Lafite(拉菲)案件、終審勝訴

2011-11-28
 一年余りをかけ、2011年10月17日、湖南省高級人民裁判所(以下、湖南高院と略称)は、尚杜·拉菲特羅兹施徳民用公司(SOCIETE CIVILE DE CHATEAU LAFITE ROTHSCHILD、以下、拉菲社と略称)が、深圳市金鴻徳貿易有限公司(以下、金鴻徳社と略称)の登録商標専用権の侵害及び不当競争を告訴した案件について、終審判決を出した。裁判所では、上訴人·金鴻徳社の行為は、被上訴人?拉菲社の登録商標専用権を侵害している上、被上訴人·拉菲社への不正競争が成立するため、法に則り、相応の民事責任を負うべきである、との判決を下した。その上訴請求には事実と法律根拠がないとして、法に則り、却下した。原審判決では、事実は明確であり、適用法律は正しく、手続は合法的であり、維持すべき、と認定していた。これにより拉菲社の中国における知的財産権の保護は、重要な進展を得たことにある。

 拉菲社が金鴻徳社を登録商標専用権の侵害及び不正競争で告訴した事件は、2010年9月まで遡ることができる。その当時、拉菲社は集佳弁護士事務所の李永波弁護士、張亜洲弁護士に依頼し、深圳市金鴻徳貿易有限公司(金鴻徳社と略称)の実施する商標権利侵害及び不正競争権利侵害行為を長沙市中級人民裁判所(以下、長沙中院と略称)に告訴した。2011年2月、長沙中級裁判所が一審判決を出し、金鴻徳社がそのワイン商品、企業ウェブサイト、宣伝資料上で“LAFITE FAMILY”及び“ ”の標識を使うほか、その経営するウェブサイト上で拉菲社の登録商標“LAFITE”の文字を含んだ“lafitefamily.com”ドメイン名を使う行為は、商標権利侵害が成立する、また金鴻徳社がその企業ウェブサイト、宣伝資料上でその“拉菲世族”ブランドに「視?聴」ともに混乱を招く虚偽の宣伝を行った行為は、不当競争が成立する、被告は刊行物に声明を出し、影響を消去し、拉菲社に人民元30万元を賠償すべき、との判決を出した。一審判決後、金鴻徳社は、これを不服として、湖南高等裁判所に上訴したものである。

 双方の論争の焦点となった問題は、権利侵害と告訴された商標“LAFITE FAMILY”及びその標識が、拉菲社の“LAFITE”の登録商標と、混乱性の近似が成立するかどうか、さらには商標の権利侵害が成立するかどうか、権利侵害と告訴された“拉菲世族”の中国語標識が拉菲社の“拉菲”の有名商品に特有の名称を侵害しているかどうか、金鴻徳社の“拉菲世族”の歴史背景の虚構が、虚偽の宣伝に当たるかどうか、に集中した。上述の焦点問題の中で“拉菲”という中国語が、《不当競争防止法》第五条第(二)項を元に、“有名商品に特有の名称”と認定できるかどうか、ならびに権利侵害と告訴された“拉菲世族”と“拉菲”の混乱近似が成立するかどうか、ひいては不正競争が成立するかどうかが、焦点問題の中でも重点となった。《最高人民裁判所、不正競争民事案件の審理の応用法律に関する若干問題の解釈》第一条によると、権利者が有名商品に特有の名称と主張する場合、関連証拠を提供する義務がある。また司法実践の中で権利者の証拠を挙げる義務は、依然として重い。

 詳しく案件を整理すると、拉菲が中国で一世を風靡したのは、その独特の口あたりのためであるほか、さらには拉菲が由緒正しい歴史のあるブランドであるためである。悠久の歴史の中でLafite(拉菲)ブランドが広く知名度と信用度を伝播させたのは、多くが評判のよさ、またはハイエンド品評会を通してであり、単純な広告宣伝だけではない。このため拉菲が中国で公衆に知られているのも主に当初の小範囲のハイエンド消費から徐々に拡張したものである。もちろんLafite(拉菲)ワインの価格を考えると、今日でもLafite(拉菲)の対象ターゲットは依然としてハイエンド消費者を中心とする。この要素を知れば、Lafite(拉菲)の宣伝とマーケティングの方法が、必ずや一般商品と異なることがわかる。このため知名商品に特有の名称が成立するかどうかを認定する際、短絡的に《最高人民裁判所、不当競争民事案件の審理の応用法律の若干問題に関する解釈》第一条で規定する各項要件の証拠挙げを適用してはならない。商品の特殊性に則り、重点を設けつつ、臨機応変に証拠挙げ規則を運用し、関連証拠を提供するべきである。

 

相关关键词