2012年4月17日、最高人民法院は江蘇省蘇州市国家高新技術産業開発区で記者会見を開き、2011年度全国十大知的財産権案件(合計10件)を発表した。その中に集佳法律事務所の担当した“拉菲(シャトー・ラフィット・ロートシルト)”商標権利侵害及び不正競争案件(集佳がフランスの拉菲社の弁護を担当)、ならびに“江淮自動車”権利侵害不存在確認案件(集佳が江淮自動車の弁護を担当)が同時に全国十大案例に入選し、10件中の2つの席を占めることとなった。これは最高人民法院の歴代十大案例の選考活動の中でも初めてのことだという。さらに2009年に集佳が担当した“BMW”案件では、これまでに集佳の3案件が全国十大知的財産権案例に入選している。このほか集佳弁護士事務所が担当した“奥普”商標権利侵害及び不正当競争案(集佳が杭州奥普電器有限公司の弁護を担当)も2011年度全国50典型案例への入選に成功している。
1、最高人民法院は“拉菲”商標権利侵害及び不正競争案件の典型的な意義を評価・分析して、次のように指摘している。ニセ物の問題は社会が広く注目する問題であり、本案件では、裁判所のニセ物製造販売行為を抑制しようとする努力、ならびに知的財産権の司法保護力を体現している。フランスのラフィット社の生産するワインLAFITEは世界的に高い名声を誇っており、中国で販売する時には“拉菲”の標識を使って識別させていた。ところが“拉菲”はその登録商標ではなかった。湖南省高級人民法院二審では、ラフィット社の生産するワインLAFITEは、中国のワイン市場ですでに高い知名度を誇っており、《中華人民共和国反不正当競争法》で指す「知名」商品に認定するべきである、とみなした。“拉菲”はワインLAFITE「知名」商品の唯一の対応する中国語名称であり、商品の供給源を区別する顕著性があり、中国《中華人民共和国反不正当競争法》の関連規定に則り、ワインLAFITE「知名」商品の特有名称と認定されるべきであり、これによりこの“拉菲”中国語標識を保護し、“便乗”、“ブランド模倣”の不正当競争行為を有効に制止するべきである、と判断した。本案件では、外国商品の特有の名称の保護について、中国国内で関連公衆によく知られていることを必須とし、その知名度が通常、中国国内で製造、販売されるか、もしくはその他の経営活動への従事により生じたものでなければならない、と明確にした。但し、本商品が海外ですでに「知名」である事実は、中国国内での知名度の参考要素にすることができる。
2、最高人民法院は“江淮自動車”不権利侵害の確認案例の典型的な意義を評価・分析して、次のように指摘した。本案件では人民法院の“案件の終結により終了させる”目標の追求ならびに努力を体現した。本案件は主に商標類似等の問題の判断にかかわり、事件の背景そのものは複雑ではない。しかし2つの大手自動車メーカに関わり、双方の間に多くの関連案件が存在し、民事事件もあれば行政事件もあり、社会的な影響力が大きい。このため本案件の判決により案件を終了させても、当事者間の紛争を完全に氷解させることができない。本来なら双方が和解し、合意に達することができれば、各自の企業の発展と協力に有利である。この種の認識に基づき、最高人民法院は充分に説明をした上、双方当事者の和解合意の成立を促し、双方があまたある訴訟をすべて撤回したのである。本案の審理処理を見ると、双方の間に多くの関連訴訟と争議があり、大きな社会的影響力のあるこの種の案件に対しては、民のための司法の理念を堅持し、正確に“調停優先、判決と調停の結合”の処理原則を運用して争議を適切に処理し、当事者間の矛盾を徹底的に氷解させることに尽力し、社会的効果と法律的効果の統一を実現したことがわかる。