「新エネルギー車シャーシ」技術秘密侵害事件

2025-03-24

――「新時代における法治化を推進する2024年度十大事件」に選出

 事件の概要

 吉某社は、威某社が技術秘密を侵害したとして、威某社に侵害行為の停止、経済損失の賠償および侵害行為を阻止するために支払った合理的な費用として合計21億元の支払いを求める訴訟を一審法院に提起した。

 一審法院は審理の結果、威某汽車製造温州有限公司が吉某社の本件に係る5組のシャーシ部品図面の技術秘密を侵害したと認定し、威某汽車製造温州有限公司に経済損失および権利を保護するための合理的な費用として700万元を吉某社に賠償するよう命じた。吉某社、威某汽車製造温州有限公司ともに不服として、最高人民法院に控訴した。

 最高人民法院は二審で、本件は新エネルギー車の技術人材と技術資源を組織的かつ計画的に不正な手段で大量に引き抜くことによる技術秘密侵害事件であると認定した。全体的な分析と総合的な判断により、威某社は、係争中の技術秘密を不正な手段ですべて取得し、特許出願によりその一部を不正開示し、すべて実施したと認定された。二審判決では、威某社に対して、当該技術秘密の開示、使用、第三者への使用許諾をただちに停止するよう命じた上で、侵害停止に関して、以下に示すとおり(ただし、これらに限定されない)、具体的な手段、内容、範囲をさらに細分化、明確化した。まず、吉某社の同意を得た場合を除き、威某社はいかなる方法による当該技術秘密の開示、使用、または第三者への使用許諾を停止するものとし、本件に係る12件の特許の実施、第三者への実施許諾、譲渡、質権設定、またはその他の方法での処分をしてはならない。また、当該技術秘密が記載されているすべての図面、デジタルモデル、その他の技術資料を破棄するか、または吉某社に引き渡すものとする。さらに、公的発表、社内通知などの方法により、威某社および同社の全従業員、関連会社、関連部品サプライヤーに判決および判決内の侵害停止に関する要求を通知し、関係者および関係機関に営業秘密保持および権利非侵害に関する誓約書への署名を求めるものとする。法院は威某社に明らかな侵害の意図があり、侵害の情状が悪質で、侵害の結果が深刻であることなどを考慮し、2019年5月から2022年第1四半期までの侵害行為で得た利益に対して2倍の懲罰的賠償を適用し、威某社に対して経済損失と合理的な費用として吉某社に約6億4,000万元を賠償するよう命じた。二審判決ではさらに、非金銭的給付義務の履行を確保するため、威某社が判決で確定した侵害停止などの非金銭的給付義務に違反した場合は、1日あたり100万元の遅延損害金を支払うこと、威某社が12件の特許を無断で処分した場合は、1件あたり100万元を一括で支払うことなどを明示した。

 典型事例としての意義

 「新エネルギー車シャーシ」技術秘密の権利侵害事件は、賠償金額が中国国内最高額となった知的財産権侵害紛争である。人民法院は、技術秘密侵害行為を全体的に判断した上で、懲罰的賠償の法律規定を適用して賠償金額を決定しただけでなく、侵害停止の民事責任の具体的な負担方法や、非金銭的給付義務の遅延損害金の計算基準などに関しても積極的に有益な検討を行った。本件は最終判決が公表されると、メディアや社会の各方面から広く注目を集めた。

 (出所:中華人民共和国最高人民法院)

 

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