第一章 総則
第一条 商標管理を強化し、商標専用権を保護し、生産者、経営者に商品と役務の品質の保証を促し、商標の信用を維持し、よって消費者と生産者、経営者の利益を保障し、社会主義市場経済の発展を促進するため、本法を制定する。
第二条 国務院工商行政管理部門商標局は、全国の商標登録及び管理の業務を主管する。
国務院工商行政管理部門は商標評審委員会を設置し、商標争議事項の処理に責任を負う。
第三条 商標局の許可を受けて登録された商標は登録商標とし、商品商標、役務商標及び団体商標、証明商標を含む。商標登録人は商標専用権を有し、法律の保護を受ける。
本法にいう団体商標とは、団体、協会またはその他の組織の名義で登録し、当該組織の構成員が商事活動における使用に供し、使用者の当該組織構成員の資格を表示する標識を言う。
本法にいう証明商標とは、特定の商品または役務に対して監督能力を有する組織がコントロールし、当該組織以外の単位または個人によりその商品または役務に使用し、当該商品または役務の原産地、原料、製造方法、品質またはその他の特定な品質の証明に用いる標識を言う。
団体商標、証明商標の登録と管理に関する特別事項は、国務院工商行政管理部門により規定する。
第四条 自然人、法人またはその他の組織は生産、経営活動において、その商品または役務について商標専用権を取得する必要があるときは、商標局に商標登録を出願しなければならない。
本法の商品商標に関する規定は、役務商標にも適用する。
第五条 二人以上の自然人、法人またはその他の組織は、商標局に共同で同一商標の登録を出願し、共同で当該商標権を有し、行使することができる。
第六条 法律、行政法規が登録商標を使用しなければならないと定めた商品について、商標登録を出願しなければならない。登録が許可されない場合、市場で販売してはならない。
第七条 商標の登録出願と使用は、信義誠実の原則に従わなければならない。
商標使用者はその商標を使用する商品の品質について責任を負わなければならない。各クラスの工商行政管理部門は商標管理を通じて消費者詐欺行為を制止なければならない。
第八条 文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ及び音声等、及び上記要素の組合せを含め、自然人、法人またはその他の組織の商品を他人の商品と区別できるいかなる標識は、商標として登録を出願することができる。
第九条 登録出願の商標は、顕著な特徴を有し、識別に便利でなければならず、かつ他人の先行に取得した合法的権利と抵触してはならない。
商標登録人は「登録商標」または登録マークを表記する権利を有する。
第十条 以下の標識は商標として使用してはならない。
(一)中華人民共和国の国名、国旗、国章、国歌、軍旗、軍章、軍歌、勲章等と同一または類似のもの、及び中央国家機関の名称、標識、所在地の特定地名またはシンポル的な建築物の名称、図形と同一のもの。
(二)外国の国名、国旗、国章、軍旗と同一または類似のもの。但し、同国政府が同意した場合はこの限りでない。
(三)政府間国際組織の名称、旗、徽章と同一または類似のもの。但し、当該組織が同意し、または公衆に誤認を容易に惹起しない場合はこの限りでない。
(四)コントロールの実施、保証の提供を表す政府標章、検査印章と同一または類似のもの。但し、権利が付与された場合はこの限りでない。
(五)「赤十字」、「赤新月」の名称、標章と同一または類似のもの。
(六)民族差別の意味合いを持たせたもの。
(七)欺瞞性を帯び、商品の品質等の特徴または産地について公衆に誤認させやすいもの。
(八)社会主義道徳、風習を害し、またはその他の不良な影響を及ぼすもの。
県クラス以上の行政区画の地名または公衆に知られた外国地名は、商標にしてはならない。但し、地名が別の意味を持ち、または団体商標、証明商標の一部とする場合、この限りでない。既に登録された地名を使う商標は引き続き有効とする。
第十一条 以下の標識は商標として登録してはならない。
(一)本商品の普通名称、図形、型番にすぎないもの。
(二) 直接に商品の品質、主要原料、機能、用途、重量、数量及びその他の特徴しか表示していないもの。
(三)顕著な特徴に欠けるその他のもの。
前項に掲げる標識は、使用により顕著な特徴を取得し、識別しやすい場合、商標として登録することができる。
第十二条 立体的形状として商標登録を出願し、商品自体の性質により生じた形状、技術的効果を獲得するために必要な商品形状または商品に実質的な価値を持たせるための形状に過ぎない場合、登録してはならない。
第十三条 関連公衆に熟知された商標は、所有者がその権利を侵害されたと考える場合、本法の規定に基づいて馳名商標保護を請求することができる。
同一または類似の商品について登録を出願した商標は、他人の中国で登録していない馳名商標を複製、模倣または翻訳したものであって、混同を引き起こしやすい場合、登録を拒絶し、かつ使用を禁止する。
同一または類似でない商品について登録を出願した商標は、他人の中国で登録した馳名商標を複製、模倣または翻訳したものであって、公衆の誤認を惹起し、当該馳名商標登録人の利益に損害を与える恐れがある場合、登録を拒絶し、かつ使用を禁止する。
第十四条 馳名商標の認定は、当事者の請求に基づき、商標案件の処理に係わって認定の必要のある事実として認定を行う。馳名商標の認定は以下の要素を考慮えなければならない。
(一)関連公衆の当該商標に対する認知レベル
(二)当該商標の持続的使用期間
(三)当該商標のいかなる宣伝業務の持続期間、レベル及び地理的範囲
(四)当該商標の馳名商標として保護を受けた記録
(五)当該商標が馳名になったその他の要素
商標登録審査、工商行政管理部門による商標違法案件の調査、処理の過程において、当事者が本法第十三条の規定に基づき権利を主張する場合、商標局は案件審査、処理の需要に応じて、商標の馳名状況について認定を行うことができる。
商標争議処理の過程において、当事者が本法第十三条の規定に基づき権利を主張する場合、商標評審委員会は案件処理の需要に応じて、商標の馳名状況について認定を行うことができる。
商標民事、行政事件審理の過程において、当事者が本法第十三条の規定に基づき権利を主張する場合、最高人民法院が指定した人民法院は事件審理の需要に応じて、商標の馳名状況について認定を行うことができる。
生産者、経営者は、「馳名商標」文字を商標、商品包装或いは容器において、または広告宣伝、展示及びその他の商業活動に用いてはならない。
第十五条 授権されていない場合、代理人または代表人が自分の名義で被代理人または被代表人の商標を登録し、被代理人または被代表人が異議を提起した場合、登録を拒絶し、かつ使用を禁止する。
同一または類似の商品において登録を出願した商標は、他人の先行に使用した未登録商標と同一または類似であり、出願人が当該他人と前項規定以外の契約、業務取引関係またはその他の関係があることから、その当該他人の商標の存在を知っており、当該他人が異議を提起した場合、登録を拒絶する。
第十六条 商標に地理的表示を含めるが、当該商品がその表示に示された地域からのものでなく。公衆の誤認を惹起する場合、登録を拒絶しかつ使用を禁止する。但し、既に善意により登録したものは引き続き有効である。
前項に言う地理的表示とは、商品がその地域からのものであり、当該商品の特定の品質、信用またはその他の特徴が主に当該地域の自然的要素及び人文的要素によって決定されることを表す標識を言う。
第十七条 外国人または外国企業が中国で商標登録を出願する場合、その所属国が中華人民共和国と締結した協定または共同で加盟した国際条約に従って処理し、または相互主義の原則に従って処理する。
第十八条 商標登録の出願またはその他の商標業務の処理は、自ら処理することができ、法に基づいて設立した商標代理機構に処理を委託することもできる。
外国人または外国企業が中国で商標登録の出願及びその他の商標業務を処理場合、法に基づいて設立した商標代理機構に処理を委託しなければならない。
第十九条 商標代理機構は、信義誠実の原則に従い、法律、行政法規を遵守し、被代理人の委託に従って商標登録出願またはその他の商標業務を処理しなければならない。代理過程において知り得た被代理人の商業秘密について、守秘義務を負う。
委託人が登録を出願する商標は、本法の規定により登録されない状況が存在する可能性がある場合、商標代理機構が明確に委託人に告知しなければならない。
商標代理機構が委託人が登録を出願する商標は本法第十五条及び第三十二条に定める状況に該当することを知り、または知り得た場合、その委託を引き受けてはならない。
商標代理機構はその代理業務について商標登録を出願する以外に、その他の商標の登録を出願してはならない。
第二十条 商標代理業界団体は規約に従い、会員加入の条件を厳格に実施し、業界自律規範に違反した会員に対し懲戒を行わなければならない。商標代理業界団体は、その加入した会員及び会員に対する懲戒の状況について、適時に社会に公布しなければならない。
第二十一条 商標国際登録は、中華人民共和国が締結または加盟した関連国際条約が確立した制度に従う。具体的方法は国務院により規定する。
第二章 商標登録の出願
第二十二条 商標登録出願人は、定められた商品分類表に基づき商標を使用する商品の区分及び商品名称を記入し、登録出願を提出しなければならない。
商標登録出願人は、一つの出願を通して複数の区分の商品について同一商標の登録を出願することができる。
商標登録出願等の関連書類は、書面方式または電子データ方式で提出することができる。
第二十三条 登録商標が許可使用範囲以外の商品について商標専用件を取得する必要がある場合、別途登録出願を提出しなければならない。
第二十四条 登録商標は其の標識を変更する必要がある場合、新規に登録出願を提出しなければならない。
第二十五条 商標登録出願人はその商標が外国で最初に商標登録出願を提出した日より6ヶ月以内に、中国で同一商品について同一商標の登録出願を提出する場合、当該外国が中国と締結した協定または共同で加盟した国際条約、若しくは優先権相互承認の原則に従い、優先権を享有することができる。
前項に従い優先権を要求する場合、商標登録出願を提出するときに書面声明を提出し、かつ3ヶ月以内に最初に提出した商標登録出願書類の副本を提出しなければならない。書面声明を提出しない、または期限を徒過しても商標登録出願書類の副本を提出しない場合、優先権を要求しないものとみなす。
第二十六条 商標は中国政府が主催または認可した国際展示会に展示された商品について初めて使用され、当該商品展示日より6ヶ月以内である場合、当該商標の登録出願人は優先権を享有することができる。
前項に従い優先権を要求する場合、商標登録出願を提出するときは、書面声明を提出し、かつ3ヶ月以内にその商品を展示した展示会の名称、展示商品に当該商標を使用した証拠、展示期日等の証明書類を提出しなければならない。書面声明を提出しない、または期限を徒過しても証明書類を提出しない場合、優先権を要求しないものとみなす。
第二十七条 商標登録出願のために申告した事項と提供した資料は、真実、正確、完全的でなければならない。
第三章 商標登録の審査及び許可
第二十八条 登録出願の商標について、商標局は商標登録出願書類を受領した日より9ヶ月以内に審査を完了させなければならない。本法の関係規定に合致する場合、初歩査定公告を与える。
第二十九条 審査の過程において、商標局は商標登録出願の内容について説明または修正が必要であると認めた場合、出願人に説明または修正を求めることができる。出願人が説明または修正を行わない場合、商標局が審査決定を下すことに影響しない。
第三十条 登録出願の商標は、本法の関係規定に合致しない、または他人が同一の商品または類似の商品において既に登録され若しくは初歩査定を受けた商標と同一または類似の場合、商標局により出願を拒絶し、公告しない。
第三十一条 二人または二人以上の商標登録出願人が、同一の商品または類似の商品について、同一または類似の商標の登録を出願した場合、先に出願された商標について初歩査定をし、かつ公告する。同日に出願された場合、先に使用された商標について初歩査定をしかつ公告し、その他の者の出願を拒絶し、公告しない。
第三十二条 商標登録の出願は他人が有する先行権利を損なってはならない。他人が既に使用し、かつ一定の影響力のある商標を不正な手段で抜け駆けして登録してはならない。
第三十三条 初歩査定を受け、公告された商標について、公告日より3ヵ月以内に、先行権利者、利害関係者が本法第十三条第二項及び第三項、第十五条、第十六条第一項、第三十条、第三十一条、第三十二条の規定に違反したと考える場合、または何人が本法第十条、第十一条、第十二条の規定に違反したと考える場合、商標局に異議を提出することができる。公告期間を満了しても異議がなかった場合、登録を許可し、商標登録証を交付し、かつ公告する。
第三十四条 出願が拒絶され、公告しない商標について、商標局は商標登録出願人に書面で通知しなければならない。商標登録出願人が不服の場合、通知を受領した日より15日以内に、商標評審委員会に再審を申請することができる。商標評審委員会は申請の受領日より9ヶ月以内に決定を下し、かつ申請人に書面で通知しなければならない。特殊な状況があって延長が必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を経て3ヶ月延長することができる。当事者が商標評審委員会の決定に不服の場合、通知を受領した日より30日以内に人民法院に提訴することができる。
第三十五条 初歩査定を受け、公告された商標に対し異議を提起する場合、商標局は異議人及び被異議人が陳述した事実及び理由を聴取し、調査を経て事実を確定した後、公告期間満了日より12ヶ月以内に登録を許可するか否かについて決定を下し、かつ書異議人及び被異議人に書面で通知しなければならない。特殊な状況があって延長が必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を経て、6ヶ月延長することができる。
商標局が登録査定の決定を下した場合、商標登録証を交付し、かつ公告する。異議人が不服の場合、本法第四十四条、第四十五条の規定に基づき、商標評審委員会に対し、当該登録商標の無効宣告を請求することができる。
商標局が登録しない決定を下し、被異議人が不服の場合、通知を受領した日より15日以内に商標評審委員会に再審を申請することができる。商標評審委員会は申請を受領した日より12ヶ月以内に再審決定を下し、かつ異議人及び被異議人に書面で通知しなければならない。特殊な状況があって延長が必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を経て6ヶ月延長することができる。被異議人は商標評審委員会の決定に不服の場合、通知を受領した日より30日以内に人民法院に提訴することができる。人民法院は第三者として訴訟に参加するよう異議人に通知しなければならない。
商標評審委員会が前項の規定に従って再審を行う過程において、係わる先行権利の確定は人民法院が審理中または行政機関が処理中のほかの案件の結果を根拠としなければならない場合、審査を中止することができる。中止の原因が解消された後に、審査手続を回復させなければならない。
第三十六条 法定期限満了前に、当事者は商標局が下した出願却下決定、登録拒絶決定について再審を請求しない、または商標評審委員会が下した再審決定について人民法院に提訴しない場合、出願却下決定、登録拒絶決定または再審決定は効力を生じる。
審査を経て異議が成立せず、登録を許可する商標は、商標登録出願人が商標専用権を取得する時間は初歩査定公告3ヶ月満了日より計算する。当該商標公告期間満了日より登録決定が下される前に、他人が同一または類似の商品において当該商標と同一または類似の標識を使用する行為に対し、遡及力を有しない。但し、当該使用者の悪意により商標登録人に損失をもたらした場合、賠償しなければならない。
第三十七条 商標登録出願及び商標再審申請に対し、速やかに審査しなければならない。
第三十八条 商標登録出願人または登録人は、商標出願書類または登録書類に明らかな誤りがあることを発見した場合、訂正を申請することができる。商標局は法律に基づき、その職権の範囲内で訂正し、かつ当事者に通知する。
前項にいう誤りの修正は、商標の出願書類または登録書類の実質的な内容を含まない。
第四章 登録商標の更新、変更、譲渡及び使用許諾
第三十九条 登録商標の有効期間は10年とし、登録許可日より計算する。
第四十条 登録商標の有効期間を満了し、引き続き使用する必要がある場合、商標登録人は期間満了前12ヵ月以内に規定に従って更新手続を行わなければならない。この期間に手続できない場合、6ヵ月の延長期間を与えることができる。毎回の登録更新の有効期間は10年とし、当該商標が前回の有効期間満了の翌日より計算する。期間満了になっても更新手続を行わない場合、その商標登録を抹消する。
商標局は、登録更新の商標について公告しなければならない。
第四十一条 登録商標は、登録人の名義、住所またはその他の登録事項の変更が必要な場合、変更申請を提出しなければならない。
第四十二条 登録商標を譲渡する場合、譲渡人と譲受人は譲渡契約を締結し、共同で商標局に申請を提出しなければならない。譲受人は当該登録商標を使用する商品の品質を保証しなければならない。
登録商標を譲渡する場合、商標登録人はその同一商品について登録した類似商標、または類似商品について登録した同一または類似の商標を一括で譲渡しなければならない。
混同を惹起しやすい、またはその他の不良な影響がある譲渡について、商標局は許可せず、申請人に書面で通知し、かつ理由を説明する。
登録商標の譲渡は、許可された後に公告する。譲受人は公告日より商標専用権を有する。
第四十三条 商標登録人は商標使用許諾契約の締結を通じて他人にその登録商標の使用を許諾することができる。許諾者は被許諾者がその登録商標を使用する商品の品質を監督しなければならない。被許諾者は当該登録商標を使用する商品の品質を保証しなければならない。
許諾を通じて他人の登録商標を使用する場合、その登録商標を使用する商品に被許諾者の名称及び商品の産地を明記しなければならない。
他人のその登録商標の使用を許諾する場合、許諾者はその商標使用許諾を商標局に届出なければならず、商標局により公告する。商標使用許諾は届出を行わなければ善意の第三者に対抗することができない。
第五章 登録商標の無効宣告
第四十四条 既に登録された商標は、本法第十条、第十一条、第十二条の規定に違反し、または欺瞞的手段若しくはその他の不正な手段で登録を取得した場合、商標局により当該登録商標の無効を宣告する。その他の単位または個人は、商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる。
商標局は登録商標の無効宣告決定を下す場合、当事者に書面で通知しなければならない。当事者が商標局の決定に不服の場合、通知を受領した日より15日以内に商標評審委員会に再審を申請することができる。商標評審委員会は申請を受領した日より9ヶ月以内に決定を下し、かつ当事者に書面で通知しなければならない。特殊な状況があって延長が必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を経て3ヶ月延長することができる。当事者は商標評審委員会の決定に不服の場合、通知を受領した日より30日以内に人民法院に提訴することができる。
その他の単位または個人が商標評審委員会に登録商標無効宣告を請求する場合、商標評審委員会は申請を受領した後に、関係当事者に書面で通知し、かつ期限を定めて答弁を提出させる。商標評審委員会は申請を受領した日より9ヶ月以内に登録商標維持または登録商標無効宣告の裁定を下し、かつ当事者に書面で通知しなければならない。特殊な状況があって延長が必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を経て3ヶ月延長することができる。当事者は商標評審委員会の裁定に不服の場合、通知を受領した日より30日以内に人民法院に提訴することができる。人民法院は第三者として訴訟に参加するよう商標裁定手続の相手方当事者に通知しなければならない。
第四十五条 既に登録された商標は、本法第十三条第二項及び第三項、第十五条、第十六条第一項、第三十条、第三十一条、第三十二条の規定に違反する場合、商標登録日より5年以内に、先行権利者または利害関係者は商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる。悪意による登録の場合、馳名商標の所有者は5年の時間的期限を受けない。
商標評審委員会は登録商標無効宣告の申請を受領した後に、関係当事者に書面で通知し、かつ期限を定めて答弁を提出させる。商標評審委員会は申請を受領した日より12ヶ月以内に登録商標維持または登録商標無効宣告の裁定を下し、かつ当事者に書面で通知しなければならない。特殊な状況があって延長が必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を経て6ヶ月延長することができる。当事者は商標評審委員会の裁定に不服の場合、通知を受領した日より30日以内に人民法院に提訴することができる。人民法院は第三者として訴訟に参加するよう商標裁定手続の相手方当事者に通知しなければならない。
商標評審委員会が前項の規定に従って無効宣告請求に対し審査を行う過程において、係わる先行権利の確定は人民法院が審理中または行政機関が処理中のほかの案件の結果を根拠としなければならない場合、審査を中止することができる。中止の原因が解消された後に、審査手続を回復させなければならない。
第四十六条 法定期限満了前に、当事者は商標局の登録商標無効宣告の決定について再審を申請しない、または商標評審委員会の再審決定、登録商標の維持若しくは登録商標の無効宣告の裁定について人民法院に提訴しない場合、商標局の決定または商標評審委員会の再審決定、裁定は効力を生じる。
第四十七条 商標法第四十四条、第四十五の規定により無効が宣告された登録商標は、商標局により公告をし、当該登録商標専用権は最初から存在しなかったものと見なす。
登録商標無効宣告の決定または裁定は、無効宣告前に人民法院が下しかつ既に執行された商標権侵害事件の判決または裁定、調停書、工商行政管理部門が下しかつ既に執行された商標権侵害案件の処理決定、及び既に履行した商標譲渡または使用許諾契約に対し、遡及力を有しない。但し、商標登録人の悪意により他人に損失を与えた場合、賠償しなければならない。
前項規定により商標権侵害賠償金、商標譲渡費、商標使用費を返還しないことは、明らかに公平原則に反する場合、全部または一部を返還しなければならない。
第六章 商標使用の管理
第四十八条 本法にいう商標の使用とは、商標を商品、商品の包装若しくは容器、及び商品取引書類において、または商標を広告宣伝、展示及びその他の商業活動にを用い、商品出所の識別に用いる行為をいう。
第四十九条 商標登録人は登録商標を使用する過程において、自ら登録商標、登録人名義、住所またはその他の登録事項を変更した場合、地方工商行政管理部門により期限を定めて是正を命じる。期間を満了しても是正しない場合、商標局によりその登録商標を取り消す。
登録商標がその許可使用商品の普通名称になった、または正当な理由なく継続して3年間使用しなかった場合、いかなる単位または個人も商標局に当該登録商標の取消を申請することができる。商標局が申請を受領した日より9ヶ月以内に決定を下さなければならない。特殊な状況があって延長が必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を経て3ヶ月延長することができる。
第五十条 登録商標が取り消され、無効を宣告され、または期間が満了し更新されない場合、取消、無効宣告または抹消の日より1年以内に、商標局は当該商標と同一または類似の商標の登録出願を許可しない。
第五十一条 本法第六条の規定に違反する場合、地方工商行政管理部門は期間を定めて登録出願を命じる。違法経営額が5万元以上の場合、違法経営額20%以下の過料を科すことができる。違法経営額がなく、または違法経営額が5万元未満の場合、1万元以下の過料を科すことができる。
第五十二条 登録されていない商標を登録商標と偽って使用し、または未登録商標を使用し本法第十条の規定に違反する場合、地方工商行政管理部門はこれを差し止め、期間を定めて登録出願を命じ、かつ公知させることができる。違法経営額が5万元以上の場合、違法経営額20%以下の過料を科すことができる。違法経営額がなく、または違法経営額が5万元未満の場合、1万元以下の過料を科すことができる。
第五十三条 本法第十四条第五項の規定に違反する場合、地方工商行政管理部門により是正を命じ、10万元の過料を科す。
第五十四条 商標局が下した登録商標の取消または取消しない決定に対し当事者が不服の場合、通知を受領した日より15日以内に商標評審委員会に再審を申請することができる。商標評審委員会は申請を受領した日より9ヶ月以内に決定を下し、かつ当事者に書面で通知しなければならない。特殊な状況があって延長が必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を経て3ヶ月延長することができる。当事者は商標評審委員会の決定に不服の場合、通知を受領した日より30日以内に人民法院に提訴することができる。
第五十五条 法定期限満了前に、当事者は商標局が下した登録商標取消の決定について再審を申請しない、または商標評審委員会が下した再審決定について人民法院に提訴しない場合、登録商標取消の決定、再審決定は効力を生じる。
取り消された登録商標は、商標局により公告し、当該登録商標専用権は公告日より終了する。
第七章 登録商標専用権の保護
第五十六条 登録商標の専用権は、登録を許可された商標及び使用を許可された商品に限る。
第五十七条 下記行為のいずれかがある場合、登録商標専用権の侵害に該当する。
(一)商標登録人の許諾を得ずに、同一の商品にその登録商標と同一の商標を使用するとき。
(二)商標登録人の許諾を得ずに、同一の商品にその登録商標と類似の商標を使用し、または類似の商品にその登録商標と同一または類似の商標を使い、混同を惹起しやすいとき。
(三)登録商標専用権を侵害する商品を販売するとき。
(四)他人の登録商標標識を偽造、無断で製造し、または偽造、無断で製造された登録商標標識を販売するとき
(五)商標登録人の同意を得ずに、その登録商標を取り替え、かつ商標を取り替えた商品を市場に投入するとき
(六)故意に他人の商標専用権に対する侵害行為のために便宜条件を提供し、他人による商標専用権侵害行為の実施を幇助するとき
(七)他人の登録商標専用権にその他の損害を与えるとき
第五十八条 他人の登録商標、未登録の馳名商標を企業名称における商号として使用し、公衆に誤認させた場合、不正競争行為に該当し、「中華人民共和国反不正当競争法」にしたがって処理する。
第五十九条 登録商標に本商品の普通名称、図形、規格、または直接に商品の品質、主要原料、機能、用途、重量、数量及びその他の特徴を表示し、若しくは地名を含む場合、商標登録人は他人の正当な使用を禁止することができない。
立体形状登録商標に含まれる商品自体の性質により生じた形状、技術的効果を獲得するために必要な商品形状、または商品に実質的価値を持させるための形状について、登録商標専用者は他人の正当な使用を禁止することができない。
商標登録人が商標登録を出願する前に、他人が既に同一の商品または類似の商品において、商標登録人より先にその登録商標と同一または類似で、かつ一定の影響のある商標を使用している場合、登録商標専用権者は当該使用者が元の使用範囲内に引き続き当該商標の使用を禁止することができないが、適切な区別表示の付加を要求することができる。
第六十条 本法第五十七条に掲げる登録商標専用権侵害行為の一つがあって、紛争を引き起こした場合、当事者の協議により解決する。協議したくない、または協議が成立しない場合、商標登録人または利害関係者は人民法院に提訴することができ、工商行政管理部門に処理を請求することもできる。
工商行政管理部門が処理において、権利侵害行為成立と認めた場合、侵害行為の即時停止を命じ、権利侵害商品及び主に権利侵害商品の製造、登録商標標識の偽造に使用する道具を没収、廃棄し、違法経営額が5万元以上の場合、違法経営額5倍以下の過料を科すことができ、違法経営額がなく、または違法経営額が5万元未満の場合、25万元以下の過料を科すことができる。5年以内に2回以上の商標侵害行為を実施し、またはその他の重大な情状がある場合、より厳重に処罰を科さなければならない。登録商標専用権を侵害した商品であることを知らずに販売し、自分が当該商品を合法的に取得したことを証明でき、かつ提供者を説明する場合、工商行政管理部門により販売停止を命じる。
商標専用権侵害の賠償金額に対する争いについて、当事者は処理を行う工商行政管理部門に調停を請求することができ、「中華人民共和国民事訴訟法」に基づき人民法院に提訴することもできる。工商行政管理部門の調停を経て、当事者が合意に達さず、または調停書発効後に履行しない場合、当事者は「中華人民共和国民事訴訟法」に基づき人民法院に提訴することができる。
第六十一条 登録商標専用権を侵害する行為に対し、工商行政管理部門は法に基づき調査、処理する権利を有する。犯罪の疑いがある場合、適時に司法機関に移送して法に基づき処理する。
第六十二条 県クラス以上の工商行政管理部門は既に取得した違法が疑われる証拠または通報により、他人の登録商標専用権侵害の疑いのある行為に対し調査、処理を行う際、以下の職権を行使することができる。
(一)関係当事者を尋問し、他人の登録商標専用権侵害に関する状況を調査する。
(二)当事者が権利侵害行為に関係する契約書、領収書、帳簿及びその他の関連資料を閲覧、複製する。
(三)他人の登録商標専用権の侵害活動を行う疑いのある場所に対し現場調査を行う。
(四)侵害行為に関係する物品を検査し、他人の登録商標専用権を侵害する物品であることを証明する証拠がある場合、封印又は差押ができる。
工商行政管理部門が法に従い前項に定める職権を行使する場合、当事者は手伝い、協力しなければならず、拒否、妨害してはならない。
商標権侵害案件の調査、処理の過程において、商標権帰属に争いが存在し、または権利者が同時に人民法院に商標権侵害訴訟を提起した場合、工商行政管理部門は案件の調査、処理を中止することができる。中止の原因が解消された後に、案件調査処理手続を回復させ、または終結させる。
第六十三条 商標専用権侵害の賠償金額は、権利者が権利侵害により受けた実際の損失により確定する。実際の損失が確定しにくい場合、権利侵害者が権利侵害により得た利益により確定することができる。権利者の損失または権利侵害者が得た利益が確定しにくい場合、当該商標の許諾使用費の倍数を参照して合理的に確定する。悪意的に商標専用権を侵害し、情状が重大な場合、上記方法に従って確定した金額の1倍以上3倍以下に賠償金額を確定することができる。賠償金額には権利者が権利侵害行為を制止するために支払った合理的支出を含む。
人民法院は賠償金額を確定するため、権利者が挙証に力を尽くしたが、権利侵害行為と関係する帳簿、資料が主に権利侵害者に支配されている場合、権利侵害者に対し権利侵害行為に関係する帳簿、資料の提供を命じることができる。権利侵害者が提供しない、または偽りの帳簿、資料を提供する場合、人民法院は権利者の出張及び提供された証拠を参考して賠償金額を確定することができる。
権利者が権利侵害により受けた実際の損失、権利侵害者が権利侵害により得た利益、登録商標使用許諾費が確定しにくい場合、人民法院が権利侵害行為の情状に基づき300万元以下の賠償を命ずる。
第六十四条 登録商標専用権者が賠償を請求し、被訴権利侵害者は登録商標専用権者が登録商標の不使用をもって抗弁する場合、人民法院は登録商標専用権者にこの直前3年間に当該登録商標を実際に使用した証拠の提供を要求することができる。登録商標専用権者はこの直前3年間に当該登録商標を実際に使用したことを証明できず、権利侵害行為により受けたその他の損失も証明できない場合、被訴権利侵害者は賠償責任を負わない。
登録商標専用権を侵害した商品であることを知らずに販売し、自分が当該商品を合法的に取得したことを証明でき、かつ提供者を説明する場合、賠償責任を負わない。
第六十五条 商標登録人または利害関係者は、他人がその登録商標専用権の侵害行為を現に行っている、または行おうとしていることを証明する証拠を有し、直ちに制止しなければその合法的権益が補いにくいな損害を被る場合、提訴前に、法に従い関係行為の停止及び財産保全の措置を採るよう人民法院に申請することができる。
第六十六条 権利侵害行為を制止するため、証拠が消滅する可能性があり、または今後の取得が困難となる場合、商標登録人または利害関係者は提訴前に、法に従い証拠保全を人民法院に申請することができる。
第六十七条 商標登録者の許諾を得ずに、同一の商品にその登録商標と同一の商標を使用し、犯罪を構成した場合、被侵害者の損失を賠償するほか、法に従い刑事責任を追及する。
他人の登録商標標識を偽造、無断で製造し、または偽造、無断で製造された登録商標標識を販売し、犯罪を構成した場合、被侵害者の損失を賠償するほか、法に従い刑事責任を追及する。
登録商標を模造した商品と知りながら販売し、犯罪を構成する場合、被侵害者の損失を賠償するほか、法に従い刑事責任を追及する。
第六十八条 商標代理機構に下記行為のいずれかがある場合、工商行政管理部門により期限を定めて是正を命じ、警告を与え、1万元以上10万元以下の過料を科し、直接に責任を負う主管者及びその他の直接責任者に警告を与え、5千元以上5万元以下の過料を科す。犯罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。
(一)商標業務処理の過程において、法律文書、印章、署名を偽造、変造し、または偽造、変造した法律文書、印章、署名を使用するとき。
(二)他の商標代理機構を中傷する等の手段により、商標代理業務を招致し、またはその他の不正手段をもって商標代理市場の秩序を乱すとき。
(三)本法第十九条第三項、第四項の規定に違反するとき。
商標代理機構に前項に定める行為があった場合、工商行政管理部門により信用記録に記入する。情状が重大な場合、商標局、商標評審委員会は、その処理した商標代理業務の受理の停止を決定し、公告することができる。
商標代理機構が信義誠実の原則に違反し、委託人の合法的利益を侵害した場合、法により民事責任を負い、かつ商標代理業界組織により規約の規定に従って懲戒を与える。
第六十九条 商標登録、管理と再審業務に従事する国家機関職員は、公平に法律を執行し、廉潔で自律的てあり、職務に忠実で、文明的に服務しなければならない。
商標局、商標評審委員会及び商標登録、管理、再審業務に従事する国家機関職員は、商標代理業務及び商品生産経営活動に従事してはならない。
第七十条 工商行政管理部門は健全な内部監督制度を確立し、商標登録、管理及び再審業務に責任を負う国家機関職員による法律、行政法規の執行及び紀律遵守の状況について、監督、検査を行う。
第七十一条 商標登録、管理及び再審業務に従事する国家機関職員は、職務を疎かにし、職権を濫用し、私利に惑わされて不正を働き、商標の登録、管理及び再審業務を違法に処理し、当事者の金品を受け取り、不正な利益をむさぼり、犯罪を構成した場合、法により刑事責任を追及する。犯罪を構成しない場合、行政処分を与える。
第8章 附則
第七十二条 商標登録出願及びその他の商標業務を行う時、手数料を納付しなければならない。具体的な徴収基準は別途定める。
第七十三条 本法は、1983年3月1日から施行する。1963年4月10日に国務院が公布した「商標管理条例」は同時に廃止する。その他の商標管理に関する規定は、本法と抵触する場合、同時に失効する。
本法施行前に既に登録された商標は、引き続き有効である。