「金龍魚橋米」商標権侵害および不正競争紛争二審事件

2023-05-25

  注目度:★★★★★

  審理機関:湖北省高級人民法院

  主張内容:商標権侵害及び不正競争紛争

  代理依頼者:被控訴人

  事件の概要

  控訴人の京山市粮食業界協会は地理的表示の証明商標「京山橋米」を所有し、被控訴人は使用許諾を受けて第三者の商標「金龍魚橋米」を使用する権利を有する。控訴人とその被許諾者の湖北国宝橋米有限公司の主張によると、被控訴人が被疑侵害商品に「泉眼山下巧米香」「橋米源京山」「地処京山」「納大紅山脈」「成就孫橋」などの標章(以下、「被疑侵害標章」という)を使用することは、原産地および特定の品質の誤認を生じさせるに足り、証明商標「京山橋米」に対する権利侵害を構成する。被控訴人の主張によると、被疑侵害標章は製品の生産地、地理的位置などの特徴を客観的かつ真実に基づき記述した「記述的使用」に該当するものであり、「商標的使用」ではない。湖北省高級人民法院は審理を経て次のように判断した。被疑侵害商品である「金龍魚橋米」の籾原料は確かに京山市孫橋鎮から購入した「橋米 537」である。被疑侵害標章と証明商標「京山橋米」は全体的に近似しておらず、かつ被控訴人はすでに登録商標の「金龍魚橋米」の使用許諾を受けている。主観的意図、使用方法、消費者の認知度などの要素を総合的に考慮すると、前述の使用方法はその米製品の生産地域、地理的位置などの特徴を事実のとおりに表現または記述するものであり、関連の文字およびその画像を記述的に使用する行為に該当し、商標権侵害を構成しない。

  典型事例の意義

  本件では地理的表示の証明商標の正当な使用について十分な論述が行われている。地理的表示の証明商標は某商品が某地域で生産され、かつその商品の特定の品質が主にその地域の自然環境に起因することを証明する標章であり、その地理的表示の証明商標を用いた商品が特定の品質を有し、特定の基準を満たしていることを証明するために用いられる。某商品についてその地域で生産されていないにもかかわらず自然人、法人またはその他の組織が商品にその証明商標を表示した場合には、商標権者はそれを禁じ、その証明商標を侵害した責任を追及する権利を有する。証明商標の保護には特殊性があるが、登録商標として一般的な商標と同様に、《商標法》の一般規定を適用し、その登録商標の権利者も同様にその商標中に含まれる地名またはその他の商品の品質、原料および特徴を示す名称に対する他人の正当な使用を禁じる権利はない。

 

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