集佳弁護士事務所担当の“聖象”馳名商標保護案件、 最高裁判所2013年度十大知的財産権案件に入選

2014-04-20

最高人民法院が4月21日、2013年「中国法院10大知的財産権案件」を発表した。これには知的財産権民事、行政、刑事審判分野が網羅されており、集佳の担当した聖象集団有限公司と国家工商行政管理総局商標評審委員会、河北広太石膏砿業有限公司との商標争議行政紛争提審案【最高人民法院(2013)行提字第24号行政判決書】が入選に成功した。

これは2009年以来、集佳弁護士事務所の担当する案件としては、最高院知的財産権十大案件の入選に成功した四件目の案件である。それ以前の三回は、それぞれ“BMW”商標権利侵害及び不正競争案件が最高人民法院2009年度十大知的財産権案件に入選、“拉菲”(LAFITE、)商標権利侵害及び不正競争案件と江淮自動車確認商標不権利侵害案件が、ともに最高人民法院2011年度十大知的財産権案件に入選、三一馳名商標案が2012年十大知的財産権案例に入選している。また集佳が歴代、最高院の十大知的財産権に選ばれた事例は、すべて民事権利侵害類案件だったが、今回の入選は集佳が商標権侵害の権利確認類行政訴訟案件の初の入選であるほか、本件は紆余曲折を経て、最終的に再審プロセスで勝利を得た意味において、典型的な意義がある。

このほか最高院では、さらに2013年「中国法院典型知的財産権案例50件」を発表したが、これには集佳の担当した本田技研工業股份会社と江門気派摩托車有限公司、力帆実業(集団)股份有限公司、湘潭瑞騎力帆摩托車销售有限公司の意匠特許権の侵害紛争案、環球股份有限公司と青島際通文具有限公司、青島際通鉛筆有限公司、青島永旺東泰商業有限公司の商標権侵害紛争上訴案、博内特里塞文奥勒有限公司と中華人民共和国国家工商行政管理総局商標評審委員会、佛山市名仕実業有限公司商標争議行政紛争提審案の三事例も入選している。

“聖象”馳名商標保護案件

聖象集団有限公司と国家工商行政管理総局商標評審委員会、河北広太石膏砿業有限公司の商標争議行政紛争提審案【最高人民法院(2013)行提字第24号行政判決書】

【事件の背景概要】聖象集団有限公司(聖象集団と略称)は、挙証商標“聖象及び図”の商標権者であり、当該商標は1997年5月14日に登録認可を得、“地板(フローリング板、以下同様)”等の商品上での使用が認可された。これに対して争議商標は、中国語の“聖象”及び立った大きなゾウの写実図形で構成されており、2003年3月21日に登録が認可された。出願者は河北広太石膏砿業有限公司(広太社と略称)、 “石膏、石膏板、セメント”等の商品上での使用が認可された。2006年2月21日、聖象集団は国家工商行政管理総局商標評審委員会(商標評審委員会と略称)に対し、争議商標の取消しの申請を提出した。その理由は争議商標がその馳名商標に対する悪意による模倣であり、争議商標の使用指定の商品“石膏、セメント”等は、挙証商標の使用が認可された“地板”等の商品との関連性がきわめて強く、聖象集団のフローリング板業界における極めて高い知名度と影響力、ならびに上記の商品の機能用途がすべて建築用材料であることを考え合わせると、消費者がこれらの商品を購入使用する際、上記の商品の生産者について、きわめて誤認混同を起こしやすい、とした。2009年8月31日、商標評審委員会は、商評字〔2009〕第23269号商標争議裁定を出し、本件の証拠は争議商標の登録が、不当手段をとった聖象集団商標に対する悪意による冒認出願と証明するには不十分であると認定、争議商標の維持を裁定した。聖象集団は本裁定を不服とし、北京市第一中級人民法院に訴訟を起こした。北京市第一中級人民法院は審理を経て、聖象集団及びその関連会社は、関連する宣伝と使用行為を通じて、その“聖象及び図”商標は、本案争議商標の出願日(2001年)の前からすでに中国で充分に広く関連公衆に知られており、商標法第13条の保護を受けるべきだと見なし、商標評審委員会第23269号商標争議裁定を撤回する判決を下した。商標評審委員会と広太社は、ともに一審判決を不服とし、それぞれ北京市高級人民法院に上訴した。北京市高級人民法院は審理を経た後、本件の関連証拠は、挙証商標について争議商標の出願日前にすでに「馳名(有名)商標」が成立していたと証明するには不十分であるとして一審判決を却下し、商標評審委員会第23269号裁定を支持した。聖象集団は本判決を不服とし、最高人民法院に再審を申請した。最高人民法院は審査を経た後、本案を提審するとともに、提審判決を出した。最高人民法院の判決は、関連公衆の聖象集団“聖象及び図”商標に対する認知度、聖象集団、聖象集団関連会社の本商標に対する持続的使用状況及び宣伝状況、関連メディアでの聖象集団及び“聖象及び図”の宣伝報道状況を考慮し、聖象集団の“聖象及び図”商標は、すでに馳名の程度に達している、と判断した。北京市高級人民法院の「挙証商標が争議商標の出願日前に馳名商標が成立していたと証明するには不十分である」に関する認定、認定事実、適用法律にはすべて間違いがあり、正されなければならない、本件の争議商標と挙証商標の全体的な視覚効果にほぼ違いはなく、石膏等の商品と挙証商標の使用を許可された商品「木地板(木製フローリング板)」は、ともに建築資材であり、広太社は建築資材の生産メーカとして、本挙証商標の知名度を知っているはずであり、それでもなお本挙証商標と極めて類似する標識を商標として出願したことは、聖象集団“聖象及び図”商標の模倣であり、商標法第13条第2款の規定に違反するため、取消すべきである、一審法院はこれについて事実を明確に認定し、適用した法律は正確であり、これを維持するべきであると判断した。これにより二審判決を却下し、一審判決を支持した。

【典型的意義】本件では馳名商標の司法認定を通事て、商標権者の合法権益を保護した。これは正常な経済秩序の保護、「ブランド模倣」、「便乗」行為の阻止、有名企業のブランド構築の促進に積極的な意義がある。

 

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