世界知的所有権機関(WIPO)は先ごろ、「標準必須特許(SEP)保有者によるIoT分野の中小企業向けのWIPO調停誓約(WIPO Mediation Pledge by SEP holders to IoT SMEs)」を発表した。この構想の下で、一部のSEP保有者は、IoT機器を製造または販売する中小企業との間にライセンスに係る紛争が発生した場合に、訴訟手続を開始する前にWIPO調停手続による紛争解決を採用する旨の申出を優先的に提出することを誓約している。Ericsson(エリクソン)、華為(Huawei)、Nokia(ノキア)、Qualcomm(クアルコム)およびSisvelは「誓約書」に署名した最初のSEP保有者となった。
これは、一部のSEP保有者が訴訟を提起する前に調停を優先的に選択することを誓約した初の事例であり、これによりIoT分野の中小企業に利便性、効率性がより高く、かつ費用対効果がより高い紛争解決手段を提供することとなる。「誓約書」によると、SEP保有者の調停の申出は「WIPO調停規則」第4条に基づきWIPO仲裁調停センターに提出され、IoT分野の中小企業には、当該申出を受け入れるかどうかを検討するための30日の猶予期間が与えられる。このようなIoT分野の中小企業に係るWIPO調停案件において、SEP保有者はWIPO調停手数料表に従い3分の2の調停人手数料と実施手数料を負担する。
ここ数年、イノベーションの担い手や企業がSEP/FRAND条件によるライセンスに関する紛争をWIPO仲裁調停センターに申し立て、裁判外紛争解決手続(ADR)による紛争解決を選択するケースが徐々に増えており、現時点で関連のWIPO調停案件は85件を超えている。
(出所:WIPO中国)