最高人民法院による二審で勝訴!集佳が代理人を務めたBCS VS 永康宏躍専利権侵害事件

2020-08-13

   基本的な事件概要:

   専利権者のBCS股分公司(以下、BCSという)は2010年3月30日に中国国家知識産権局に対して「農業用駆動装置及び関連工具」という名称の特許を出願し、当該出願は2015年9月9日に権利を付与された。

   永康宏躍動力機械有限公司(以下、永康宏躍という)は生産、経営目的のために、品番が「宏躍740」、名称が「掃雪機」の製品の製造、販売、販売の申し出を行うにあたり、原告の許可を得ずに係争専利を使用し、係争専利権を侵害しただけでなく、さらにアリババなどのオンライン販売プラットフォームを通じて上述の製品の公開での販売の申し出、販売を行った。上述の権利侵害行為はBCSが係争専利権に基づき保有する合法的権益を著しく損ねた。

   集佳はBCSの委託を受け、2018年に杭州市中級人民法院に対して専利権侵害訴訟を提起し、同法院は2019年7月に永康宏躍に対して権利侵害行為の即刻停止およびBCSの経済的損失の賠償を命じる判決を下した。永康宏躍は一審判決を不服とし、最高人民法院に対して控訴を提起した。

 

   法院の判決:

   最高人民法院の知的財産権法廷は審理を経て、永康宏躍の控訴請求は成立しないと判断し、杭州市中級人民法院の一審判決を維持する判決を下した。集佳が代理人を務めたBCSと永康宏躍の専利権侵害事件において最終的に勝訴した!

 

   事例の分析:

   本件の争点:BCSによる専利の権利付与の手続きにおける請求項に対する補正および意見陳述が、どのような状況の下で「禁反言」を構成するか。

   係争専利の権利付与に対する実体審査の際に、一次審査意見において、審査官は原請求項5および10の付加的特徴である「約45°の傾斜」の進歩性を否定したが、一次審査意見に対する回答において、BCSは原請求項2-5および7-10のすべての付加的特徴および明細書の一部特徴をそれぞれ請求項1および6に併合することにより、最終的に権利を付与された。

   まずBCSによる専利の権利付与段階における上述の補正が「約45°の傾斜」という技術的解決手段などの同等のその他解決手段に対する放棄を構成するか否かを判断する必要がある。一次審査意見に対する回答において、BCSは「約45°の傾斜」の特徴に対する比較分析を行わず、「約45°の傾斜」の特徴と従来技術の違いについて具体的な陳述を行わず、さらに当該角度の違いがもたらす可能性がある技術的効果に言及せず、BCSが言及した相違点および技術的効果は上述の角度の特徴との間にいかなる関係も存在しないことから、上述の補正は技術的解決手段の放棄という法的効果を生じない。

   したがって、永康宏躍が言うところの「その製品の角度は60度より大きく、BCSによる限定的減縮を目的とする補正が45度角の技術的解決手段のその他同等の解決手段に対する放棄となることから、禁反言の法理を適用すべきである」という主張は成立しない。  

 

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