先ごろ、中華人民共和国最高人民法院が「最高人民法院知的財産権事件年度報告(2021)要旨」を発表し、集佳が代理人を務めた「一品石」著作権侵害紛争事件が著作権典型事件として当該報告で選出された。
報告における当該事件の典型的意義に関する講評は以下のとおりである。
★ 美術の著作物の独創性の認定
再審請求人の青島福庫電子有限公司と被申立人の鄭倹紅、湛江市一品石電器有限公司の著作権帰属、権利侵害紛争事件(以下、「『一品石』著作権侵害事件」という)【(2021)最高法民再121号】における最高人民法院の見解は次のとおりである。書道の文字の造形はパブリックドメインの既存の字体を参考にしたものであるが、それが作者の個性を表す選択、取捨、配列を具体的に示している場合は、作者の独創的な表現に該当することから、それが著作権法の意味における美術の著作物であると認定しなければならない。
★ 被疑侵害標章がすでに商標として登録、使用されていることは著作権侵害の認定に影響を及ぼさない。
前述の「一品石」著作権侵害事件における最高人民法院の見解は次のとおりである。被疑侵害者が使用した標章はすでに商標として登録され、さらに法律に定める無効審判請求を提出する期限を過ぎているが、それが他人の先行著作権に対する侵害を構成する場合は、法により著作権侵害の民事責任を負わなければならない。著作権者がすでにその作品を商標として使用しているか否かは、その著作権に対する保護に影響を及ぼさない。