事件の背景:
重慶尚業医療器械有限公司(以下、重慶尚業公司と称す。)は広州中達福瑞医療科技有限公司との特許権侵害訴訟事件により、2018年6月に広州知識産権法院から「一審判決書」を受け取り、侵害行為を直ちに停止し、原告の経済的損失80万元を一括で賠償するよう命じられた。
2018年8月、重慶尚業公司の訴訟の依頼を受けた集佳は速やかに着手し、本特許の無効審判を請求するとともに、特許権侵害訴訟二審における特許無効の抗弁と二審の審理中止の申請を提出したが、残念ながら、重慶尚業の特許侵害訴訟二審の審理中止請求は認められなかった。2018年11月、広東省高級人民法院が原判決を維持する旨の「二審判決書」を下した。判決の発効後、広州中達公司は「強制執行の申立て」を行った。
集佳の代理人は口頭審理で国家知識産権局に本件の特許権が進歩性を有していない理由と証拠を詳細に説明し、2019年2月に国家知識産権局が下した第39057号「無効決定書」を受領した。その内容は本件特許権の訴訟に係る全部の請求項を無効とするものであった。
「無効決定書」を受領後、重慶尚業公司はそれを新たな証拠として事件の再審に提出し、最高人民法院が2020年5月に原判決の執行を中止する決定を下した。これとともに、前述の「無効決定書」を受けたことにより、原告の広州中達公司は自ら2019年3月に前述の「強制執行の申立て」を撤回した。
法院の判決:
先日、最高人民法院が広州中達福瑞医療科技有限公司と国家知識産権局、重慶尚業医療器械有限公司との間の特許番号ZL201410336696.5、発明の名称「弾性糸自動結紮器」の特許無効行政訴訟事件について、上述の「無効決定」を維持し、訴訟に係る請求項を無効と認定した審決取消判決書((2020)最高法知行終351号)を下した。これにより、重慶尚業公司の代理人である集佳は、「弾性糸自動結紮器」の特許無効行政訴訟で最終的な勝利を収め、重慶尚業公司の逆転勝利と特許侵害の責任および多額の損害賠償の免除をサポートすることに成功した。
弁護士のコメント:
特許権の有効性に挑むことは、特許侵害訴訟事件で被告が対抗するための重要な手段である。一審で特許権を無効にできれば、権利者は訴訟を取り下げるか、法院により訴訟が却下されるかに追い込まれる。二審で特許権を無効にできれば、通常、二審法院は一審の判決を取り消し、訴訟を却下する裁定を下す。特許権の無効がたとえ二審終了後となった場合でも、逆転勝利の機会はある。