「FILA」商標権侵害および不正競争紛争事件

2022-10-31

  事件の経緯:

  2008年、斐楽体育有限公司(以下、「斐楽公司」)は、許諾を受けて「FILA」シリーズ登録商標の中国エリアにおける独占的使用権を取得した。継続的な普及促進と宣伝によって、「FILA」シリーズ登録商標は国内外で比較的高い知名度を有する。2016年6月、斐楽公司は、浙江中遠鞋業有限公司(以下、「中遠鞋業公司」)がオンライン店舗およびオフライン実店舗で、また、温州独特電子商務有限公司(以下、「独特公司」)がJD.comなどのオンライン販売プラットフォームで「傑飛楽旗艦店」「傑飛楽公式旗艦店」を開設して履物商品の宣伝・掲示、販売を行い、さらに斐楽公司が所有する「FILA」シリーズ登録商標に類似の の標識を使用していることに気が付いた。劉某は中遠鞋業公司の元法定代表者、独特公司の法定代表者、「GFLA傑飛楽」などを商標登録した商標権者として、前述の生産、販売および宣伝行為に関わっていた。斐楽公司は、3被告に侵害行為の差止め、経済的損失900万元および合理的支出41万元の賠償を命じる判決を求めた。

  一審法院は次のように判断した。中遠鞋業公司、独特公司が訴訟対象の商品に「 」の標識を使用して「飛樂(中國)」と記載し、ウェブサイト上で の標識を使用したことは、斐楽公司の「FILA」シリーズ登録商標が享有する商標権を侵害するものである。中遠鞋業公司、独特公司は同種商品の事業者として、斐楽公司の商標の知名度を当然知るべきでありながら、自社が生産する商品上で係争商標に類似する標識を目立たせて表示し、かつ複数のオンライン販売プラットフォームで販売し、巨額の売上高を上げた。また、2010年7月19日には商標局が、第7682295号商標「 」が斐楽公司の第G691003A号商標「 」に類似することを理由に、「衣料、帽子、履物」を指定商品とする当該商標の出願を拒絶しており、3被告はこのときすでに斐楽公司が先行登録した「FILA」シリーズ商標を十分に知っていたにもかかわらず、訴訟対象の標識の使用が商品の出所の誤認・混同を生じさせる可能性があると明らかに知りながら、引き続き侵害商品を生産、販売しており、主観的悪意が明らかで、侵害の情状は重大で、懲罰的損害賠償を適用しなければならない。中遠鞋業公司にはブランドが3つあるが、いまだ各ブランドの販売量と権利取得状況を証明する証拠が提供されないことを考慮し、訴訟対象商品の営業利益が占める割合は3分の1であると推定する。これに基づいて中遠鞋業公司の2015年度、2016年度の侵害行為で得た営業利益を263万8,322元で算出し、3倍の791万元を賠償金額として判決を下した。二審法院は控訴を棄却し、原判決を維持した。

 

  典型事例の意義:

  本件は懲罰的損害賠償の適用において、侵害者が商標権取得手続きにおいて権利者の商標権を知りながらも侵害行為を実施したことにより、故意侵害が存在すると認められた典型事件である。

  (事例出典:北京市高級人民法院)

 

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