悪意ある登録に対する有名トレンドブランド「EVISU」の取り締まりを支援、司法手続きを通じて「著名商標」の認定を受け、100万元(約2,000万円)の損害賠償を獲得

2024-05-14

 深セン市中級人民法院は先日、集佳が代理を務めた原告の捷爾普国際有限公司が、羅某、陳某およびその他2社を提訴し、著名商標(中国語は「馳名商標」)の専用権を侵害した事件について、100万元の賠償を命じる一審判決を下し、原告側が勝訴を勝ち取った。本件において集佳は、原告が民事権利侵害と行政権利確定の相互連携による対抗という方法を総合的に用いるためにサポートし、商標権侵害行為を速やかに停止させただけでなく、冒認出願により10年もの間侵害を受けていた登録商標を最終的に徹底排除し、行政訴訟と民事訴訟の全面勝訴を勝ち取った。

 事件の概要

 原告は、世界的な服飾トレンドブランド「 」と「 」の登録商標の所有者であり、1990年代から現在に至るまで、独自のデザインスタイルと高度な生産工程で世界的に高い評価を得ている。2005年に中国に進出し、主要な省・市の直営店、大手ECプラットフォーム、有名アーティストによるイメージキャラクター、大手メディアへの広告など、複数のチャネルを通じて権利商標の宣伝・広告を行ってきた。2013年3月、被告羅某は第9類「イヤホン」商品を指定商品として「 」の商標を冒認出願し、同年、香港において英文の屋号「EVISU」を使用した「 」を登記した。同社の株主は羅某と陳某夫妻の2名である。その後、羅某夫妻は、第9類、第35類などに「Evisu」「 」「 」「Evisuhf」などの商標を相次いで冒認出願し、また、「Evisu」の標章が付されたパッケージの意匠を出願し、「Evisu」の標章を美術の著作物として登録した。2017年より羅某夫妻は、それぞれが所有する2つの会社を通じて、タオバオ(淘宝網)、アリババ1688卸売サイト、拼多多(Pinduoduo)などのECプラットフォームで、「 」「 」などの被疑標章が付されたイヤホン商品の販売・宣伝を行った。また、ウェブサイトwww.evisuhf.comに登録し、当該ウェブサイトおよびfacebookとInstagramのアカウント、TikTok(抖音)、テンセント(騰訊)などのオンラインプラットフォームにおいて、香港会社名義の「 」にて、被疑標章が付されたイヤホン商品の宣伝を継続的に行った。原告は、羅某ら被告による権利侵害行為を知った2017年から現在に至るまで、商標異議申立、商標無効審判請求、商標三年不使用取消などの行政手続を通じて、途切れることなく積極的に権利を行使してきた。さらに、「 」の商標権が商標登録取消審判の確定審決に対する再審の行政手続を経て発効した後の2022年11月に、4被告が共同で著名商標の専用権を侵害したとして、深セン市中級人民法院に提訴した。

 事件の評論・分析

 本件の難しい点は、いかにして著名商標の保護範囲をより強化することで権利の競合を解消し、区分を越えた保護を得られるかということだけでなく、本件の権利侵害行為の特徴がかなり複雑で、このことは、権利侵害の連鎖の継続期間の長期化、権利侵害の方法の多様化、権利侵害が国内外に及ぶという地理的広がりに反映されている。これに対して、集佳法律事務所のチームメンバーは、広く手がかりを収集し、あらゆる方法で証拠を掘り起こすとともに、当事者と効果的に意見交換を行い、著名商標の証拠の手がかりを総合的に整理し、最終的に、相手方の多様な悪意、登録商標の不適切な使用、周知性の事実を裏付ける確実な証拠、相手方の立証妨害などを突き止めたことで、本件の課題を克服するための強固な基盤を築いた。

 典型事例の意義

 本件は、民事権利侵害と行政権利確定の相互連携により、悪意ある冒認出願および商標権侵害行為の実施に対抗した典型的な判例である。原告はまず、三年不使用取消行政事件において、被告の「架空取引や関連取引」などの数百件の使用証拠を詳細に調査し、主観的な商標使用の意思と「三年間の象徴的行為」をもとに、相手方の登録商標を取り消すことに成功し、その一方で民事訴訟では、周知性の事実がより十分に立証され、かつ被告の主張する「自社の登録商標の適切な使用」の抗弁に効果的に対応することができた。最終的に、深セン市中級人民法院は、代理弁護士の意見を採用し、権利商標の比較的強い識別性および周知性の事実、被告の主観的な悪意は明らかであり、権利侵害方法が多様で、被疑標章の類似度が高く、立証の妨害を構成するなどの要素を考慮した上で、行政手続きにおける「悪意」の状況と実際の使用における「悪意」の両方について、権利侵害事件に対する包括的な検討内容に組み入れた。これはまさに、行政手続における「悪意」と使用における「悪意」の相互連携を通じて、悪意により登録された商標を継続的に使用する権利侵害行為を効果的に禁止したものであり、事件の定義および損害賠償額をより明確にした。

 

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