嘉興市中華化工有限責任公司、上海欣晨新技術有限公司と王龍集団有限公司らのノウハウ侵害紛争事件

2022-08-24

  事件の概要:

  嘉興市中華化工有限責任公司(以下、「嘉興中華化工公司」)、上海欣晨新技術有限公司は、グリオキシル酸法によるバニリン合成プロセスのノウハウを保有する。嘉興中華化工公司は当該プロセスで一躍して世界最大のバニリンメーカーとなり、世界市場の約60%のシェアを占めた。王龍集団有限公司(以下、「王龍集団公司」)およびその法定代表者らは、嘉興中華化工公司のバニリン製造工程の副主任を通じて当該ノウハウを不当に取得し、かつ当該ノウハウのプロセスを使用してバニリン製品を大量に製造し、バニリン製品の価格の下落、嘉興中華化工公司の市場シェアの縮小を引き起こした。嘉興中華化工公司らは人民法院に訴訟を提起した。一審法院は王龍集団公司らの行為が一部のノウハウの侵害にあたることを認め、王龍集団公司らに侵害行為の停止、経済的損失350万元の賠償を命じる判決を下すとともに、行為保全の裁定を下し、本件に係るノウハウの侵害を直ちに停止するよう命じた。一審の判決後も王龍集団公司は権利侵害行為を続けた。双方の当事者は控訴を提起した。二審の最高人民法院は次のように判断した。王龍集団公司はその法定代表者が権利侵害のために設立した企業であり、かつその法定代表者は積極的に権利侵害行為に関与しており、ゆえに王龍集団公司とその法定代表者の行為は全部のノウハウの共同侵害にあたり、連帯賠償責任を負わなければならない。権利者が提供した経済的損失のデータをもとに、本件に係るノウハウの商業価値が大きいこと、権利侵害の情状が卑劣であること、被告が人民法院の行為保全の裁定の執行を拒否していることなどを総合的に考慮し、破棄自判して王龍集団公司とその法定代表者らに1億5,900万元を連帯して賠償するよう命じた。

  典型事例の意義:

  本件は人民法院の歴史上、有効判決で確定した賠償金額が最も高額であった営業秘密侵害事件である。本件の裁判は権利侵害による違反に伴う代償を増大させ、重要産業の中核技術を確実に保護しており、ノウハウ侵害事件における損害賠償の認定に対して参考となる意義を有する。

  (事件出典:中華人民共和国最高人民法院)

 

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