事件の概要
邁瑞(Mindray)は、1991年の設立以来、一貫して臨床用医療機器の研究開発と製造に注力してきた。主力製品である患者のモニタリング機器を起点に、30年にわたり研究開発を地道に続け、長年にわたって売上高の10%前後を研究開発費に充てている。邁瑞が製造するD6モニタ付き除細動器、Nシリーズ患者モニタ、SVシリーズ人工呼吸器などの中核製品(以下、「本件権利製品」という)は、邁瑞が数億元の研究開発費を投じ、10年以上の歳月をかけて順次市場に投入してきたものであり、継続的なユーザー調査と機能改良を経て、国内外の市場において極めて高い知名度と市場占有率を誇っている。
邁瑞は、調査の結果、科曼が製造販売する複数機種の人工呼吸器、患者モニタおよびモニタ付き体外式除細動器などの製品について、ユーザーインターフェースの色彩構成、パラメータの配置、注意喚起・警告表示の文言および配置、操作キーの配列などのすべての要素において、邁瑞の本件権利製品のユーザーインターフェースと高度に類似しており、また製品の取扱説明書の内容も高度に類似していることを発見した。邁瑞は、科曼が複数の製品において、製品のインターフェースから取扱説明書に至るまで、体系的かつ全体的な模倣行為をしたものと判断し、自社の正当な権利利益を保護するため、訴訟を提起した。
本件に係るインターフェースの模倣行為について、一審法院は、被疑侵害インターフェースを逐一検証し、被疑侵害インターフェースが色彩構成、パラメータの配置、注意喚起・警告表示の文言および配置、操作キーの配列などのすべての要素において、対応する権利製品のインターフェースと高度に類似しており、設計がほぼ一致するインターフェースに該当すると判断した。また、科曼に有利な方法で同一または類似するインターフェースの割合を算出したところ、それぞれ25%、43.8%、48.4%、33.7%、27.5%であった。法院は最終的に、被疑侵害製品のインターフェースと本件権利製品のインターフェースとの類似割合は、インターフェースの同質化として善意かつ合理的に許容される範囲を超えており、被疑侵害製品の類似インターフェースは、対応する権利製品のインターフェースを全体的に模倣したものであると認定した。
例:

本件における取扱説明書の模倣行為について、一審法院は、広東省知的財産権保護センターに鑑定を委託したうえで、鑑定意見書に記載された統計データを踏まえ、取扱説明書の原文の照合・比較を行った結果、被疑侵害製品である人工呼吸器、モニタ付き体外式除細動器、患者モニタなど5機種の製品取扱説明書はその記載が充実しており、同一内容の割合がそれぞれ36.91%、37.3%、15.85%、14.14%、10.71%に達しており、善意かつ合理的に許容された範囲を明らかに超えていると認定した。法院はこれに基づき、本件における5件の被疑侵害取扱説明書と権利製品の取扱説明書の同一部分について、模倣と認定することができると判断した。
最終的に、一審法院および二審法院はいずれも、被疑侵害機種である人工呼吸器、患者モニタおよびモニタ付き除細動器のインターフェースに係る全体的な模倣行為は不正競争行為に当たり、取扱説明書については著作権侵害に当たると認定した。そのうえで、科曼に対し、侵害行為の即時停止、即ち本件判決が発効した日から、同社が製造する被疑侵害モニタ付き体外式除細動器、患者モニタ、人工呼吸器製品において、侵害取扱説明書および侵害インターフェースの使用を禁止する判決を下した。
典型事例の意義
1.法院が《反不正競争法》第2条を適用し、本件医療機器のインターフェース全体について保護を認めたことは、今後の製品ユーザーインターフェースに係る権利保護に新たな道筋を示すものである。
2.従来、医療機器業界における権利保護は、主に基盤技術または意匠に集中しており、その手段も専利権に基づく保護に偏る傾向が見られる一方で、製品のユーザーインターフェース(UI)は、長らく権利保護において手付かずの状態であった。本件判決は、この司法上の空白を実質的に補うものであり、医療機器のユーザーインターフェースに係る模倣行為について明確な境界線を示した。また、業界規制や患者の安全は、同業他社の優れた独創的な設計を模倣するための口実となってはならないことを明らかにしており、医療機器、さらにはハイエンド製造業全体における知的財産権保護にとって、典型事例としての意義を有する。