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No.124 July.28, 2016
 
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目 録
ニュース
財政部:「専利関係料金の減額に関する規則」の発表に関する通知
中国国家工商総局:6月末時点の中国の有効登録商標件数は1,122万3,000件
中国・欧州両局が特許分類分野の協力に関する了解覚書を更新
中国とイスラエルの特許審査ハイウェイ(PPH)モデル事業が 2016年8月1日より無期限延長に
注目判決
集佳がテンセントの「天天炫舞」商標権侵害事件を代理、一審で勝訴
集佳が「花花牛実業」に助力、主力商品の保護に向け障害を除去
集佳が「海瀾」に関する商標事件を代理、一審で勝訴
集佳の最新動向
2015年度の知的財産関連専門文章発表ランキング公表、集佳が社会組織類で1位を保持
集佳奨学金、IPにプラスのエネルギーを伝達——大連理工大学夏季実践班を集佳で開催
 
 
ニュース

 
財政部:「専利関係料金の減額に関する規則」の発表に関する通知

 

  「専利関係料金の減額に関する規則」の発表に関する通知 財税[2016]78号

  国家知識産権局、各省、自治区、直轄市、計画単列市の財政庁(局)、発展改革委員会、物価局、知識産権局,新疆生産建設兵団財務局、発展改革委員会 御中

  国務院「新情勢下における知的財産強国建設の推進に関する若干の意見」(国発〔2015〕71号)の要求の実施を徹底し、中国の専利事業の発展をよりよく支援し、企業と個人の専利出願及び保護の負担を軽減するため、「中華人民共和国専利法実施細則」(国務院令第569号)の規定に基づき、当部は「専利関係料金の減額に関する規則」(付属文書を参照)を制定し、貴局、貴会に配布する。これを順守されたい。

  財政部 国家発展改革委員会

  2016年7月27日

  付属文書:

  専利関係料金の減額に関する規則

  第1条 国務院の「新情勢下における知的財産強国建设の推進に関する若干の意見」(国発〔2015〕71号)の要求を徹底するため、「中華人民共和国専利法実施細則」の関連規定に基づき、この規則を制定する。

  第2条 専利出願人又は専利権者は、次の各号に掲げる専利関係料金の減額を請求することができる。

  (一)出願料(公布印刷費、出願追加料金を含まない)

  (二)特許出願の実体審査手数料

  (三)維持年金(専利権が付与された年から6年以内の維持年金)

  (四)再審請求料

  第3条 専利出願人又は専利権者が次の各号に掲げる条件のいずれかに適合する場合、国家知識産権局に上述の料金の減額を請求することができる。

  (一)前年度の平均月収が3,500元(年間4万2,000元)を下回る個人

  (二)前年度の企業の課税所得額が30万元を下回る企業

  (三)政府系事業組織、社会団体、非営利研究機関

  二又は二以上の個人又は組織・機関が共同出願人又は共有専利権者である場合、それぞれ前項の規定に適合しなければならない。

  第4条 専利出願人又は専利権者が個人又は組織・機関である場合、この規則の第2条で定められた料金の85%を減額する。

  二又は二以上の個人又は組織・機関が共同出願人又は共有専利権者である場合、この規則の第2条で定められた料金の70%を減額する。

  第5条 専利出願人又は専利権者は、期間が満了していない料金の減額のみ請求することができる。出願料減額の請求は、専利出願と同時に行わなければならない。その他の料金の減額請求は、専利出願と同時に行うこともでき、料金の納付期間満了日の2か月半前に提起することができる。所定期限内に減額請求をしない場合、減額をしない。

  第6条 専利出願人又は専利権者が専利関係料金の減額を請求した場合、料金減額の請求書及び関連する証明書類を提出しなければならない。専利出願人又は専利権者は、専利事務サービスシステムを通じて専利関係料金減額請求を提出し、審査を経て届出が承認された場合、1暦年内に専利関係料金の減額を再度請求し、料金減額請求書を提出するのみでよく、関連する証明書類は提出しなくてよい。

  第7条 個人が専利関係料金の減額を請求する場合、料金減額請求書に本人の前年度の所得状況を事実のとおりに記入するとともに、所属する組織・機関が発行した年度の所得証明を提出しなければならない。定職に就いていない場合、戸籍所在地又は常居所の県級民政部門又は郷鎮人民政府(街道弁事処)が発行する、自身が経済困難事由証明書を提出しなければならない。

  企業は、専利関係料金の減額を請求する場合、料金減額請求書に経済困難事由を事実おとりに記入するとともに、前年度の企業所得税の年度納税申告表の写しを提出しなければならない。確定申告期間にある場合、企業は前年度の企業所得税の年度納税申告表の写しを提出しなければならない。

  政府系事業組織、社会団体、非営利研究機関は、専利関係料金の減額を請求する場合、法人証明書類の写しを提出しなければならない。

  第8条 国家知識産権局は、料金減額請求書を受け取った後、審査を行い、減額請求を承認するか否かの決定を下し、専利出願人又は専利権者に通知しなければならない。

  第9条 専利関係料金の減額請求が次の各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合、承認しない。

  (一)国家知識産権局が制定する料金減額請求書を使用していない。

  (二)料金減額請求書に署名又は捺印がない。

  (三)料金減額請求がこの規則の第2条又は第3条の規定に適合しない。

  (四)料金減額を請求する個人又は組織・機関がこの規則の第7条で定められた証明書類を提供しない。

  (五)料金減額請求書の中の専利出願人又は専利権者の氏名若しくは名称又は発明創造の名称が専利出願書又は専利登記簿の内容と一致しない。

  第10条 国家知識産権局の承認を経た料金減額請求について、専利出願人又は専利権者は、所定期間内に承認後の課税金額に応じた専利関係料金を納付しなければならない。料金減額請求が承認された後、専利出願人又は専利権者に変更が生じた場合、未納の料金について、変更後の専利出願人又は専利権者は、料金減額請求書を改めて提出しなければならない。

  第11条 専利関係料金減額請求の承認の決定を下した後、国家知識産権局がこの決定に誤りがあることが発覚した場合、それを訂正しなければならない。また、訂正の決定を専利出願人又は専利権者に速やかに通知しなければならない。

  専利出願人又は専利権者が専利関係料金の減額請求時に虚偽の状況又は虚偽の証明書類を提出した場合、国家知識産権局は、調査・確認の後、専利関係料金減額の決定を抹消し、専利出願人又は専利権者に、指定期間内に減額済の料金を追納するよう通知し、その当年度から5年間の料金減額資格を取り消さなければならない。期間が満了しても追納しない、又は追納額が不足している場合、不足額に応じて法に従い処理を行わなければならない。

  専利代理機構又は専利代理人が専利出願人又は専利権者による上述の行為の実施を幇助、指示、誘導した場合、関連の規定に従って処理する。

  第12条 この規則は、2016年9月1日から施行する。それ以前の関連規定とこの規則が一致しない場合、この規則に準ずる。

 
中国国家工商総局:6月末時点の中国の有効登録商標件数は1,122万3,000件

 

  6月末時点の中国の有効登録商標件数は1,122万3,000件で、世界の有効登録商標総件数の約三分の一を占めた。

  当日開催された商標登録利便化改革状況発表会での説明によると、今年上半期、中国の商標登録出願件数は174万件を超え、通年の出願件数は350万件に達する見込みである。2002年以降、中国の商標登録出願件数は14年連続で世界1位を維持している。急増する出願件数と審査官の力不足の矛盾が日増しに深刻化し、商標審査システムの情報化水準が高くなく、商標出願チャネルが単一で、サービスチャネルが滞っているなどの問題が日増しに深刻化しており、商標登録利便化に向けた改革を行わざるを得ない状況となっている。

  また、説明によると、このほど発表された「関於大力推進商標注冊便利化改革的意見(商標登録利便化改革の大々的な推進に関する意見)」では、▽商標出願人がコスト節約のために近くで商標業務を処理しやすいように、商標局商標登録ホールでの商標出願受理という単一チャネルに、地方への商標登録出願の受理委託を追加する、▽商標登録出願受理通知書を発行するまでの時間を、現在の6か月前後から3か月以内に短縮する、▽紙の出願文書の受領を中心した方式を変更し、商標登録の全プロセス電子化を段階的に推進するといった内容を含む、焦点を定めた改革措置が検討、制定された。(情報源:経済日報)

 
中国・欧州両局が特許分類分野の協力に関する了解覚書を更新

 
   

  中国国家知識産権局と欧州特許庁はこのほど、特許分類分野の協力強化に関する了解覚書を正式に更新した。新たな了解覚書の有効期間は6年で、内容は、分類実践、分類研修、データ交換、保障枠組みなど、多方面に及ぶ。調べによると、新たな了解覚書の正式な締結は、中国・欧州両局の分類分野における協力のさらなる強化と拡張の促進にプラスとなり、中国国家知識産権局の今後一定期間の共通特許分類(CPC)推進の実施においても好ましい基礎保障を提供する。

  この了解覚書によると、中国国家知識産権局は2016年1月から、CPCを使用してすべての技術分野で新たに受理される特許出願を分類し、欧州特許庁と関連分類データを共有する。欧州特許庁は、中国国家知識産権局に引き続き特定技術分野のCPC分類研修を提供する。中国・欧州両局は定期的に活動グループ会議を開催・実施し、品質保証、情報技術、研修・交流などの分類協力に関する事柄について協議を行う。(情報源:国家知識産権戦略網)

 
中国とイスラエルの特許審査ハイウェイ(PPH)モデル事業が 2016年8月1日より無期限延長に

 
   

  中華人民共和国国家知識産権局とイスラエル特許庁は、2014年8月1日に、期間を2年として特許審査ハイウェイ(PPH)モデル事業を開始し、当該事業は2016年7月31日に終了する。

  「中華人民共和国国家知識産権局とイスラエル特許庁の特許審査分野の協力推進のための特許審査ハイウェイモデル事業延長に関する共同意向声明」によると、中国とイスラエルのPPHモデル事業は、2016年8月1日から無期限に延長される。関連する要件、業務フローは変わらない(情報源:国家知識産権局ウェブサイト)

 
注目判決

 
集佳がテンセントの「天天炫舞」商標権侵害事件を代理、一審で勝訴

 

  北京市集佳律師事務所の周丹丹弁護士、張亜洲弁護士、王荷舒弁護士が代理人を務めた騰訊科学(深圳)有限公司(以下、「騰訊科技公司」という)、深圳市騰訊計算機系統有限公司(以下、「騰訊計算機公司」という)と上海祥游網絡科技有限公司(以下、「上海祥游公司」という)、天津卓越晨星科技有限公司(以下、「天津卓越晨星公司」という)、北京卓越晨星科技有限公司(以下、「北京卓越晨星公司」という)、北京奇虎科技有限公司(以下、「北京奇虎公司」という)の商標「天天炫舞」をめぐる商標権侵害紛争事件について、北京市朝陽区人民法院は、2016年6月27日に、上海祥游公司、天津卓越晨星公司、北京卓越晨星公司、北京奇虎公司は判決発効日より直ちに係争ゲーム上での「天天炫舞」のラベルの使用を停止し、上海祥游公司、天津卓越晨星公司、北京卓越晨星公司は判決発効日から30日以内に係争ゲームの公式微博(ミニブログ)、微信パブリックアカウント、ゲームの公式ウェブサイト上に影響を除去する声明を掲載することを認定するとともに、判決発効日から10日以内に、騰訊科技公司と騰訊計算機公司に経済的損失及び合理的費用計35万7,600元の賠償を命じる一審判決を下した。

  事件の経緯説明:

  騰訊科技公司は、第9類コンピューターゲームソフトウェアなどを指定商品とし、また第41類のコンピューターネットワーク上でのオンラインゲーム提供などを指定役務とした登録商標「天天炫舞」を保有し、法に基づき、商標権を享有し、上述の商標について騰訊計算機公司に排他的使用権を与えた。騰訊科技公司と騰訊計算機公司は、オンラインゲーム「全民炫舞(天天炫舞)」の運営を続けている。

  上海祥游公司も「天天炫舞」と称するゲームを開発し、天津卓越晨星公司はこのゲームの独占的な発行者、運営者であり、北京卓越晨星公司はこのゲームの公式ウェブサイトの運営者でゲームの発行者である。天津卓越晨星公司は、北京奇虎公司のネットワークプラットフォームを通じてこのゲームを運営する。騰訊科技公司と騰訊計算機公司は、上述の4社が開発、運営、配信するゲーム製品、サービス上で「天天炫舞」の文字標識、文字と図形の標識を使用する行為、及びウェブサイト、微博(ミニブログ)、微信(Wechat)、メディア宣伝の中で「天天炫舞」の文字標識を大量に使用する行為は、登録商標「天天炫舞」の商標権を侵害する旨を主張した。

  判決:

  法院は、騰訊科技公司と騰訊計算機公司は、係争商標「天天炫舞」において法に基づき、専用権を有効に享有しており、法的保護を受けなければならないと認定した。

  コメント:

  この事件において、上海祥游公司は、係争ゲームの開発者として、「天天炫舞」がこのゲームの普通名称であることを証明する十分な証拠を提供していない。「天天炫舞」は、固定連語ではなく、造語の組合せであり、それ自体一定の顕著性を有する。上海祥游公司及び係争ゲームを普及させるその他の各当事者は、関連するウェブページ及びプラットフォームの中でこのゲームの宣伝、普及活動を行うとき、いずれも「天天炫舞」の字体を単独かつ強調させて使用することで、係争ゲームの情報源を識別する役割を果たし、商標としての使用を構成した。

  上海祥游公司と係争ゲームを普及させたその他の各当事者による「天天炫舞」の標識の使用という観点からみて、登録商標「天天炫舞」は形態上、完全に一致した使用方式を有しており、字体を変化させた使用方式も有しているため、登録商標「天天炫舞」との同一、類似を構成する。

  また、上海祥游公司は、係争ゲームを使用した期間が、騰訊科技公司の登録商標「天天炫舞」の出願日よりも遅いため、先使用の抗弁権を行使できない。このような状況の下、上海祥游公司は、商標「天天炫舞」を避けるべきである。

  以上をまとめると、騰訊科技公司と騰訊計算機公司は係争商標「天天炫舞」の専用権を享有しているにもかかわらず、上海祥游公司は、許可なくして同一種類の商品にそれと同一、類似の商標を使用し、かつ混同の可能性があることから、商標権侵害行為を構成する。天津卓越晨星公司と北京卓越晨星公司は係争ゲームの発行者、運営者として、「天天炫舞」の標識を強調させて使用し、騰訊科技公司、騰訊計算機公司が享有する商標「天天炫舞」の専用権を侵害した。したがって、上海祥游公司、天津卓越晨星公司、北京卓越晨星公司は法的責任を負わなければならない。

  北京奇虎公司は、ゲームのプラットフォーム業者として、技術サービスを提供したのみであるため、天津卓越晨星公司との共同侵害を構成しない。北京奇虎公司はプラットフォーム業者として関連のゲームが権利侵害を構成するか否かを判断する能力を当然に有すとは限らないため、係争ゲームを撤去しないということに対して、影響の除去および損害賠償の責任を負担すべきでない。ただし、そのプラットフォーム上での係争ゲーム提供の継続を差し止める責任を負うべきである。

 
 
集佳が「花花牛実業」に助力、主力商品の保護に向け障害を除去

 

  事件の経緯説明:

  このほど、北京市集佳律師事務所の劉文彬弁護士、郇小莉弁護士が代理人を務める原告河南花花牛実業総公司が、被告の国家工商行政管理総局商標評審委員会、第三者の河南鄭牛食品有限公司を訴えた商標「花花牛HUAHUANIU」の異議申立ての再審査に関する行政紛争事件が受理された。

  原告の河南花花牛実業総公司は第29類第1185340号、第1199434号、第3234059号、第3234689号の引用商標「花花牛及び図形」の先権利者である。河南花花牛実業総公司は、河南省最大の乳製品加工業者で、それが生産する「花花牛」シリーズの製品が河南省で占める市場シェアは80%に上り、生産販売量は1999年から河南省全体でトップを維持している。

  第三者の河南鄭牛食品有限公司は、2003年4月11日に第32類商品「ビール、果汁、水(飲料)、ミネラルウォーター(飲料)、野菜ジュース(飲料)、ノンアルコール飲料、サイダー、コーラ、植物性飲料、飲料製剤」を指定商品として、第3523156号商標「花花牛HUAHUANIU」(以下、「係争商標」という)を登録した。

  花花牛実業総公司は、2014年9月、上述の商標について、商標評審委員会に無効審判を請求した。その主な理由は次のとおりである。係争商標と引用商標は類似商品に使用される類似商標を構成し、消費者に商品の出所の誤認・混同を容易に招く。係争商標の登録は、花花牛実業総公司の商号権を侵害している。河南鄭牛食品有限公司の係争商標登録は、信義誠実の原則に背き、有名ブランドを騙る主観的な故意がある。係争商標の登録に欺瞞性がある場合、消費者に商品の品質などについての誤認を容易に生じさせ、社会的に好ましくない影響をもたらす。2015年9月、商標評審委員会は審理を経て、被申立人に対し、係争商標を維持する裁定を下した。花花牛実業総公司はこれを不服とし、法定期間内に北京知識産権法院に行政訴訟を提起した。

  法院の判決:

  北京知識産権法院は、次のとおり一審判決を下した。(1)被告が下した係争裁定を撤回する。(2)被告に、裁定を改めて下すよう命じる。花花牛実業総公司は2004年に上述の係争商標について異議を申し立てており、上述の商標は2004年から現在に至るまで、異議申立て――異議申立ての再審査――行政訴訟一審(北京市第一中級人民法院)――無効決定——行政訴訟一審(北京知識産権法院)手続きを経て、12年間、原告は権利を保護する姿勢を貫き、満足のいく結果を得て、主力商品のために障害を一掃した。

  コメント:

  この事件で注目される問題は、係争商標「花花牛HUAHUANIU」と引用商標「花花牛及びその図形」が類似商品上の類似商標を構成するか否か、係争商標の登録出願が花花牛実業総公司の先行商号権を侵害するか否かである。

  代理人弁護士は、事件を検討した後、次のように判断した。この事件の突破口は係争商標と引用商標が類似商品上の類似商標を構成することを認定することにあり、その難点は商品の類似の認定にある。商標評審委員会は、評価・審査段階で原告の主張を支持していない。その大きな要因は、2010年に北京市第一中級人民法院が下した、係争商標に関する発効判決文を参考にしたことである。上述の判決文においては、係争商標の指定商品と一部の引用商標が指定使用を許可された商品は類似しないと認定されている。集佳の弁護士は、事件の経緯について代理人としての纏まった意見を形成した。第一に、2014年版の類似商品および役務区分表によると、係争商標の一部の指定商品と引用商標が使用を許可された一部商品は類似商品を構成する。北京市第一中級人民法院の判決は、5年前の事実と法的状況の下で下されており、商標審査は個々の事件ごとに判断する原則を堅持するため、当該判決書はこの事件に対して当然の拘束力を持たない。第二に、係争商標の指定商品と引用商標が使用を許可された商品は、機能・用途、生産部門、消費対象などの面で非常に類似している。最後に、原告は、訴訟の段階で大量の証拠書類を補充し、引用商標が係争商標の出願日より前に、宣伝を通じて比較的高い知名度を有し、第三者が登録を出願した係争商標に明らかな主観的悪意があることを証明し、商品の類似性の認定にあたり、上述の要素を総合的に配慮しなければならない旨を主張した。

 
 
集佳が「海瀾」に関する商標事件を代理、一審で勝訴

 

  北京市集佳律師事務所の閻春徳弁護士、李科峰弁護士が代理人を務めた原告の海瀾之家服飾有限公司(以下、「原告」という)が被告の吉林市吉林東市商貿経済示範区の海瀾布芸(以下、「被告」という)を訴えた商標権侵害及び不正競争に関する紛争事件について、2016年6月7日、吉林省吉林市中級人民法院は、次のとおり一審判決を下した。(1)被告の吉林市海瀾布芸は、この判決の発効後、原告の海瀾之家公司の商標権侵害行為を直ちに停止する。(2)被告の吉林市海瀾布芸は、この判決の発効後10日以内に、「海瀾」の中国語文字を含む企業名を変更し、原告に経済的損失及び合理的支出計20万元を賠償する。

  事件の経緯紹介:

  一.原告は、第3196649号および第4077661号の登録商標の権利者である。

  2002年6月3日、原告は、中国商標局に商標「」を出願した。2003年8月28日、この商標は登録を許可された。登録番号は3196649である。この商標が使用を許可された商品の類別は第24類「繊維製品、綿織物、ベッドリネン、テキスタイル家具カバー」などの商品である。期間更新により、商標権の存続期間は2013年8月28日から2023年8月27日までとなっている。

  2004年5月21日、原告は中国商標局に商標「」を出願した。2008年3月14日、この商標は登録を許可された。登録番号は4077661である。この商標が使用を許可された商品の類別は第25類「衣料品、ワイシャツ、下着など」で、商標権の存続期間は、2008年3月14日から2018年3月13日までである。

  以上の事実により、原告は、上述の2つの商標が原告の宣伝と広範囲の使用により、すでに比較的高い知名度を有し、関連公衆の間で知られていることを知り得た。

  二.被告は、自身が販売する「カーテン布地」において商標「海瀾」を使用し、原告の商標権を侵害した。

  2015年12月3日、原告は被告から「カーテン布地」を購入した。北京市中信公証処で購入過程の公証・保全が行われた。公証書に示された事実によると、被告は、販売する「カーテン布地」に商標「海瀾」を使用した。被告が使用する商標「海瀾」は、原告の登録商標と文字の構成、呼び方、意味のいずれに関しても同一であるため、原告は、両者は同一又は類似商標と考えた。

  被告は、「カーテン布地」において商標「海瀾」を使用した。「類似商品と役務区分表」によると、「カーテン布地」は繊維製品と呼ばれ、第24類に属する。原告の登録商標「海瀾」が使用を許可された商品は第24類「繊維製品、綿織物、ベッドリネン、テキスタイル家具カバー」などである。

  したがって、原告は、被告が商標「海瀾」を使用する商品と原告の登録商標が使用を許可された商標は同一又は類似商品を構成するとともに、日常生活の実践に基づき、「繊維製品」と「衣料品」は強い関連性があり、類似商品として認定されるべきであると考えた。

  上述の商品の販売チャネル、消費対象などの面において、一致性が高く、被告は「カーテン布地(繊維製品)」において商標「海瀾」を使用することで、関連公衆に疑義侵害商標が指し示す商品の出所が原告であるとの誤解又は被告と原告の間に特定の関連性があるとの誤解を容易に生じさせ、関連公衆の誤認・混同を招く。「商標法」第57条の規定により、この行為は禁止されるべきである。

  三.被告は不正競争行為を実施した。

  調査を経て、被告が工商登記を行った日は2011年5月13日で、所属業種は繊維製品及びメリヤス小売である。実際は、カーテン布地の販売にも従事している。2011年に、原告の登録商標「海瀾」はすでに全国で高い知名度を有していた。

  原告は、2011年に被告は「海瀾」を屋号として登録、使用し、原告の登録商標ののれんにただ乗りする故意が存在すると考えた。

  「商標法」第58条の規定により、他人の登録商標、未登録の馳名商標(日本の著名商標に相当――訳注)を企業名の屋号として使用し、公衆を誤った方向に導き、不正競争行為を構成する場合、「中華人民共和国反不正当競争法(不正競争防止法)」に従って処理する。上述したように、原告の商標「海瀾」の先行登録を行って実際に使用し、かつ高い知名度を有する状況において、被告が「海瀾」を屋号として工商登記し、使用したことには、明らかに被告が著名ブランド「海瀾」にタダ乗りしようとする主観的な悪意がある。被告のこうしたフリーライド、甘い汁を吸おうとする行為は、信義誠実の原則に反するものであり、「不正競争防止法」第2条により、被告の上述の行為は不正競争を構成する。

  判決:

  法院は次のとおり認定した。原告の係争商標「海瀾」は登録商標であり、法に基づき、商標権を享有する。「商標法」第57条では、商標登録者の許可を経ずして、同一種類の商品又は役務上にその登録商標に類似する商標を使用し、又は類似の商品又は役務上にその登録商標と同一又は類似の商標を使用し、容易に混同を招き得る場合、商標権の侵害に該当する旨が規定されている。

  コメント:

  この事件において、原告は公証処が封印・保存した、被告が「海瀾布芸」の名義で売却したカーテンを提示した。その商品のラベル上には「海瀾布芸」と表示されていた。しかもその企業名に、原告の登録商標と同一の「海瀾」の文字が使用され、それが販売するカーテンに目立つ形で使用されており、容易に公衆に誤認を生じさせるものである。上述の法規定により、被告の行為は、原告の商標権を侵害するため、法に基づき、権利侵害行為を停止し、損害を賠償すべきである。

  「商標法」第58条では、「他人の登録商標、未登録の馳名商標を企業名の屋号として使用し、公衆を誤った方向に導き、不正競争行為を構成する場合、『中華人民共和国不正競争防止法』に従って処理する」と定められている。この事件において、被告は原告の許可なくして、原告の登録商標「海瀾」を無断で使用し、原告の商品との混同を招いた行為は不正競争を構成するため、法に基づき、法的責任を負うべきである。

集佳の最新動向

 
2015年度の知的財産関連専門文章発表ランキング公表、集佳が社会組織類で1位を保持

 

  上海知識産権研究所はこのほど、2015年度の中国知的財産関連専門文章の発表状況について統計・分析を行った。研究機関、司法部門、政府部門、社会組織などの文章の発表総数ランキングの中で、集佳は、国家知識産権局、華東政法大学、北京市高級人民法院に続き、通年の発表数25篇の実績により、社会組織類機構の中のトップに立った。このほか、北京市集佳律師事務所は、通年の発表件数12篇の実績により、社会組織類機構の中で3位に入った。

  今回の統計結果は、上海知識産権研究所が行った29種類の法学系の主要な定期刊行物、8種類の知的財産専門定期刊行物に対する逐一調査、関連データの統計分析により得られた。この統計研究の実施以来、集佳知識産権代理有限公司は3年連続で、社会組織機構で1位の座を保持した。

  集佳は専門家の業務水準に注目する以上に、代理人、弁護士の理論研究に関する素養を重視している。集佳は、知的財産専門書籍を毎年1~2冊出版し、知的財産専門家が知的財産分野の各メディア、定期刊行物に学術的文章を発表し、業界の理論および実務をより深く研究、模索することを奨励している。これは実践に由来する理論を速やかに文字化し、各分野の同業者と共有することに役立つだけでなく、さらには集佳の代理人と弁護士の積極的な思考、蓄積を重視する業務習慣の育成を促し、理論力と実践力のさらなる向上を図り、専門的サービスを提供する能力の向上に向けた確実な理論的基礎を打ち立てた。

 
 
集佳奨学金、IPにプラスのエネルギーを伝達——大連理工大学夏季実践班を集佳で開催

 

  7月26日、集佳本部に大学生の仲間たちを迎えた。大連理工大学夏季実践班に参加する学生だ。「京城暖行」という心のこもった名前には特別な意味が込められており、集佳の李徳山教授と高巍教授との温かい交流を通じて、学生は参加の意義を深く感じた。

  2015年4月、集佳は大連理工大学に優秀な学生を対象とした現金奨励および海外交流資金を提供する集佳奨学金を設立した。実践班のリーダー、李丹妮教授は、「夏季実践班が募集するのは、愛心奨学金を取得した学生。当大学は今回の感謝の旅を通じて真心のエネルギーを伝達するとともに、実践・交流の場を提供し、奨学金の運営機能をよりいっそう発揮させたい」と述べた。

  李徳山副所長は、学生と教師の到来を歓迎し、「集佳は、知的財産業務に注力しており、大手の知的財産サービス機構へと発展を遂げている。近年、国は「双創」(大衆創業、万衆創新(大衆の創業、万人のイノベーション)――訳注)の奨励に継続して取り組んでいる。交流とコミュニケーションを通じて、学生たちが集佳ひいては知的財産業界の発展と会社の運営を肌で感じて理解してほしいと願っており、それは学生の明確な学習目標設定の一助となると信じている」と語った上で、「集佳は人材の育成を何よりも重要な事として見ている。学校がより多くの優秀な人材を育成し、知的財産業界に支援を提供することを願っている」と強調した。

  李丹妮教授は、「集佳の当大学における高額な資金援助奨学金の設立、海外交流の機会は、優秀な学生の重点的育成という目標に適っている。集佳の多大な支援に感謝する。集佳の社会貢献への取り組みからも多くの学生が恩恵を受けられた」と述べた。

  その後、実践班に参加した教授と学生、李徳山副所長、高巍部長、集佳の大連理工大学の同窓生が、集佳の専利サービス分野の設置、学生が専攻する専門課程と知的財産との関係などの問題をめぐって気軽で楽しい交流を行った。

  教授と学生の熱心な要請を受け、李徳山副所長は、学生の職業的リテラシーの育成について多くの適切なアドバイスを与えた。李副所長は次のとおり語った。「責任感」、「クライアントを大切にする意識」、「根気よく続ける進取の精神」、「追求と信念、何かを極めようとする匠の精神」、「チームワークの精神」、「専門力の向上」は不可欠であり、集佳は長年にわたって自身に厳しい要求を課しながら成長してきた。皆さんの長期的展望に立った不断の努力は、必ず実りあるものとなると信じている。

  李徳山副所長のアドバイスは学生たちの心に深く刻み込まれた。参加者は、「職場に入る前に、職場での好ましい行動習慣の神髄を体験する機会がもてたことは幸いだ」と述べた。

  学生の要望に応え、高巍部長は参加者を率いて集佳のオフィス見学を行い、参加者は各部門の業務内容を知り、知的財産業務に対する理解をいっそう深めた。

  知的財産サービスは、高度な知的労働であり、優秀な人材は常に業界発展の原動力である。長年にわたり、集佳は中国で最も優秀な知的財産人材の育成を自らの責務とし、業務が大きく発展していく中で、多くの専門型人材を育成してきた。毎年、集佳は優秀な専利代理人と弁護士をアメリカなどの高等教育機関に派遣し、専門的な研究と研鑽の機会を与えている。近年、集佳は清華大学、同済大学、浙江工業大学などの名門校との提携に取り組み、人材育成の新たな構図を共同で模索してきた。集佳はまた、専門教育機関と「集佳班」の開設の契約を締結し、知的財産人材育成の新たなモデルの展開を切り開いた。今回、集佳の愛心奨学金が高等教育機関に進出することで、多くの学生、専門人材が知的財産を理解し、注目し、知的財産業界に入り、知的財産強国の建設に向けて自身の力を発揮し、貢献することを願っている。