集佳が匯源果汁を代理した匯源缶詰で勝訴、高級人民法院は権利侵害と認定し、賠償金1,000万元の判決

2018-03-20

 北京匯源食品飲料有限公司が商標権侵害、不正競争により菏澤匯源食品有限公司を提訴した事件で、高級人民法院は権利侵害を認定し、賠償金1,000万元の支払いを命じる判決を下した。

 匯源果汁は中国の庶民に広く知られる果実飲料・果汁入り飲料のブランドで、1990年初頭に設立された。匯源果汁が1999年に出願し、2001年に登録した第32類「」商標(2005年には同類商品において新しいロゴ「」を出願)は、2002年以降、商標局、商標評審委員会に幾度も馳名商標(著名商標に相当――訳注)に認定された。

 「」商標(第7400527号)は2009年に出願、2010年に登録され、第29類缶詰などの商品を指定商品とする。「」商標(第242665号)は1985年に出願、1986年に登録され、第29類缶詰などを指定商品とする。これら2つの登録商標は幾度も移転手続きが行われており、最後に北京天之高品牌諮詢有限公司(以下、「天之高公司」)が譲受人となった。2011年11月から天之高公司は菏澤匯源缶頭食品有限公司(以下、「菏澤匯源公司」)に2つの登録商標を使用して、フルーツの缶詰、「氷糖山薬」(ヤマイモのシロップ漬け)の缶詰、「八宝粥」(八種類の具の粥)の缶詰などの系列の缶詰を生産、販売し、「匯源」を企業の屋号として登記することを直接的または間接的に許可した。「匯源缶詰」はたちまち市場に出回った。

 2014年6月、「 」、「」の2つの登録商標の権利者である北京匯源食品飲料有限公司(以下、「北京匯源公司」)は菏澤匯源公司が商標権を侵害し、不正競争に該当するとして山東省高級人民法院に賠償金1億元をの判決求めた訴訟を提起した。係争の匯源缶詰と匯源ジュースの比較は下記のとおりである。

 2015年7月、山東省高級人民法院は一審判決で、菏澤匯源公司が商標権侵害、不正競争に該当すると認定し、菏澤匯源公司に対し、北京匯源公司の経済的損失300万元を賠償するよう命じる判決を下した。原告・被告の双方はいずれも上訴した。菏澤匯源公司は上訴において、自身が生産・販売する系列の缶詰食品に使用する「匯源」商標は天之高公司の登録商標であり、また自身の使用行為は登録商標の権利者から合法的に許諾を受けており、北京匯源の商標権に対する侵害に該当しない旨を主張した。二審手続きの期間中、天之高公司の第7400527号「匯源」商標は、商標評審委員会により北京匯源公司の2つの先行馳名商標を引用商標とし、無効審決が言い渡された。北京知識産権法院、北京市高級人民法院はいずれも商標評審委員会の裁定を維持した。第7400527号登録商標は、先行する第242665号「匯源および図形」の基礎商標に延在するものであるとの天之高公司の主張は支持されなかった。また、第242665号「匯源および図形」の登録商標は3年連続で使用されなかったため、北京知識産権法院、北京市高級人民法院より抹消を命じる判決が下された。

 2017年12月、最高人民法院は終審判決において、菏澤匯源公司の主観的な悪意および第7400527号登録商標が無効とされたこと、第242665号「匯源および図形」登録商標が抹消された事実を総合的に配慮し、山東省高級人民法院の商標権侵害、不正競争の成立に関する結論を維持した。被疑侵害行為の実施においては登録商標を適法に使用したという菏澤匯源公司の抗弁意見は支持を得られなかった。被疑侵害製品の類型の認定と賠償額の計算について、最高人民法院は、「一審法院はフルーツ缶詰が被疑侵害製品であるとのみ認定したが、実際に、被疑侵害製品は菏澤匯源公司が生産、販売する系列の缶詰製品であるはずである。これに対応して、賠償額を算出するとき、『氷糖山薬』と『八宝粥』という2つの権利侵害製品も考慮しなければならない。また、菏澤匯源公司の主観的な悪意が顕著であることを考慮し、北京匯源公司の利益を補償し、被疑侵害者の菏澤匯源公司が侵害行為による利益を受けられないよう、賠償額を1,000万元に変更する」と判断した。

 商標法改正後、異議申立てが敗北した場合、冒認登録された商標が「登録商標」に一変する可能性があり、以前から見られる被疑商標・標識が登録商標となることにより先行商標の所有権者が権利保護の苦境に立たされるという状況が悪化した。被疑標識が審理期間においてなお登録商標である場合に、原告の先行商標は馳名商標であることが保護を受けるための必須条件となるのか。審理期間中に被告の登録商標の無効審決が確定した場合に、被告の以前の使用行為関する権利侵害責任を遡及的に追及するときは、悪意を必要要件としければならないのか。最高人民法院の判決はこれら2つの問題に関しては依然触れていないが、少なくとも大まかな方向が示された。被疑商標・標識が登録許可を受けていても、侵害者への「保護の傘」とはならない。無効と「された登録商標は始終無効であり、被疑侵害行為の発生時に有効であった登録商標を適法に使用したのであるから、権利侵害に該当しない、または賠償すべきでないという抗弁意見は成立しない。集佳は北京匯源公司の代理人として、商標に関する民事権利侵害訴訟、商標の無効審判請求、商標抹消などのさまざまな戦線において力を発揮し、勝訴に導き、匯源缶詰のあらゆる抗弁意見を完全に阻止し、顧客の合法的な権利と利益を保護した。

 

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