元日前夜(大晦日)、北京市高級人民法院が二審判決を下し、百度(バイドゥ)が「高速ダウンロード」の名目でソフトウェアのバンドルを行い、ユーザーが捜狗(Sogou)のソフトウェアをダウンロードする際に、全く予期せず、事情を知らない、または十分に検討判断することができない状況において、「百度殺毒」(ウィルス対策ソフト――訳注)、「百度瀏覧器」(ブラウザ――訳注)、「百度手機助手」(モバイルアシスタントアプリ――訳注)などのソフトウェアを想定外にダウンロードすることになり、不正競争を構成すると認定し、またこの前の北京知識産権法院が下した一審判決を維持した。2つの審理判決に基づき、百度(バイドゥ)は不正競争行為を停止し、捜狗(Sogou)に経済的損失人民元50万元および合理的支出費用42,252元を賠償し、また百度サイトのトップページに声明を掲載して影響を取り除くよう命じた。
事件内容の概要:
この事件の提訴された不正競争行為とは、簡単に言えば、ユーザーが百度検索エンジンで捜狗(Sogou)のソフトウェアを検索、ダウンロードする際に、技術的な設定を通してユーザーに「百度殺毒」や「百度瀏覧器」ソフトウェアも併せてダウンロードさせるようにし、または対象ソフトウェアをダウンロードする前に「百度手機助手」ソフトウェアが先にダウンロードされるようにすることである。この提訴された行為に対し、北京市高級人民法院はまず、その本質が「インターネット情報サービス市場秩序の規範化についての若干規定(規範互聯網信息服務市場秩序若干規定)」第9条に規定されている「ソフトウェアのバンドル行為」に当たると認定した。百度(バイドゥ)社が目立つ方式でユーザーに提示することで、ユーザーが自らインストールまたは使用するかどうかを選択できるようにしていなかった点が、法院が不正競争行為の成立を認定するカギとなった。法院は、百度(バイドゥ)が「百度手機助手」にダウンロード速度を上げる機能があることを証明する証拠を提供することなく、「高速ダウンロード」の名目で捜狗(Sogou)のソフトウェアをダウンロード、インストールしようとしているユーザーを騙し、誤った誘導をして、対象ソフトウェアとは全く関係のない百度(バイドゥ)のソフトウェアをダウンロード、インストールさせており、当該行為は欺瞞性、誤導性を有し、インターネット業界公認の商業道徳に違反していると認定した。百度(バイドゥ)社の提訴された行為は業界における通常行為に当たるとする抗弁理由は法院の支持を得られなかった。 北京市高級人民法院は、《反不正当競争法》第2条の一般条項適用時には、総合的に考慮し、全体を推し量って、競合者、消費者、その他の市場競合者の利益のバランスを保つようにする必要があることを特に指摘している。提訴された行為について、北京市高級人民法院は次のとおり判断した。まず、提訴された行為が、インストール、使用するソフトウェアを自ら選択するというユーザーの決定権に直接的な影響を与えた。次にユーザーの捜狗(Sogou)ソフトウェアに対する認可と需要を不当に利用して、自身の取引機会と競争における優位性を高めており、本質的に他人の商業的成果を不当に利用して自身の商業的機会を取得することで、競争における優位性を得るという行為に当たる。第3に、提訴された行為は捜狗(Sogou)ソフトウェアの商業的信用と競争による利益を損なった。最後に法院は、百度(バイドゥ)がその検索エンジンを通じて、関連するソフトウェア商品を推し広めることはきっぱりとは非難しがたいが、百度検索エンジンが有する情報入手ルートの優位性を利用して、ネットユーザーが他社のソフトウェア商品をダウンロード、インストールする際に、自身が経営する他のソフトウェア商品をバンドルさせることは、市場の取引機会を労せず取得する行為に当たり、客観的に人に損害を与え己を肥やすという結果をもたらし、これを制止しない限り公正競争の秩序を十分に守ることはできない。
典型的意義:
目下市場におけるコンピュータ端末または携帯端末がさまざまな「高速ダウンロード」、「安全ダウンロード」の名目で行っているソフトウェアのバンドル行為が世間で問題になっているのを目にしつつも、いたる所で聞かれるネットユーザーの不満の声を訴える術はない。北京市高級人民法院のこの終審判決は、この種の行為の制止に一つの明確な方向を示し、ソフトウェアをダウンロードするか否かの決定権を真にユーザーに戻すことが期待できる。