事件の概要
異議申立人:フランス国立原産地・品質研究所(INAO)
被異議申立人:某商貿(上海)有限公司
異議申立人の主な主張:被異議申立商標の登録は商標法第10条第1項第(七)号および第16条第1項の規定に違反する。
審査を経て、商標局は次のように判断した。被異議申立商標は肉、魚(活魚以外)、加熱処理済食肉缶詰などを指定商品としている。異議申立人が提出した証拠により、「VOLAILLES DES LAN-DES」(ランド産家禽)がフランスの食用家禽製品の地理的表示であると証明することができる。「LANDES」はフランスの地名であるランドであり、世界で有名なアヒル、ガチョウのフォアグラの生産地である。ランド産ガチョウは世界で有名な質の高い食用ガチョウの品種であり、国内の多くのメディアにより広く宣伝されており、すでに中国の関連公衆にも知られている。被異議申立商標のフランス語の意味は「ランド産ガチョウ」であり、上述のフランスの地理的表示の意味と類似する。被異議申立人は上述の地域出身ではなく、被異議申立商標の肉類商品上での登録・使用は公衆を容易に誤った方向に導き、その他の指定商品上での使用も消費者の商品の品種、産地などに対する誤認を招きやすい。商標法第10条第1項第(七)号および第16条第1項の規定に基づき、被異議申立商標は登録を認めない。
典型事例の意義
本件は、商標法第16条第1項を正確に適用し、国外の地理的表示に対して平等な保護を与えた典型事例である。本件は、良好なビジネス環境を醸成し、国外の地理的表示の評判に悪意をもって便乗し、公衆を誤った方向に導く行為を取り締まり、信義則に基づく、健全かつ秩序ある商標登録の秩序を維持するという商標登録機関の揺るぎない姿勢を明確に示す事例である。
(事例出所:2024商標登録異議申立、審判典型事例)