商品と異議者の商標を使った商品とは機能において違いがあって、類似した商品ではない。異議者の商標は有名ブランドではなく、拡大した保護を得るべきではない。
当事者の述べ た事実と理由に 基づいて、商標局は次のように判断する。
被異議商標はアルファベットの「G」と数字の「2000」から組み合われていて、指定された商品は第25類の「靴下、手袋(服装) 、マフラー、肩掛け、ネクタイ、服装帯(服)、帯、ベルト(アパレル用)」であった。商標登録出願日は2000年で 2月12日である。異議者の例証商標もアルファベットの「G」と数字の「2000」から組み合われていて、登録した番号は第623170号で、使用を定めた商品は第25類の「服装、靴、帽子」で、許可して登録した期日は1992年12月20日である。 双方の商標は英文と数字の組合せが同じで、すでに類似商標になってしまった。異議者に提供された登録明細書、広告宣伝費用明細書、広告宣伝費用などの証拠材料によって、異議者の例証商標がすでに中国大陸を含めて多くの国家と地区で長期をわたって広範に使用されて、そして宣伝をしていたことがわかった。異議者の例証商標 は「服装」などの商品 においてすでに ある程度 の知名度があった。被異議商標と異議者の例証商標とは非常に類似して、被異議商標を使った商品と異議者の例証商標を使った商品とは同一の分類に属して、商品の生産の原料、機能・用途、販売ルート、販売場所などの面においてほとんど同じである。特に被異議商標に指定された商品の中に、「手袋(服装)、服装帯(服)、ベルト(アパレル用)」は服装装飾用品であって、異議者の例証商標を使った商品と密接に関連しているから、被異議商標を登録して使用したら、消費者に誤って被異議商標の商品が異議者のものであると思わせやすい。そのせいで商品の真実な出所がわからなくなってしまって、誤って見分けて誤って買うことをして、不良な影響がもたらしやすい。
最後、「中華人民共和国商標法」の第十条第一項の(8)、第三十二条によって、商標局は次のような裁定をした。異議者から提出された異議の理由が正当で、第 1617424 号「G2000」商標の登録を認めない。
これより分かるのは、異議者によって提出された適用できる3つの商標法の中から、商標局は二番目の条項を採用した。つまり商標法の第十条第一項の(8)によると、「その他の不良な影響がある」標識であったら、許可して登録させない。この裁定 は重要な意義を持った。まず、それは商標局の商品類似性 に対する判断との一致、商標局のニース協定 によって制定した類似商品とサービス分類表との統一性を守った。次に、高い知名度を持っているがまだ有名ブランドのレベルに達していない商標に比較的に容易で且つすばやい保護方案を提供した。最後、この案件は今後の商標審査に対して指導的意義を持つ。 |