先ごろ、蔡少芬が周六福珠宝股份有限公司(以下、「周六福」と略称)を提訴した契約期間外の肖像使用に起因する広告契約紛争事件について、二審の審理が終結し、一審、二審法院共に蔡少芬の930万という法外な違約金の賠償請求を支持せず、集佳が代理人を務めた周六福が勝訴した。
事件の概要
(一)相手方の訴え
周六福が「原告の氏名及び肖像の撤収または回収」を行わないことは、重大な違約を構成することを主張し、周六福に対して侵害行為の停止、および930万元の超過使用料などの賠償金の支払いを請求する。
(二)事件の事実
1.双方は、2017年12月1日から2019年11月30日までの期間、蔡少芬が周六福珠宝のブランドアンバサダーに就任し、期間満了後2か月以内(2020年1月31日まで)に周六福は原告の氏名および肖像を含む関連の企画内容を撤収または回収しなければならない旨を取り決めた。
2.周六福は2019年6月に新たなアンバサダーと契約を締結し、かつ2019年8月に新たなアンバサダーによる宣伝を正式に開始した。しかし相手方の証拠によると、原契約(蔡少芬のアンバサダー契約)の期間満了後、周六福の公式ウェブサイトのトップページ上で表示されるブランドアンバサダーは、原告の蔡少芬ではなかったものの、その氏名を検索すると、公開期間が契約上の使用期間内とされているその氏名・肖像を含む関連内容が依然として表示可能な状態にあり、このため、蔡少芬は周六福の重大な契約違反であり、超過使用料を賠償すべきである旨を主張した。
(三)法院の判決
一審法院は、周六福に対して蔡少芬を含む内容の撤収、および事情を斟酌して相手方への2万元の弁護士費用の支払いを命じる判決を下し、それ以外の訴訟上の請求を棄却した。つまり蔡少芬のいかなる「超過使用料」または違約金の賠償も支持しなかった。蔡少芬は判決を不服として控訴したが、二審法院は控訴を棄却し、原判決を維持する旨の判決を下した。
典型事例の意義
法院は責任の認定において「契約の解釈」+「実際の判断」のダブルスタンダードを採用し、かつ本件では賠償金額の分析方法をさらに明確にした。法院は、アンバサダー契約に基づく関係の終了後、アンバサダー期間に公開し、アンバサダー期間終了後も残っているWeChat公式アカウント、Weiboなどのセルフメディアの文章は契約の定めに基づき削除しなければならないが、削除しないことが重大な違約には当たらないと判断し、蔡少芬の違約金の賠償請求を支持しなかった。この判決のロジックは、ブランド側とアンバサダー側の利益に係る訴えを比較的好ましい形で均衡させるものであり、広告契約紛争事件の新たな進展を代表する考え方である。