事件の当事者
原告:某省セメント協会(以下、「某セメント協会」という)
被告:某省市場監督管理局(以下、「某省市場監督局」という)
被告:国家市場監督管理総局
事件の概要
某セメント協会は、法により設立された業界団体であり、主にセメント業界の指導、調整業務を担当している。2019 年 5 月、某省市場監督局は、某セメント協会が同業界内の企業による共同での値上げを組織し、独占禁止法違反の疑いがあるとの通報を受けた。某省市場監督局は、法による調査を実施後、2022年6月に行政処罰決定を下し、某セメント協会が某省の某区域のセメント企業13社に、セメント製品価格の一斉値上げを行う水平的な独占協定を締結するよう何度も組織し、かつ本件に係る企業による実施を調整していたと認定し、違法行為の即刻停止を命じ、50万元の罰金を科した。某セメント協会はこれを不服として、国家市場監督管理総局に行政不服審査を申し立てた。国家市場監督管理総局は不服審査を経て原処罰決定を維持した。某セメント協会は北京知的財産権法院に行政訴訟を提起し、当該行政処罰決定および行政不服審査決定の取消しを請求した。北京知的財産権法院は審理を経て、本件証拠は某セメント協会に同業界の事業者を組織して水平的な独占協定を締結、実施させた事実が存在することを証明するに十分であると判断し、本件に係る処罰決定、行政不服審査決定は、事実の認定が明確で、法律の適用も正確で、手続きも合法的であることから、その訴訟上の請求を棄却する旨の判決を下した。某セメント協会は控訴したが、最高人民法院は訴えを棄却し、原判決を維持した。
判決の要旨
業界団体がWeChatグループの開設、業界会議の開催、懇親会の手配などの方法を通じて、事業者が共謀するための意思疎通・交流プラットフォームを提供し、事業者による独占協定の締結、実施を調整、促進および推進したことは、独占禁止法で禁じられている業界団体が同業界の事業者を組織して独占行為を行わせる行為に該当する。
典型事例の意義
この一連の事件は、業界団体に係る独占禁止行政事件としては全国初の事例であり、中国の独占禁止・管理に関する実務上の必要性に立脚し、業界団体が法により職責を履行し、独占禁止法執行機関が正確に法執行を行い、司法機関が公正に判決を下すための実行可能で、参照可能な明確な指針を提供し、司法が公平な競争秩序を維持し、全国統一の大市場の形成を支援・保障するという責任と役割を示すものとなった。
(事例出所:北京知的財産権法院公式SNSアカウント「2025年度事例」)