特許再審委員会は2017年12月29日に1通の無効決定(発明名称:定維飛行(次元確定による飛行――訳注)マルチコプター及びそのコントローラー、特許権者:高域(北京)智能科技研究院有限公司、特許番号:201520481794.8)を下し、当該特許を全部無効とした。
事件内容の概要:
近年来、注目分野におけるリーダー企業はしばしば特許権侵害訴訟に見舞われている。大疆創新にとって2017年は特許訴訟に頻繁に見舞われる年となり、高域(北京)智能科技研究院有限公司に20件の特許で権利侵害訴訟を起こされ、上述事件に対する無効審判請求を提出するよう集佳に依頼した。
当該事件受託後、集佳はパートナーの李洪江氏、高級顧問の趙景煥氏、そして範相玉氏、王崢氏、王萌氏、王栄氏といった弁護士からなる無効審判請求グループをつくり、集佳の強大な特許検索力、豊富な無効事件代理経験、そして大疆創新の強力な技術サポートと技術検索によって、係争特許に非常に近い引用文献を入手し、集佳代理人が無効審判に関する実務に関するノウハウを駆使して、最終的には特許再審員会がわれわれの観点を受け入れ、当該特許を全部無効とした。これをもって特許権者が当該特許を基に上海知識産権法院に提起していた特許権侵害訴訟も却下され、集佳は大疆創新の当該特許の権利侵害訴訟による混乱を一時的に取り除くことに成功した。
当該事件において、双方の主な争点は以下のとおり:
(1)証拠1が係争特許の請求項における「定維方向(次元確定の方向――訳注)」を公開しているか否か。
(2)証拠8中の距離センサの向きが調整できることと、この特許が解決しようとしている技術的問題は同じものではなく、証拠1、証拠8と公知の常識は結びつきを示唆していない。 合議体の見解:
(1)証拠1中の回転翼の動作は指定位置からの変化によって決まり、当該変化は受け取った反射位置制御信号の差によって決まる。即ち受信機が受信する信号には方向信号と距離信号が含まれ、方向と距離はいずれも操作者が自ら選択、設定するものであるから、証拠1はこの特許中の定維の方向および距離の特徴を含む定維パラメータを公開している。;
(2)証拠8は距離センサの向きは必要に応じて調整、変更し、さらに多次元の検出を実現できることを開示しており、一方機械および/または電子の方式でその向きを調整、変更することは、この分野における慣用的な技術手段の範囲に属し、かつ上述の区別した特徴そのものも、この分野における慣用的な技術手段である。
最終的に、特許再審委員会は係争特許の全ての無効を宣告した。
集佳の観点:
無人航空機分野において、「軽一克値千金(1グラムの軽さは千金にも値する――訳注)」というのは、この分野の技術者の間では公知の常識であり、また追い求める目標でもある。証拠8と先行技術から全般的に示唆が与えられ、証拠1、証拠8と公知の常識と結び付けて、係争特許の請求項1で保護を求める技術方案を得た。