先ごろ、上海知的財産権法院は小米科技有限責任公司とシャオミグループ傘下の小米通訊技術有限公司(以下、「シャオミ」)が潮州某公司などを提訴した商標権侵害および不正競争紛争の2つの事件について公開で判決を言い渡した。この2件の事件ではいずれも馳名商標(日本の著名商標に相当)が認定され、かつ法により懲罰的損害賠償が適用され、権利者が主張する経済的損失が全額認められ、判決における賠償金額はそれぞれ3,000万元、500万元となった。
事件の概要
シャオミは第8228211号商標「小米」、第8911270号商標「」の商標権者であり、上述の商標の指定商品は第9類の携帯電話などである。潮州某公司などはその生産、販売するスマートトイレ、シャワーヘッド商品上で係争権利商標に類似する「小米零度」「
」などの被疑侵害標章を使用し、蘇某は第32483813号商標「
」の登録者であり、かつ潮州某公司による使用を許諾している。さらに潮州某公司はその生産、販売する便器商品上でシャオミのウェイクワード「小愛同学」と酷似する「小愛小愛」を起動および操作時のウェイクワードとして使用している。
集佳法律事務所は委託を受け、各被告の複数のプラットフォームによる権利侵害行為を十分に調査し、各被告の共同の権利侵害行為に対して詳細な法的分析と論証を行った。また、事件の審理開始当初、我々は法院に申し立て、複数のプラットフォームからその販売データを入手した。プラットフォームが提供したデータによると、被告が権利侵害行為により得た利益は極めて高額であった。
法院の判決
上海知的財産権法院は審理を経て次のように判断した。シャオミが権利を主張する登録商標は、第9類携帯電話などを指定商品としているのに対し、被疑侵害標章は第11類インテリジェントトイレ、シャワーヘッドを指定商品としており、両者は同一商品にも類似商品にも該当しないことから、本件では馳名商標を認定する必要がある。さらに本件の被疑侵害行為の発生時、係争権利商標についてシャオミが使用、宣伝していることはすでに中国の関連公衆に広く知れ渡っており、第9類携帯電話などの商品上の馳名商標を構成する。被疑侵害標章は関連公衆の商品の出所に対する誤認を容易に生じさせ、またはその出所がシャオミの登録商標の商品と特定の関係があるとの誤認を生じさせるものであり、潮州某公司と蘇某の行為は商標権侵害を構成する。シャオミのウェイクワード「小愛同学」には比較的高い知名度と影響力があり、不正競争防止法第6条に定める権利利益の保護範囲に該当し、起動および操作時のウェイクワード「小愛小愛」は、関連公衆に被告の便器商品がシャオミとの間に製品の研究開発、技術支援、使用許諾に関する協力などの特定の繋がりが存在する可能性があり、またはそのスマートホームサービスシステムと接続可能であるとの誤認を容易に生じさせるものであり、潮州某公司の行為は不正競争行為を構成する。潮州某公司、蘇某は権利侵害を生業としており、その主観的悪意は明らかで、権利侵害に関する情状が重大であることから、その権利侵害により得た利益を基数として2倍の懲罰的損害賠償を適用し、原告への3,000万元の賠償を全額認めるものとする。
事件の意義
この2件では「小米」「」が馳名商標を構成することが再度認定され、当事者の正当な権利利益が強力に守られた。また本件は市場主体が科学技術イノベーションの過程において信義誠実の原則を順守し、健全な競争を行うよう導く上で有益である。本件は、上海新聞広播の「法眼看天下」、上海広播電視台の「案件聚焦」のいずれの番組でも公開で報道と討論が行われた。