事件の概要
GILMAR S.P.A.(以下、「ジルマー社」または「原告」)は、1962年にイタリアで設立され、1974年にファッションブランド「ICEBERG」を正式に立ち上げた。現在、「ICEBERG」のアパレル製品はすでにジルマー社傘下の主力ブランドに成長し、全世界で極めて高い知名度と評価を有している。中国において、ジルマー社は第25類「被服」などの商品上で第512611号「
」、第18155310号「
」商標を登録している。

杭州某電子商務公司(以下、「杭州某電子商務公司」または「被告」)は、その運営する抖音、京東の公式店舗において、「ICE」「ICEBERG」標章を付したアパレル商品(下図参照)を大量に販売し、かつ店舗の宣伝、商品包装、タグなどの多くの部分に関連標章を強調して使用した。杭州某電子商務公司による上述の商標権侵害行為に対して、ジルマー社は杭州市蕭山区人民法院に訴訟を提起した。


判決の要点
1.商標権侵害の構成
一審法院は次の内容を認定した。被告は、店舗開設の宣伝および複数の販売用アパレル商品に「ICE」標章を使用し、2種類のセーター商品に「ICEBERG」標章を使用した。上述の標章はいずれも当該アパレル商品の出所を識別する機能を果たしており、商標としての使用に該当し、消費者に商品の出所について混同させるに足るものである。被告は、その使用が本件の非当事者から許諾を受けているものであると抗弁したが、当該許諾の前提となる権利そのものに瑕疵が存在しており、ジルマー社の先行登録商標権に対抗することはできない。
2.被告に対して、権利侵害の停止、全額賠償、影響の除去の法的責任を負わなければならないことを命じた。
法院は次の内容を認定した。本件に係る店舗はすでに閉鎖されているが、類似の権利侵害行為の再発を防止するために、判決により次の内容を命じた。(1)被告は権利侵害を直ちに停止する。(2)『中国知識産権報』の中折り以外の位置に3日連続で声明を掲載し、影響を除去する。(3)原告が主張する、合理的な弁護士費用、公証費用、証拠収集費用などを含む、計100万元を全額賠償する。
典型事例の意義
本件は、外国の有名ブランドが中国市場において明らかな主観的悪意を有する「便乗行為(フリーライド)」および全方位的なブランド模倣行為に対する権利保護に成功した典型的な事例である。法院は、判決において「ICEBERG」がイタリアのコンテンポラリーブランドとして長期にわたり蓄積してきた世界的な評価と市場影響力を十分に考慮し、法定賠償金額内で高額の賠償判決を下した。これは中国の知的財産権に対する司法保護が国際基準と整合を図り、中国・外国の権利者の合法的権益を平等かつ効率的に保護するという確固たる姿勢を明確に示すものである。