事件の概要:
フランスの「Lafite(拉菲)」ワインは名声が高く、ファンの間でもよく知られていて人気がある。「赤ワイン」商品を模倣するだけでなく、「赤ワイン」関連の食品や飲料業界でも権利侵害者による模倣が続出し、さらには「Lafite(拉菲)」を模倣した商標を出願することによる権利侵害行為の合法化が企図されている。
本件被告は、本件の被疑侵害行為を働いた際に、第29類「ゼリー、豆乳、乳製品」等、および第30類「コーヒー、キャンディー、オートミール、豆乳」等を指定商品として、2件の「」商標を出願し、登録した。
当方顧客は、当該2件の登録済み 「 」商標について無効審判請求の手続きを集佳に依頼した。無効審判手続き、法院の一審と二審を経て、いずれも当方の勝訴の判断が下された。これにより、当該2件の商標は無効となった。
上述の無効審判請求を進めるとともに、当方では、被告に対し、経営過程において、第29類「ゼリー、豆乳、乳製品」等商品、第30類「コーヒー、キャンディー、オートミール、豆乳」等商品に対する「Lafei」、「拉菲」等の被疑侵害標章の使用について公証、証拠収集し、法院に訴えた。
法院の判決:
広州市知識産権法院と広東省高級人民法院はいずれも次のように認定する。
(1)被疑商標侵害行為の発生時、原告の商標第1122916号「 」、商標第6186990号「 」は、「ワイン」等商品において中国で知名度が高く、すでに関連公衆に広く知られているため、馳名商標(日本の著名商標に相当――訳注)と認定すべきである。
(2)被疑侵害標章の「Lafei」、「拉菲」等の、第29類「ゼリー、豆乳、乳製品」、第30類「コーヒー、キャンディー、オートミール、豆乳」等の商品への使用は、原告の前述2件の馳名商標のコピー、模倣に該当し、原告の2件の登録済み馳名商標の商標権を侵害するものである。
(3)被告は、被疑侵害ドメインのウェブページ上で被疑侵害商品を宣伝し、それを関連商品取引の電子商取引に使用し、関連公衆の誤認を容易に生じさせ、それにより原告の利益を損害したため、権利侵害を停止し、損害賠償の民事責任を負わなければならない。
(4)被告の「合法的な出所」による抗弁理由は証拠不十分のため成立しない。
このため、両審法院とも次のとおり判断した。
(1) 被告は、原告の前述2件の商標権の侵害行為を直ちに停止すること。
(2) 被告は、ドメイン名「www.lafeifood.com,www.拉非食品.com」を直ちに削除すること。
(3) 被告は、判決の効力が生じた日から10日以内に、Lafite(拉菲)に対し、経済的損失及び合理的な費用の損害賠償として計300万人民元を支払うこと。
典型事例の意義:
これも、先願馳名商標による後願商標の使用を禁ずる案件の典型例であり、後続の類似案件の処理の参考に供するものである。