第一条
「中華人民共和国著作権法」(以下、著作権法と略称)に基づき、本条例を制定する。
第二条
著作権法においていう著作物とは、文学、芸術及び科学の分野における独創性を有し、且つ、ある種の有形的な形式で複製できる知的活動の成果をいう。
第三条
著作権法においていう創作とは、文学、芸術及び科学の著作物を直接に作り出す知的活動をいう。
2.他人の創作のために組織活動を行い、相談に応じて意見し、物質的条件を提供し、又はその他の補助的な活動を行うことは、何れも創作とは見なさない。
第四条
著作権法及び本条例において、次に掲げる著作物の定義は以下の通り。
(一)文字著作物とは、小説、詩歌、散文、論文などの文字の形式で表現された著作物をいう。
(二)口述著作物とは、即興の演説、授業、法廷弁論などの口頭言語の形式で表現された著作物をいう。
(三)音楽著作物とは、歌曲、交響楽などの歌唱又は演奏できる歌詞が付き又は付いていない著作物をいう。
(四)演劇著作物とは、新劇、歌劇、地方劇などの舞台での実演に供する著作物をいう。
(五)演芸著作物とは、漫才、語り物、太鼓伴奏の伝統歌謡、講談などの口演を主要な形式として演じられる著作物をいう。
(六)舞踊著作物とは、連続した動作、姿勢、及び表情などで思想感情を表現する著作物を言う。
(七)雑技芸術著作物とは、雑技、手品、曲芸などの体の動作及び技巧で表現された著作物をいう。
(八)美術著作物とは、絵画、書道、彫塑などの線、色彩又はその他の方法で構成される審美的意義を有する平面的又は立体的な造形芸術著作物をいう。
(九)建築著作物とは、建築物又は構築物の形式で表現される審美的意義を有する著作物をいう。
(十)撮影著作物とは、器械を利用し、感光材料上に客観的物体の形象を記録する芸術著作物をいう。
(十一)映画著作物及び映画撮影に類似した方法により創作された著作物とは、一定の物質上に製作したもので、音声を伴い又は音声を伴わない一連の画面で構成され、且つ、適当な装置を利用して上映又はその他の方式により伝達される著作物をいう。
(十二)図形著作物とは、施工又は生産のために作成された工事設計図、製品設計図、及び地理的現象を表し、又は事物の原理若しくは構造を説明した地図又は見取図などの著作物をいう。
(十三)模型著作物とは、展示、実験又は観測などの用途のために、物体の形状及び構造のとおりに、一定の比率によって作られた立体著作物をいう。
第五条
著作権法及び本条例において、次に掲げる用語の定義は以下の通り。
(一)時事の報道とは、新聞、雑誌、ラジオ、テレビなどのメディアを通じて報道される単なる事実のニュースをいう。
(二)録音製品とは、実演の音声又はその他の音声のあらゆる記録品をいう。
(三)録画製品とは、映画著作物及び映画撮影に類似した方法により創作された著作物以外の、音声を伴い又は音声を伴わない連続し関連した形象、画像のあらゆる記録品をいう。
(四)録音製作者とは、最初に録音製品を製作した者をいう。
(五)録画製作者とは、最初に録画製品を製作した者をいう。
(六)実演者とは、俳優、演出単位又はその他の文学、芸術著作物を実演するものを言う。
第六条
著作権は著作物の創作完成日より発生する。
第七条
著作権法第二条第3項に規定する外国人、無国籍人の著作物で中国国内において最初に出版されたものは、その著作権は初めて出版された日より保護される。
第八条
外国人、無国籍人の著作物が、中国国外で最初に出版された後、30日以内に中国国内で出版された場合には、当該著作物は同時に中国国内で出版されたものと見なす。
第九条
分割使用することができない共同著作物は、その著作権は各共同著作者が共に享有し、協議して共同で行使する。協議しても合意できず、正当な理由がない場合、いかなる一方もその他の者の譲渡以外の権利行使を妨げてはならない。但し、利益はすべての共同著作者に分配しなければならない。
第十条
著作権者が他人にその著作物から映画著作物及び映画撮影に類似した方法により創作された著作物を製作することを許諾した場合には、当該著作物に対する必要な改変に同意したものと見なす。但し、その改変によって原著作物を歪曲、改ざんしてはならない。
第十一条
著作権法第十六条第1項の職務著作物に関する規定においていう「業務上の任務」とは、公民が当該法人又は当該組織において履行しなければならない職責をいう。
2.著作権法第十六条第二項の職務著作物に関する規定においていう「物質的技術条件」とは、当該法人又は当該組織が公民の創作完成のために提供する資金、設備又は資料をいう。
第十二条
職務著作物の完成後2年以内に、著作者が単位の同意を得て、第三者が単位と同じ方法で著作物を使用することを許諾して得た報酬は、著作者と単位が約定した比率で分配する。
2.著作物の完成後2年という期限は、著作者が単位に著作物を引渡した日より起算する。
第十三条
著作者の身分が不明な著作物については、著作物の原著作物の所有者が氏名表示権以外の著作権を行使する。著作者の身分が確定した後、著作者又はその相続人が著作権を行使する。
第十四条
共同著作者の一人が死亡した後、その者が享有する共同著作物の著作権法第十条第1項第五号乃至第十七号に規定している権利は、これを相続する者がおらず、遺贈を受ける者もいない場合には、その他の共同著作者が享有する。
第十五条
著作者の死亡後、著作権の内、氏名表示権、修正権及び同一性保持権は著作物の相続人又は遺贈を受けた者がこれを保護する。
2.著作権を相続する者がおらず、遺贈を受ける者もいない場合には、その氏名表示権、修正権及び同一性保持権は著作権行政管理部門がこれを保護する。
第十六条
著作権が国家に享有される著作物の使用は、国務院著作権行政管理部門により管理する。
第十七条
著作者が生前に公表していない著作物について、著作者が公表しない旨を明確に表明していない場合には、著作者の死亡後50年間、その公表権は相続人及び遺贈を受けた者が行使することができる。相続人がおらず、遺贈を受ける者もいない場合には、原著作物の所有者が行使する。
第十八条
著作者の身分が不明な著作物については、著作権法第十条第1項第五号乃至第十七号に規定された権利の保護期間は、著作物が最初に公表された後第50年目の12月31日までとする。著作者の身分が確定した場合は、著作権法第二十一条の規定を適用する。
第十九条
他人の著作物を使用する場合には、著作者の氏名、著作物の名称を明示しなければならない。但し、当事者に別途の約定があり、又は著作物の使用方法の特性によって明示することができない場合には、この限りでない。
第二十条
著作権法においていう既に公表された著作物とは、著作権者が自ら公衆に開示し、又は他人に公衆に開示することを許諾した著作物をいう。
第二十一条
著作権法の関連規定に基づき、著作権者の許可なく使用することが可能な既公表の著作物を使用する場合には、当該著作物の正常な使用を妨げてはならず、著作権者の合法的な利益を不合理に害してはならない。
第二十二条
著作権法第二十三条、第三十二条第2項、第三十九条第3項の規定に基づき著作物を使用する場合の報酬の支払基準は、国務院著作権行政管理部門及び国務院価格主管部門により共同で制定し、公布する。
第二十三条
他人の著作物を使用する場合には、著作権者との間で使用許諾契約を締結しなければならない。使用を許諾した権利が専有使用権である場合には、書面の形式を取らなければならない。但し、新聞社、雑誌社に著作物が掲載される場合を除く。
第二十四条
著作権法第二十四条に規定した専有使用権の内容は契約によって約定される。契約に約定がなく又は約定が明確でない場合には、被許諾人は著作権者を含むすべての他人が同様な方法によって当該著作物を使用することを排除することができるものと見なす。契約に別途の約定がある場合を除き、被許諾人は第三者に同一の権利の行使を許諾する場合、必ず著作権者の許可を得なければならない。
第二十五条
著作権者と専有使用許諾契約、譲渡契約を締結する場合には、著作権行政管理部門に登録することができる。
第二十六条
著作権法及び本条例においていう著作権に隣接する権益とは、出版者が出版した図書及び雑誌のレイアウトについて享有する権利、実演者がその実演について享有する権利、録音録画の制作者がその制作した録音製品、録画製品について享有する権利、ラジオ局、テレビ局がその放送したラジオ番組、テレビ番組について享有する権利をいう。
第二十七条
出版者、実演者、録音録画制作者、ラジオ局、テレビ局はその権利を行使する場合、その使用した著作物及び原著作物の著作権者の権利を害してはならない。
第二十八条
図書出版契約に出版者が専有出版権を享有することを約定したが、その具体的内容を明確にしていない場合には、図書出版者が契約の有効期間内及び契約の約定地域範囲内に同一言語による原版、改訂版の方法で図書を出版する専有的権利を享有するものと見なす。
第二十九条
著作権者が図書出版者に二通の注文書を出し、6ヶ月以内に履行されない場合には、著作権法第三十一条にいう図書の売り切れと見なす。
第三十条
著作権者は著作権法第三十二条第2項に基づきその著作物の転載、抄録を禁ずる旨の意思表示をした場合には、新聞、雑誌に当該著作物を掲載する時に意思表示しなければならない。
第三十一条
著作権者は著作権法第三十九条第3項に基づきその著作物について録音製品の制作を禁ずる意思表示をした場合には、合法的に当該著作物を録音製品として制作する時に意思表示しなければならない。
第三十二条
著作権法第二十三条、第三十二条第2項、第三十九条第3項の規定に基づき、他人の著作物を使用する場合には、当該著作物を使用した日より2ヶ月以内に著作権者に報酬を支払わなければならない。
第三十三条
外国人、無国籍人が中国国内において行なった実演は、著作権法により保護を受ける。
2.外国人、無国籍人が中国が加盟した国際条約に基づきその実演について享有する権利は、著作権法により保護を受ける。
第三十四条
外国人、無国籍人が中国国内において制作、発行した録音製品は、著作権法により保護を受ける。
2.外国人、無国籍人が中国が加盟した国際条約に基づきその制作、発行した録音製品について享有する権利は、著作権法により保護を受ける。
第三十五条
外国のラジオ局、テレビ局が中国が加盟した国際条約に基づきその放送したラジオ番組、テレビ番組について享有する権利は、著作権法により保護を受ける。
第三十六条
著作権法第四十七条に掲げる権利侵害行為があると共に、社会公共利益を害する場合には、著作権行政管理部門は不法所得の3倍以下の罰金を課すことができる。不法所得が算出しがたい場合には、10万元以下の罰金を課すことができる。
第三十七条
著作権法第四十七条に掲げる権利侵害行為があると共に、社会公共利益を害する場合、地方人民政府著作権行政管理部門は処理に責任を負う。
2.国務院著作権行政管理部門は、全国的に重大な影響のある権利侵害行為を処理することができる。
第三十八条
本条例は2002年9月15日より施行する。1991年5月24日に国務院に採択され、1991年5月30日に国家版権局により発布された「中華人民共和国著作権法実施条例」は同時に廃止する