「空気清浄機」特許権侵害紛争事件

2022-10-31

  事件の経緯:

  達爾文技術国際有限公司(以下、「達爾文公司」)は、発明の名称「空気清浄機」の特許権者である。当該専利は主にスモッグ防止に用いられる空気清浄機で、同社は2007年12月26日に権利を取得した。達爾文公司は、航天通信控股集団股份有限公司の北京科技分公司(以下、「航天通信北京分公司」)が2014年11月以降、達爾文公司の係争特許の権利を侵害する「J・inG悟浄高効率縦型空気清浄機」(以下、「被疑侵害製品」)の生産、販売、販売の申し出を行っていることに気が付いた。また、南京宇潔環境系統技術有限公司(以下、「宇潔公司」)が航天通信北京分公司に対して、専ら係争特許の実施に用いる静電気沈降フィルターを提供、販売していた。達爾文公司は2012年に、宇潔公司が許諾を得ずに係争特許の権利の侵害幇助に用いられる静電気沈降フィルターを生産した行為に対して、弁護士書簡を発送していた。達爾文公司は訴訟を提起し、2被告に侵害行為の差止め、損害賠償および合理的支出計100万元の支払いなどを求めた。

  一審法院は次のように判断した。被疑侵害製品の技術方案は係争特許の請求項1~3、15、18~21、24~27の保護範囲に該当し、航天通信北京分公司および宇潔公司の係争行為は権利侵害を構成し、両者の「被疑侵害製品は従来技術を使用している」とする抗弁は成立しない。航天通信北京分公司は達爾文公司の特許権を侵害する係争被疑侵害製品を製造、販売し、宇潔公司は同製品中のハニカム凝集フィルターを提供した。被疑侵害製品中のハニカム凝集フィルターはエアコンにも使用できるが、係争空気清浄機製品に適合する寸法であり、かつ係争特許製品の実施に使用する場合に限って粒子堆積作用を発揮することができる。したがって、ハニカム凝集フィルターは係争特許を実施するための専用の製品に該当し、「実質的な非侵害用途」はない。宇潔公司は係争特許の存在を知りながら、またハニカム凝集フィルターが係争特許の実施に用いる専用の部品であることを明らかに知りながら、航天通信北京分公司に提供しており、同社には侵害行為の幇助者としての主観的な故意があった。したがって、宇潔公司は航天通信北京分公司の侵害行為を幇助しており、共同侵害を構成する。一審法院は、2被告に侵害行為の差止めと、達爾文公司に対する経済的損失35万元および合理的支出15万元を連帯して賠償することを命じる判決を下した。宇潔公司と航天通信北京分公司はこれを不服として控訴したが、二審判決は控訴を棄却し、原判決を維持した。

  評論:

  本件は専利権侵害紛争で侵害の幇助が認められた典型事例である。技術用途の分析だけでなく、幇助者の主観的意図の判断にも及んでいる。本件は、訴訟で「実質的な非侵害用途」をいかに認めるかというルールに関して、参考にする意義がある。

  (事例出典:北京市高級人民法院)

 

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