「小度」音声コマンドの不正競争紛争事件

2022-09-29

  事件の概要:

  百度在線網絡技術(北京)有限公司(略称は百度公司)は「小度在家1S」(略称は小度スマートスピーカー)を含む「小度」AI電子製品の開発者であり、運営業者である。「xiaoduxiaodu」は百度公司がAI電子製品のうち呼びかけと操作の機能を有するものに用いている音声コマンドであり、長期間使用されてきたことから、「小度」という商品名称および「xiaoduxiaodu」という音声コマンドはいずれもすでに一定の影響力を有している。百度公司は、北京子楽科技有限公司(略称は子楽公司)が小度スマートスピーカーと同じAI電子製品である杜椏椏学習機を製造、販売していること、また同社がその公式サイトの宣伝および杜椏椏学習機で「小杜」を使用し、その製品を示していること、そして杜椏椏学習機において使用されている「xiaoduxiaodu」という音声コマンドが呼びかけと操作のためであり、公式サイトでもこれについて宣伝されているのを発見した。百度公司は上述の行為は公衆の混同を生じさせ、不正競争にあたると認識している。北京経緯智城電子商務有限公司(以下「経緯公司」)が杜椏椏学習機を販売することは権利侵害幇助にあたる。百度公司は訴訟を提起し、両被告にそれらの行為を止めるよう求め、さらに子楽公司には影響を排除し、経済損失および合理的支出の計300万人民元を賠償するよう求めた。

  北京市海淀区人民法院は、百度公司が広く使用、普及していたことにより、「小度」という同社のスマートスピーカーの商品名称は不正競争防止法第6条第1号に定める一定の影響力のある商品名称に属すと認識。「xiaoduxiaodu」という音声コマンドは、ユーザーが小度スマートスピーカーを使用する際には欠かすことができず、かつ頻繁に登場する特定の音声コマンドであり、同音声コマンドはすでに百度公司およびその製品との間で明確で安定的な関係を築いており、さらに高い知名度と影響力を有しており、2019年に改正された《中華人民共和国不正競争防止法》第6条に定める権益保護の範疇に入れるべきだとした。上述の条件を満たした他者の音声コマンドをみだりに使用する行為は、同条第4号に定める他者の商品である、または他者と特定の関係を有しているとの誤認を生じさせるような、混同を招くその他の行為に該当する。

  「小度」と「xiaoduxiaodu」の知名度と影響力を鑑みると、小度スマートスピーカーと杜椏椏学習機は機能、対象ユーザー、販売チャネルなどの面から見ても同類の製品に属し、子楽公司は訴えられた行為を実施しており、主観的な悪意があり、客観的に見ても関連公衆に杜椏椏学習機が百度公司の小度スマートスピーカーおよびその関連サービスとの間に製品の研究開発、テクニカルサポート、ライセンス協力などの面での特定の関係があるとの誤認を容易に生じさせ、混同を招くものである。子楽公司の上述の行為は不正競争にあたる。一審法院は子楽公司に影響の排除、百度公司の経済損失50万人民元および合理的支出5万人民元の賠償を命じる判決を下した。同事件の一審判決はすでに効力を発している。

  講評:

  本件は全国で初めて音声コマンドを模倣した不正競争の事例であった。本件は法律の原則を正しく理解し、不正競争防止法第6条第4号の混同を招くその他の行為の保護範囲と適用条件を明確にし、AI製品市場において悪意ある混同と公衆を誤った方向に導く行為に対してこれを効果的に規制し、市場の経営者が自主的な研究開発、革新と高度化などの正当なチャネルを通じて良性の競争を行い、AI製品市場の革新的発展の過程における公平な競争秩序を維持するとともに、多くの消費者の合法的な権益を十分に考慮するよう導くものである。

  (事例の出所:北京市高級人民法院公式WeChat)

 

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