事件の概要
捷爾普国際有限公司(Gear Up International Limited)は、世界的に有名なアパレルファッションブランドである「
」および「
」の登録商標の所有者である。当該ブランドは、1994年に香港市場に進出し、2001年に中国本土において「
」登録商標専用権を取得し、2011年に中国本土において直営店および専門店を開設した。当該ファッションブランドは90年代から現在に至るまで、その独創的なデザインと高品質な製造技術により全世界から高い評価を受けている。2013年、広東省在住の自然人である羅某は、第9類の「イヤホン」商品について「
」商標の冒認出願を行い、かつ香港において「EVISU」の商号を含むペーパーカンパニーである「
」の登記を行った。その後、羅某夫妻は「Evisu」、「
」を含む複数の商標の冒認出願を行った。2017年より、羅某夫妻は、大量の「刷単(架空取引)」を通じて虚偽の使用実績を捏造し、かつ淘宝(Taobao)、拼多多(Pinduoduo)、Facebookおよび自社ウェブサイトなどにおいて侵害製品のイヤホンの宣伝、販売を行い、侵害規模をさらに拡大させた。原告は2017年より異議申立て、無効審判、不使用取消審判などの行政手続きを通じて継続的に権利保護を行い、2022年に羅某の「
」商標は不使用取消審判手続きを経て取消しが公告され、捷爾普公司は同年12月に民事訴訟を提起した。
法院の認定
深セン市中級人民法院は、一審において、羅某などが捷爾普公司の本件馳名商標権を侵害し、かつ正当な理由なく被疑侵害商品の製造・販売に関する財務資料の提出を拒絶した行為は、証明妨害を構成すると認定し、権利侵害の停止、声明の掲載および経済的損失、合理的支出の計100万元の賠償を命じる判決を下した。羅某などは一審判決を不服として、広東省高級人民法院に控訴した。広東省高級人民法院は二審において原判決を維持した。事件の典型性を鑑み、判決公開後に、本件の主任裁判官が争点について「法官説法(裁判官による判例解説)」を行っただけでなく、広東省高級人民法院はさらに業界の著名な専門家を招いて本件に関する公開での講評を行った。
典型事例の意義
本件は、世界的に有名なファッションブランドである「
」および「
」が中国において初めて馳名商標の保護を勝ち取った事件であり、集佳は代理人として民事上の権利侵害訴訟と行政上の権利確定手続きを連携させた戦略的手段により、商標権侵害行為を効果的に差し止めただけでなく、冒認出願が行われてから10年以上にも及んだ登録商標を完全に消滅させ、行政と民事訴訟のいずれにおいても全面的な勝訴を勝ち取った。