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No.120 March.28, 2016
 
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目 録
ニュース
中国専利紛争の司法解釈が4月1日から施行
中国商標局が「三厳三実」を実践、役務商標出願人に対する7つの措置
注目を浴びる中国、特許出願件数が急増
中国のイノベーション能力が世界18位に上昇
中国「第12次5か年計画」で独占事件100件近く摘発、クアルコムなどが制裁受ける
中国の特許出願数、増加率で1位 欧州特許庁が発表
注目事件
江蘇衛視のお見合い番組「非誠勿擾」に商標権侵害判決
商標局の規定「新規役務商標の通知」は違法 法院が判決
「新百倫商標権侵害事件」 NewBalanceに賠償金9,800万元支払いの判決
集佳の最新動向
集佳が2016年INTA年次総会中国エリア宣伝会議を共催
集佳が「2015年度北京市優秀専利代理機構」に選出
公益活動は止まらない、希望は途上にある――集佳が支援する11、12校目の希望小学校建設計画が始動
 
 
ニュース

 
中国専利紛争の司法解釈が4月1日から施行

 
  中国最高人民法院は3月22日午前に記者会見を開き、《専利権侵害紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈(二)》(以下、《解釈二》と略称)を4月1日から施行すると通知した。最高人民法院民事裁判第三廷の宋暁明裁判長が《解釈二》に関する状況を紹介した。

  宋氏によると、2009年12月、最高人民法院は《専利権侵害紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈》を公布した。専利法の正しい実施を確保し、専利権侵害の判決・決定基準を統一化・具体化し、科学技術イノベーションの専利裁判に対する新たな要請に速やかに応えるため、最高人民法院は専利権侵害の判定基準に関する司法解釈を改めて起草することを決定した。《解釈二》の条文草案は16回にわたる修正を行い、最高人民法院審判委員会の議論を経て、最終的に可決された。

  《解釈二》は計31条で、主として請求項の解釈、間接侵害、規格実施による抗弁、合法的出所による抗弁、侵害行為の差止、賠償額の計算、専利無効の侵害訴訟への影響など、専利裁判実務における重点的な難題に関わる。

  司法保護を強化し、専利訴訟における「期間が長い、立証が難しい、賠償額が低い」といった顕著な問題の解決に努める。

  《解釈二》第21条に定められた専利の間接侵害制度は、専利権者に対する保護を一層強化したもので、現在意見を募集している専利法改正草案にも類似の条文がある。実務において、間接侵害者と発明創造を最終的に実施した侵害者との間に意思疎通がなければ、共同侵害を構成しない。しかし、間接侵害者が自己の提供する部品などが専利権侵害製品に用いることしかできないことを知りながらもなお侵害者に提供した。間接侵害者に明らかに主観的な悪意があり、かつ間接侵害者が提供する部品は直接侵害行為に専ら用いられる物品である、または第三者が専利権侵害行為を実施するよう積極的に誘導したことに鑑み、その行為を権利侵害責任法第9条が規制する範囲に入れた。

  宋氏は間接侵害制度について、「現行の法的枠組を超えて専利権者に規定外の保護を与えることを意味するのではなく、権利侵害責任法の適用における然るべき意義であり、専利権者の保護強化という客観的現実に適合する」と述べた。

  「立証が難しい、賠償額が低い」という問題について、《解釈二》第27条では、専利権侵害訴訟における賠償額の立証規則に関してある程度の改善を施した。専利権者の初歩的な立証ならびに侵害者の証拠把握状況をもとに、侵害者の利益取得に係る立証義務を侵害者に分配し、それを専利法第65条に定められた賠償額の計算順序と関連付けた。

  事件審理期間が長いという問題について、《解釈二》第2条では、「先に提訴却下の決定を下し、別途提訴する」制度を設けた。つまり、専利復審委員会が専利権無効審判の決定を下した後、専利権侵害紛争事件を審理した法院は、行政訴訟の最終結果を待つことなく、「提訴却下」の決定を下すことができ、また「別途提訴」を通じて権利者に司法救済の手段を与えることができる。《解釈二》では、手続上で提訴却下の決定を下すのであって、実体上で訴訟請求棄却の判決を下すわけではないと規定しており、これは無効審判の決定が行政判決・決定によって覆された場合であっても、権利者は別途提訴することができることを意味している。

  利益均衡の原則を維持し、権利者の正当な権益を保護するとともに、専利権の不適切な拡張を回避する。

  専利法第70条によると、使用者、販売許諾者、販売者による合法的出所による抗弁が成立する場合、その賠償責任を免除することができる。争点は、善良な使用者が合法的出所を証明し、かつ合理的な対価をすでに支払ったという状況で、使用を停止すべきか否かにある。最高人民法院は、検討および関係する立法部門の意見を求めた上で、「専利権の排他性は強いが、無制限に拡張してよいということではない。専利法は専利権者のためだけにある法ではない。専利権者の一方的な利益ばかりを強調し、善良な使用者の正当な利益を顧みることなく、善良な使用者の合理的な空間を占領し、取引の安全を妨害することは、専利法第70条の本来の意図ではなく、利益の均衡を重んじる法律の基本的な精神にも悖る。ゆえに、《解釈二》第25条では、但し書きにより、すでに合理的な対価を支払った善良な使用者の使用停止責任を排除した。つまり、使用者が主観的に善意であり、客観的に合法的出所を提供し、かつ当該侵害製品を取得する際に販売者に合理的な対価を支払ったならば、専利権の禁止力拡大を阻却すべきである」と考えた。

  侵害行為差止の判決をめぐる問題に関して、《解釈二》第26条では、「通常、侵害者が権利侵害行為を行い、侵害行為停止の法的責任を負担しなければならない。ただし、侵害者が係争侵害行為を停止することで、国の利益、公共の利益を損なう場合、法院は、係争侵害行為の差止ではなく、合理的な使用費の支払いを命じる判決を下すことができる」と定めた。(出所:人民日報)

 
中国商標局が「三厳三実」を実践、役務商標出願人に対する7つの措置

 
  中国共産党の大衆路線教育実践活動の成果を強化・開拓し、活動において「三厳三実」(「三厳」とは、厳しく身を修め、厳しく 権力を使い、厳しく自分を律すること。「三実」とは、切実に物事をなし、切実に創業し、 切実に身を持すること――訳注)の要求に確実に応えるため、商標出願人に高効率かつ便利な登録出願サービスを提供し、「大衆による起業・イノベーション」をよりよく支援するため、以下の7つの措置を制定する。

  一.《商標登録出願における典型的問題のガイドライン》を整理し、公布する。商標登録出願の受理の取り組みにおけるよくある難題を総括し、新商標法と《商標法実施条例》施行後に生じた新たな状況や問題を踏まえ、商標登録出願において多くの出願人が関心を寄せる問題および典型的な問題を整理して《商標登録出願における典型的問題のガイドライン》を作成し、中国商標網で公開する。

  二.一部の商標業務において提供する証明資料について、今後は公証を求めない。商標出願人の負担を軽減し、業務の処理時間を短縮するため、肖像または著名人の氏名を商標図案とする商標の登録出願、商標の譲渡・抹消、外国語の名義もしくは所在地の商標の訂正申請業務を処理するにあたり、出願人に対して、提供する証明資料に対する公証を求めない。

  三.補正通知書の内容を具体化する。出願人が要求どおりに補正を行うよう促し、実情をもとに補正通知書に解釈または指導的な内容を適度に追加することで、出願人がより的確かつ正確に文書の補正、再提出を行えるようにする。

  四.複数の登録異議申立事件において同一式の証拠資料を使用することを許可する。同じ一か月の間に異議が申し立てられた事件について、当事者が提出しようとする証拠資料が完全に同一であり(一部同一ではない)、かつ第一の事件(異議申立の時間に準ずる)において証拠資料一式を提出した場合、他の事件において証拠資料を提出しなくてよい。ただし、目立つ位置に、資料一式が挟まれた事件記録の番号(被異議申立商標の予備審定番号または商標局の異議文書受領番号)を明記しなければならない。

  五.異議の併合範囲を拡大する。相手方当事者が同一、被異議申立商標が同一、同一の証拠資料を使用するもしくは当事者が相互に異議を申し立てる事件については、併合する。当事者は、その他の理由があると考える場合、併合を申し立てることができ、商標局は、審査の結果、併合の条件に適合すると考えた場合、併合することができる。

  六.商標登録後の簡易審査手続を開始する。緊急性があり、重大な理由があり、かつ確実に迅速な処理が必要な商標の変更や譲渡、更新申請など、商標登録後の業務について、出願人は、書面の申請および関連証明文書を提出することができる。商標局は審査後、条件に適合すると考えた場合、迅速な審査を行い、出願人による関連業務の処理時間を縮小することができる。

  七.中国商標網のユーザーエクスペリエンスを改善する。「中国商標網」のコーナー設置を改善し、内容を速やかに更新し、ウェブサイトの安定性を高める。商標状態の照会機能を整備し、「拒絶通知の受領」などの流れに関する情報を追加し、出願人が業務の進捗を追跡しやすくする。

  以上の措置は公布日から実施する。(出所:国家工商行政管理総局商標局)

 
 
注目を浴びる中国、特許出願件数が急増

 
   
  グローバル経済が持続的に疲弊する中、イノベーションは今なお市場で奇跡を起こし続けており、世界のイノベーションの中核的な力となる実力あるアジア企業が増え続けている。世界知的所有権機関(WIPO)は、世界のイノベーションの焦点はアジアに移行しつつあるが、中でも中国の成長が目覚ましく、特許出願件数が数年連続で最も高い成長率を示しているとの見方を示している。

  WIPOの官報によると、2015年、世界の特許出願件数は前年比1.7%増の21万8,000件に上った。そのうち、米国は約5万7,400件、日本と中国はそれぞれ約4万4,200件、約2万9,800件で2位、3位だった。

  また、同官報によると、2015年特許出願件数の増加率は、米国が16.8%で1位、韓国が11.5%でそれに続いた。米国の特許出願件数は6.7%低下した。

  WIPOの分析によると、出願件数の増加は主として中国、日本、韓国によるものである。アジアの特許出願件数が世界に占めるシェアは2005年比で2倍以上に増えており、現在43%に上る。

  WIPOのフランシス・ガリー総幹事は「米国が世界をリードする地位を保持する中、イノベーションの焦点がアジア、特に日本、中国、韓国へと移行している」と述べた。

  統計データによると、中国の特許出願件数の増加率は2013年、2014年も世界1位であった。これについて、WIPO中国事務局の陳宏兵氏は「中国の科学技術イノベーション能力が向上し、輸出依存度と知的財産権事業が目覚ましく発展している最高の証だ」と述べた。

  ただ、中国イノベーション企業のグローバル競争における参加度が深まるにつれ、知的財産権に起因する国際紛争が増えている。中には、知的財産権を国際競争に加わるためのツールとして使いこなせておらず、海外進出の過程で保護貿易主義の「障害」に遭遇する中国企業もある。例えば、小米(シャオミ)の携帯電話はインドで特許問題により禁止令を受けた。

  中国企業が国際化を遂げるには、特許、知的財産権戦略を企業成長戦略の一環とし、早急な検討、全面的な計画が必要だとする専門家の指摘もある。(出所:重慶日報)

 
 
中国のイノベーション能力が世界18位に上昇

 

  中国共産党第18回全国代表大会以降、科学技術体制改革の諸任務が急進し、科学技術が経済・社会の発展に対する支援的・牽引的役割が日増しに際立っている。2015年、中国の科学技術進歩の寄与率は55.1%に達し、国のイノベーション能力は世界ランキングで18位に上昇し、科学技術体制改革が実質的な進展、段階的な成果を挙げた。

  科学技術部のデータによると、現在、中国初の16の科学技術・金融結合モデル地域における中小企業向けの科学技術貸付金の累計増加額は1兆2,000億万元余りで、ベンチャーキャピタルとプライベートエクイティ(PE)の科学技術企業に対する投資額は7,000億元を超え、2015年の全国における専利の質権融資額は500億元を突破した。

  「改革は際限なく続き、イノベーションは止まることを知らない。今後、中国は科学技術体制改革を一層推進し、改革に対する空前の決意とイノベーションの知恵により、社会・経済構造の転換、発展を主導し、荒波の中で中国という巨大な船を着実に前進させるだろう」と専門家は指摘する。(出所:新華網)

 
 
中国「第12次5か年計画」で独占事件100件近く摘発、クアルコムなどが制裁受ける

 

  発展・改革委員会の公式ウェブサイトの情報によると、「第12次5か年計画」(2011~2015年)の期間中、国家発展・改革委員会はあくまでも改革を掘り下げ、自由化と管理を組み合わせ、事中・事後の管理監督を強化し、独占禁止法の執行を積極的に推進し、競争政策の段階的な実施を促進し、公平な競争を維持し、消費者の利益を保護することにより、経済・社会発展の市場環境を絶えず改善してきた。全国で摘発された価格独占事件は計97件、経済制裁の実施額は103億9,700万元であった。そのうち、国家発展・改革委員会が直接摘発した事件は29件、省級の価格主管部門が摘発した事件は68件。独占契約事件の摘発件数は76件、市場支配的地位の乱用事件は13件、行政独占事件は8件であった。

  発展・改革委員会は「今後、競争政策を中国の経済政策体系に組み込み、独占禁止ガイドラインの起草と公平な競争審査制度の構築を早急に検討し、大衆が注目し、経済・社会づくりにおける競争の問題の解決をめぐって独占禁止ルールの改善に努める」としている。(出所:中国新聞網)

 
 
中国の特許出願数、増加率で1位 欧州特許庁が発表

 

  欧州特許庁(EPO)がこのほどブリュッセルで発表した2015年度の報告書によると、昨年、中国が欧州特許庁に提出した特許出願件数は5,721件で、2014年の4,680件に比べ22.2%増加し、欧州特許庁における特許出願件数の増加率では1位だった。

  中国が提出した特許出願はデジタル通信、コンピューター技術、電気通信技術の3つの技術分野に集中している。2015年、これら3つの分野が占めるシェアは50%から57%に増加した。デジタル通信分野のシェアについていえば、華為(ファーウェイ)が2度目の1位となり、エリクソン、クアルコムをリードした。中興(ZTE)は初めて4位に下落し、その後にはサムスン、ノキアが続いた。

  すべての中国企業の中で、華為は特許出願件数1,953件で、特許出願が最も活発な中国企業となり、中興は870件で2位だった。このほか、小米、騰訊(テンセント)、京東方(BOE)、中国電信科学技術研究院、阿里巴巴(アリババ)がランクインした。

  全体的にみて、欧州特許庁が受理した2015年の特許出願件数は計27万9,000件で、2014年の27万4,000件に比べて若干増加した。中国以外に、米国企業の特許出願件数も顕著に増加した。欧州特許条約(EPC)の締約国38か国の特許出願件数は2014年とほぼ横ばいだった。

  2015年、医療技術は再び特許出願件数が最も多い分野となり、2014年に比べ11%増加した。その他顕著に増加した分野には、「エンジン、ポンプ、タービン」、「製薬」、「測量」、「コンピューター」などがある。グローバル企業の中で、フィリップスは欧州特許庁への特許出願件数が最も多く、サムスン、LG、華為、シーメンスがそれに続いた。

  欧州特許庁のブノワ・バティステリ長官は「欧州特許庁が受理する特許出願件数が顕著に増えていることは、欧州が依然として世界のイノベーションセンターであり、魅力を備えた技術市場であることを示している。これは、欧州市場で高品質の特許保護を求める意向が企業と発明者にあることを反映している」と指摘した。(出所:新華社)

 
 
注目事件

 
江蘇衛視のお見合い番組「非誠勿擾」に商標権侵害判決

 

  「江蘇衛視の番組『非誠勿擾』(冷やかしはお断りの意味)は恐らく改名しなければならない」。2015年12月11日、広東省深セン市中級人民法院は、「非誠勿擾」の商標権侵害事件について、「一審判決を取り消し、江蘇省広播電視総台(以下、『江蘇衛視』と略称)、深セン市珍愛網信息技術有限公司(以下、『珍愛網』と略称)は金阿歓氏の7199523号『非誠勿擾』の商標権を侵害した」とする終審判決を下した。この事件の判決は、2015年末、社会的なトピックとなった。

  2009年、金阿歓氏は、国家工商行政管理総局商標局に商標「非誠勿擾」の登録を出願した。2010年9月、金阿歓氏の商標「非誠勿擾」は正式に登録が許可され、登録番号7199523号、使用範囲として第45類の出会い系サービス、結婚相談所等を指定した。

  江蘇衛視は2010年初頭から出会い系・お見合い系番組「非誠勿擾」の放送を開始し、優れた番組制作方法、画期的なお見合い・出会い方式で視聴者から幅広い支持を獲得し、省級衛星テレビ番組の視聴率記録を幾度も塗り替えた。

  金阿歓氏は商標権を侵害したとして、江蘇衛視を深セン市南山区人民法院に訴えた。南山法院は第一審で、「江蘇衛視による『非誠勿擾』の使用は商標としての使用であるが、それはテレビ番組であり、金阿歓が有する商標『非誠勿擾』が指定する使用範囲と異なり、非同類商品(役務)に属し、権利侵害を構成しない」と判断し、金阿歓氏の提訴を棄却した。

  金阿歓氏は一審判決を不服とし、上訴を提起した。深セン市中級人民法院は第二審で、「江蘇衛視の番組『非誠勿擾』は、役務の目的、内容、方式、対象などから判定すると、いずれも結婚相手募集、お見合い、出会いを提供する役務であり、金阿歓が有する第7199523号商標『非誠勿擾』が使用を指定する役務項目と同一である」と認定した。また「金阿歓の商標『非誠勿擾』はすでに商業的に使用されているが、江蘇衛視の知名度、番組の宣伝により、公衆に逆混同が生じる。同時に、江蘇衛視は『非誠勿擾』の放送を通じて、巨額の広告費用を徴収したことから、営利を目的として商業的に使用したことを証明するに足り、商標権の侵害を構成する」と判断し、最終的に番組名「非誠勿擾」の使用の即時停止を江蘇衛視に命じる判決を下した。

  江蘇衛視はこの事件について再審を申し立てた。

  講評:

  テレビ番組「非誠勿擾」の高視聴率により、この事件の判決は社会から広く注目を浴びた。この事件の審理結果は、法院が商標権侵害を構成するか否かを認定するにあたり、同類商品(役務)の認定について、《類似商品及び役務区分表》に従って機械的に判定すべきでなく、両者の内容、性質などを考慮した上で、両者の役務の類型が同一もしくは類似するか否かを客観的に判定すべきであることを示唆している。注目に値するには、国内での新興業態の進展に伴い、ある一つの商品もしくは役務が複数の属性を有する可能性を帯びるようになったことである。企業は商標保護意識を強化し、事前に商標の検索を全面的に徹底することで、第三者による商標権侵害を回避されたい。

 
 
商標局の規定「新規役務商標の通知」は違法 法院が判決

 

  北京知識産権法院は2015年9月17日、審判委員会の全委員により商標に関する行政事件の開廷審理を行った。対象となった事件は、安徽華源医薬股份有限公司(以下、「華源医薬公司」と略称)が商標登録の出願が却下されたため、国家工商行政管理総局商標局(以下、「商標局」と略称)を被告として提起した行政訴訟である。

  事件の始まりは2012年に遡る。2012年12月14日、商標局は《標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定》の決議を執行するため、《小売又は卸売に係る新規役務商標の登録出願の関連事項に関する通知》を公布した。この通知の第4条では、新規商標登録出願の過渡期を設け、期間を2013年1月1日から1月31日までとし、「この期間内に同一もしくは類似の新規役務項目において提出された登録出願については、同一の日に出願されたものとみなす」と定めた。

  2013年1月4日、新規役務商標の通知の執行を開始してから第一の業務日に、華源医薬社は商標局に対して商標登録出願を提出した。出願商標は中国語の「華源医薬」と図形で構成され、使用範囲として第35類商品を指定した。その後、新たに2社が商標「華源」の出願を提出した。2014年10月23日、商標局は上述の3社による商標登録出願について、《商標登録同日出願協議通知書》を作成し、「3つの商標出願は類似し、かつ未使用である」と判断し、3社に対し「30日以内に協議を行い、出願人として1社を留めること。協議により合意に達しない場合、商標局が抽選により、出願人を確定する」と通知した。華源医薬社は商標局の協議通知書を受領した後、直ちに北京知識産権法院に行政訴訟を提起し、当該協議通知書の取消しと決定のやり直しを商標局に命じる判決を法院に求めた。

  北京知識産権法院は審理の結果、「商標局の《新規役務商標の通知》第4条の過渡期に関する規定は、実質上、中国の商標法第31条に定められた『同一の日』について再定義を行っており、商標局が主張する『法律をいかに適用するかについて解釈を行う』という範疇を超えている。したがって、商標局が下したこの規定はその法定の権限を越えている」と認めた。

  法院はこれに基づき、商標局に対し「商標局が2014年10月に下した、協議による出願人の決定を華源医薬社とその他の商標登録出願人に求める『商標登録同日出願協議通知書』を取り消し、華源医薬社が提出した『華源医薬』およびその図形の商標の登録出願について改めて審査の決定を下す」よう命じる判決を下した。

  講評:

  この事件は行政訴訟法の実施後、国の部・委員会が制定した規範性文書の合法性が司法審査を受けた初の事件である。この事件において、北京知識産権法院が試みた審判委員会による事件審理は法曹界から広く称賛され、「司法改革の大胆な試みであり、司法の権威の向上にとっても役立つものである。法院が部・委員会の規範性文書を違法とする判決を下したことは、さらに慎重で法に従った公権力の行使を促すことにつながる」と評価された。

 
 
「新百倫商標権侵害事件」 NewBalanceに賠償金9,800万元支払いの判決

 

 広州市中級人民法院は2015年4月、米国の著名スポーツ用品ブランド「New Balance」の係争商標をめぐる商標権侵害事件について一審判決を下し、「米New Balance社の中国における関連会社、新百倫貿易(中国)有限公司(以下、『新百倫社』と略称)は、他者の登録商標『新百倫』を使用したため、他者の商標専用権に対する侵害を構成する。相手方に賠償金9,800万元を支払わなければならない」と判断した。この事件は、広州市中級人民法院において賠償額が過去最高となった知的財産権事件でもあるという。

  米New Balance社は1906年に創立され、1990年代に中国市場に進出した。当時の訳名は「紐巴倫」であった。しかし、「紐巴倫」は後にNew Balance社の当時の中国におけるメーカーによって登録され、両者はそれぞれ異なった道を歩んだ。New Balance社はその後、中国市場で「新百倫」という名称を使用し始めたが、予想外にも新名称は「権利侵害」の苦境に陥った。

  2013年、広州の自然人周楽倫氏は新百倫社を提訴し、「自分は商標『百倫』、『新百倫』を有している。新百倫社は製品の宣伝、販売時に、長期的かつ大量に商標『新百倫』を使用し、自分が有する登録商標の専用権を侵害した」と主張した。

  新百倫公司はこれに対し、「商標権侵害に該当しない。自身は2003年から『新百倫』という語を広く使用している。当時の商標『百倫』はまだ商業的に使用していなかったが、『新百倫』という語は米New Balance社の意訳、音訳の結合により生まれた中国語名称である。また、新百倫社はその高い知名度により、他の商標にただ乗りする必要がない」と抗弁した。

  広州市中級人民法院は審理の結果、「原告が登録商標『新百倫』を取得したことを知りながら、被告は販売、宣伝においてなおも広い範囲で『新百倫』の標識を使用し続けた。したがって、被告の『新百倫』という語の使用は善意による使用に該当すると認定することはできず、『新百倫』に対して先行権利を享有するという被告の主張は成立しない」と認め、商標「新百倫」の使用停止、ならびに原告への9,800万元の賠償を被告新百倫社に命じる判決を下した。

  新百倫社は一審判決を不服とし、上訴を提起した。2015年11月、この事件は広東省高級人民法院で公に開廷審理が行われた。現時点で判決の結果は出ていない。

  講評:

  中国経済の急成長に伴い、中国市場はすでに海外ブランドにとって市場シェア争奪戦の舞台となり、中国語商標の登録、使用が避けられなくなった。「新百倫」商標事件の第二審はまだ判決が出ていないとはいえ、この事件は中国に進出する外資企業、海外市場に進出する中国企業に対し、「法律には地域性があり、後の紛争を避けるためには、製品を販売していない時点から知的財産権対策を徹底したほうが得策である」という重大な警鐘を鳴らしている。

 
集佳の最新動向

 
集佳が2016年INTA年次総会中国エリア宣伝会議を共催

 

  国際商標協会(INTA)が主催し、北京集佳知識産権代理有限公司、北京市集佳律師事務所が共催する2016年INTA年次総会中国エリア宣伝会議が3月23日午後、北京のWホテルで開催された。INTA中国グローバルアドバイザリー委員会連合主席、不正競争委員会副主席の李永波氏、INTA模倣防止執行委員会の趙雷氏が出席したほか、最高人民法院の裁判官、有名大学法学院の教授、企業界の代表、業界関係者計100人余りが来賓として会議に出席した。

  会議は趙雷氏が進行役を務めた。趙氏は共催者である北京集佳知識産権代理有限公司のパートナーでもあり、まず今回の会議の来賓に熱烈な歓迎の意を表し、続いて会議の主な講演者を紹介した。趙氏は「宣伝活動を通じて、企業、業界のINTAに対する理解を深め、交流を増進し、知的財産権活動のさらなる円滑化に向けて支援を提供したい」と語った。
 


会議の進行役を務める趙雷氏

  INTA代表者のスピーチ

  続いて、李永波氏が主催者であるINTAの代表として発言した。李氏は「INTA年次総会宣伝会議は、3年連続で国内の法律事務所と協力し、北京、上海などで相次ぎ開催された。宣伝活動を通じて、国内の代理機構、事務所が国際商標協会に対する理解を深め、INTAが5月に開催する年次総会に広く注目してほしい」と語った。李氏はまた、「今年のINTA年次総会は5月23日から5月25日の日程で米フロリダ州オーランドにて開催される。企業、業界の関係者の皆様には積極的にご参加いただき、この祭典を成功させたい」と語った。

  
スピーチをする李永波氏
 

  今回の宣伝会議はシンポジウムとカクテルパーティの2つの部分で構成された。

  中国のIPをめぐる争点および策略分析シンポジウム

  国際貿易の発展、特にOEM問題が業界から広く注目される焦点となる中、今回の会議では、最高人民法院のベテラン裁判官、大学法学院の教授、事務弁護士を招き、それぞれ裁判官、研究者、弁護士の視点からOEM問題について踏み込んだ分析を行った。

  裁判官は長年にわたる審理の典型的事例を通じて、具体的な法律条文を踏まえ、OEM問題をめぐる司法政策について権威的な解説を行った。曲三強教授は理論的な検討の視点から、OEM問題における国家主権と私有権との間の対立について踏み込んだ分析を行った。最後に、北京市集佳律師事務所の李永波パートナーは弁護士の実務の視点から、代理事件を踏まえ、OEM問題に対する考えを語った。

 
裁判官が典型的事例を解説
 
 
素晴らしい講演を行う曲三強教授

  会議では、企業などで知的財産権に携わる関係者が各自関心を寄せる問題について、専門家、研究者と幅広い交流を行った。先見性のある問題をめぐる深みのある議論が裁判官、研究者の称賛を得て、「これらの問題を各自の専門分野と絡めて模索することにより、企業が実際に直面する知的財産権の問題を解決する上での手本を提供できる」と評価された。


講演者に質問する参加者
 

  カクテルパーティ

  IP(知的財産権)をめぐる3時間に及ぶシンポジウムは各参加者が理論面での議論や実践面での交流を行う場となった。続いてのカクテルパーティでは、リラックスした雰囲気の中で、顔を合わせた交流が行われた。参加者はINTA年次総会の情報、商標分野における注目トピックについて意見を交換したほか、多くの新たな交友関係を結んだ。

  国際商標協会(INTA)の会員機構である集佳は長年にわたりINTAとの高度な提携を維持しており、注目トピックをめぐるシンポジウム、宣伝カクテルパーティを複数回共催した。集佳はINTAの諸活動を積極的に支援しており、こうした活動を通じて、企業界の管理者が国際商標協会に対する理解を深め、商標関係者同士の友情を増進し、商標分野における問題の改善と解決に努め、中国の知的財産権事業をよりよく発展させ、進歩させることを望んでいる。

 
 
集佳が「2015年度北京市優秀専利代理機構」に選出

 

  首都知的財産権サービス機構事業会議が3月9日午前、北京花園飯店で開催された。北京市知識産権局の汪洪局長、李鐘副局長、国家知識産権局条法司の董琤副司長、北京市知識産権局専利管理処の王徳道処長、党建新副処長、北京市専利代理人協会の李毅副会長などの幹部が会議に出席し、スピーチを行った。会期中、北京市の優秀な専利代理機構に対する表彰と授賞が行われ、集佳は「2015年度北京市優秀専利代理機構」に再び選出された。集佳のパートナー、王学強代表がトロフィーと賞状を受け取った。

  《首都知的財産権サービス業発展促進に関する意見》を実施し、首都の専利代理業界の健全かつ急速な成長を後押しし、業界の信用レベル、社会的公信力を高め、専利代理機構の最適化・強大化を奨励し、専利代理の有資格者の職業倫理、職業スキルの向上を激励するため、北京市専利代理人協会は北京市知識産権局の指導の下で、北京市の優秀な代理機構、代理人の選出活動を行っている。代理機構の全体的な業務レベル、職員1人あたりの代理業務量など複数の要素を加味し、書類の申請、審査、専門家の評価、結果の公告を経て、最終的に専利代理機構10機構が選出された。

 
 
公益活動は止まらない、希望は途上にある――集佳が支援する11、12校目の希望小学校建設計画が始動

 

  中国青少年発展基金会はこのほど、北京集佳知識産権代理有限公司に寄贈証書を授与し、中国青少年発展基金会が取り組む「希望工程」(経済的な理由により就学のできない子どもへの支援や、貧困地域の小学校の新築改修を行う活動――訳注)に対する集佳の長期にわたる支援に感謝の気持ちを示すとともに、集佳の2015年と2016年の寄付金計80万元を2つの希望小学校の建設に充てた。これにより、集佳が支援する11、12校目の希望小学校建設計画が始動した。

  今回、集佳が建設を支援する2つの小学校はそれぞれ雲南省玉竜ナシ族自治県塔城郷中心学校と湖南省邵東県界嶺中心小学校である。

  界嶺中心小学校は界嶺郷金星鋪村に位置し、児童の出身地は金星、金市、金鳳、向栄の4つの村。既存の普通教育クラスは6つで、在籍児童は380人、学齢前クラスは1つで在籍幼児は68人、教職員は16人。この学校の主要な校舎は倒壊の危険性のあるD級老朽危険建築物(A~D級までの4段階、D級が最も深刻――訳注)で、教員用の宿舎はない。地盤が狭く、地形が平らでないため、児童が活動するスペースが狭く、付帯施設も完備されておらず、児童は学習、生活面でさまざまな困難を抱えている。

  塔城郷中心学校の在校児童は450人以上(全寮制)。校舎は粗末で、特にレンガ・木造構造の建物の壁は柱石と分離しつつあり、潜在的な安全上の欠陥が深刻化し、教職員・児童の学習、生活および心身の健康に著しい悪影響を及ぼし、校舎の改造が喫緊の課題となっている。

  集佳が支援する希望小学校は、既存施設の改修を基礎に、界嶺中心小学校と塔城郷中心学校に新規の授業棟を建設し、その他教育施設を補填、整備する。完成すれば、より多くの就学適齢児童が両校に入学できるようになり、児童の就学環境が大幅に改善され、学校生活も実りのあるものに大きく様変わりする見込みである。

  春風化雨、物を潤して声なし。「1年に1つの希望小学校の建設を支援する」という約束を集佳は実際の行動により果たしている。瞬く間に10年余りが過ぎ去った。子供たちが書き綴る可愛らしい手紙を受け取るたびに、子供たちが描く明るい教室や、広々とした運動場で戯れる後ろ姿を目にするたびに感じるあの満足感と安堵感が、長期にわたって子供たちに関心を寄せる集佳の原動力となっている。

  希望工程実施25周年記念式典において、集佳は中国青少年発展基金会から「希望工程25年傑出貢献賞」を授与された。集佳にとってそれは栄誉ではなく、重責である。教育は人類の文化を伝承するものであり、教育に関心を寄せればより多くの希望をかなえられる。集佳は今後も希望工程の発展への注目と支援を継続し、国の公益事業に貢献を果たしていく。就学適齢児童の一人ひとりが子供時代の幸せと素晴らしさを持てることを願っている。