北京市集佳法律事務所が代理人を務めた四川華光公司の特許権利確定事件において、係争特許が無効とされた。本件は一審と二審を経て、このほど最高人民法院(2024)最高法知行終366号判決書が送達されたが、その内容によると、控訴人の請求が棄却され、本件は最終的に最高人民法院の支持を得て、依頼人の利益が守られた。
事件の概要
係争特許は、家具の板材の間を繋ぐために用いられる接続部品であるアンカーボルトに関係する内容である。係争特許の権利付与公告時の請求の範囲には計10項目の請求項が含まれている。本件において係争特許の無効審判を請求するために用いられる最も近い日付の引用文献は、特許権者の別の特許出願書類であり、この引用文献と係争特許の優先権書類の出願日は同一日である。したがって、本件は係争特許が優先権およびこれを前提とする進歩性の評価を有しているか否かが双方の争点となっている。国家知識産権局は次の内容を認定した。係争特許の独立項の中で限定している「締結構造」および従属項の中でさらに限定している具体的な締結構造、例えば「締結具」「差し込み口及びそれに対応する嵌合部」および「嵌合突起」などの特徴について、優先権書類に記載がないだけでなく、大まかなまたは曖昧な説明もなく、優先権書類の添付図面からもこれらの内容を直接的に、疑う余地もなく確定することが不可能であることから、係争特許と優先権書類は同一の主題事項を有しておらず、係争特許は優先権の利益を享受し得ない。以上の内容に基づき、この引用文献をその他の証拠、技術常識と組み合わせ、係争特許のすべての請求項に進歩性がないことを認定し、係争特許を無効とする。
特許権者はこれを不服として行政訴訟を提起したが、一審、二審法院はいずれも係争特許の無効を維持する判決を下した。
弁護士の評価・分析
本件の争点の1つは、係争特許の技術方案が先に出願するための優先権を有していなければならないか否か、特に先願書類において下位概念の技術的特徴のみ公開されている場合に、後願が先願の下位概念に基づき、上位概念としての優先権を有することができるか否かという点である。
専利法第29条第2項および「専利審査ガイドライン」第2部の関連規定は、優先権の主張において後願と先願が「同一の主題事項」を有しているか否かを判断するための法的根拠となる。しかし、実務において「同一の主題事項」について依然として見解の相違が存在する可能性がある。例えば、本件において特許権者は、優先権の判断と新規性・進歩性の判断は同じ基準を用いなければならず、先願書類の公開内容に対する認定は完全に一致する基準に従わなければならない旨を主張している。
二審判決は特許権者の主張を否定し、優先権の判定における「同一の主題事項」の判断は技術的特徴の外延が同じであるか否かについても審査しなければならないことを強調する内容となっている。後願がその対応する先願の下位概念に基づき総括が行われた上位概念であるならば、総括により後願は先願に含まれていないその他の技術方案も網羅することにより、両者の技術方案は異なったものとなり、後願と先願は同一の主題事項に該当しない。二審判決は実質的に優先権における「同一の主題事項」の判断と新規性における「同一の発明創造」の判断の違いを確認するものである。即ち「同一の主題事項」の判断要件の方が厳格で、優先権書類と後願の内容の対応性要件の方が厳格である。それに対して「同一の発明創造」の判断要件はやや緩い。理論上の分析からも、同様の結論に至る。
二審判決は、事例を用いる方式により、優先権における「同一の主題事項」の判断に対して一種の新たな判決規則を示しており、今後の関連事件の審理にとって参考となる事例である。