事件の経緯
河北華穂種業有限公司は「万糯2000」トウモロコシ新品種の育成者権者であり、同時に「万糯2000」の母体「W68」の技術秘密権者であると主張する。同社は武威市搏盛種業有限責任公司が「W68」の技術秘密権利を侵害したことで提訴し、それに関する権利侵害責任を命じる判決を求めた。
裁判結果
甘粛省蘭州市中級人民法院一審は、武威市搏盛種業有限責任公司が「W68」技術秘密権利に対する侵害を構成すると認め、同社に侵害の差止め、経済損失および権利保護の合理的支出計150万5,000元の支払いを命じる判決を下した。同社は判決を不服として上訴し、「W68」は母体として商業秘密の保護対象に属さないと主張した。最高人民法院二審は、育種イノベーション活動を通じて得た商業的価値を有する育種材料は周知でなく、かつその相応する秘密保持措置などを講じるなどの条件の下、商業秘密として法に基づき法律の保護を受けることができると認めた。そこで判決は上訴を棄却し、原判決を維持した。
典型事例の意義
これは最高人民法院が審理した初の育種材料に関する商業秘密事件である。判決においてハイブリッドトウモロコシ新品種の母体を商業秘密とする保護条件および保護手段を明確にしたことは、人民法院が植物新品種、特許、商業秘密などのさまざまな知的財産権保護手段を総合的に運用して育種成果を保護するための積極的探索であり、育種のオリジナルのイノベーション、イノベーションの持続の奨励および多様で立体的な育種成果に向けた総合的法律保護体系の構築に利するものである。
(出典:中華人民共和国最高人民法院)