ロートシルトの「拉菲珍宝」が「拉斐」を打破――集佳が商標「拉菲珍宝」の拒絶査定不服審判事案を代理し第二審で勝訴

2019-05-27

   事案の詳細:

   拉菲羅斯柴爾徳酒庄(以下、「シャトー・ラフィット」とする)の2種類のワイン――「シャトー・ラフィット・ロートシルト(CHATEAU LAFITE ROTHSCHILD)」および「カリュアド・ド・ラフィット(CARRUADES de LAFITE)」は世界的に著名であり、中国ではそれぞれ「大ラフィット」、「小ラフィット」と称されている。シャトー・ラフィットは早期に英語の標章「LAFITE」を登録出願していたものの、「拉菲」、「拉斐」などの対応する中国語の翻訳についての登録を同時に実施していなかったため、「拉斐」は2002年に香港で「法国拉斐爾葡萄酒(亜洲)有限公司」に抜け駆け登録されるという結果を招いた。また相手方の出願時期が比較的早かったため、シャトー・ラフィットが最高人民法院まで提訴を続けたものの、いずれも「拉斐」についての無効審判に至らなかった。そしてこの登録商標「拉斐」は、シャトー・ラフィットが「拉菲」などの中国語の商標を登録する際の妨げとなってきた。

   シャトー・ラフィットは2015年6月、商標局に対して商標「拉菲珍宝」の登録出願を行った。指定商品は第33類「ワイン」などの商品である。商標局は2016年5月、「拉菲」を含む5枚の商標を引用し、拒絶した(その他4枚の商標は、事案の進行中にすでに無効が確認された)。シャトー・ラフィットは商標評審委員会に対して拒絶査定不服審判を提起し、商標評審委員会は「出願商標と引用商標の文字構成、称呼は相似しており、両商標が市場に併存することは、商品の出所に対する消費者の混同や誤認を招きやすく、同一商品または類似商品上に使用されている商標の類似を構成する」と認定した。

   法院による判决:  

   集佳はシャトー・ラフィットの法院に対する上訴を代理し、第一審の北京知識産権法院および第二審の北京市高級人民法院は、いずれも商標評審委員会の裁定を取り消す判決を下し、出願商標「拉菲珍宝」には引用商標「拉斐」との類似性がなく、第33類「ワイン」などの商品における共存により、商品の出所に対する関連公衆の混同や誤認は容易に起こらないと認定した。最終的にシャトー・ラフィットは第二審で勝訴した。

   代表的意義:

   本件の代表的意義は、案件の拒絶査定不服審判において出願商標の知名度を商標の類似性の判断および容易に混同や誤認を招くか否かを考慮する範囲に取り入れた点にある。過去の事例においては、事案の拒絶査定不服審判の判決において、出願商標がすでに「既存の市場構図」を形成しているという表現を目にすることはまれであり、商標自体についての類似性審査が実施されることが多かった。しかし、商標の知名度と商標の標章自体は表裏一体の関係にあり、完全に分割することは難しく、関連する消費者は商標を識別する際にもその知名度を商品および役務の出所を判断する際の基準の1つとする。このため、商標の類似性を審査する際、商標の出願日前までの知名度という証拠を考慮事項に取り入れることは、客観的で公正かつ実情に合致している。

 

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