北京市知識産権局が「ジペプチジルペプチダーゼ阻害薬」特許権侵害紛争に関する一連の事件を処理
2023-07-19
事件の概要
請求人の武田薬品工業株式会社は名称を「ジペプチジルペプチダーゼ阻害薬」とする、特許番号ZL201110006009.Xの特許権者で、本件特許は請求人が権利侵害紛争の処理を請求した時点で合法的かつ有効である。
請求人の主張によると、被請求人の北京百霊威科技有限公司、北京邁瑞達科技有限公司は許可を得ずに、侵害製品の販売の申し出をそれぞれ行った。請求人は、上述の被請求人の行為はその特許権を侵害すると判断し、北京市知識産権局に処理を請求し、被請求人に本件侵害製品の販売の申し出の停止を要求した。2022年7月 18日、北京市知識産権局は法に基づき立件した。北京百霊威科技有限公司の弁明によると、自身が展示した化合物が請求人の知的財産権を侵害していることを知らず、すべての関連製品をすでに撤去しており、かつ市場で販売するための合法的な資格を取得するまでは、関連製品の販売の申し出を行わないことを約束した。北京邁瑞達科技有限公司の弁明によると、自身の公式サイトで本件特許に関係する化学試薬を表示しただけであり、かつ真の意味での侵害を構成しておらず、関連の化学試薬は公式サイトからすでに撤去、削除している。
北京市知識産権局は審理を経て、次のように判断した。北京百霊威科技有限公司が関連ウェブサイト上で販売の申し出を行ったCAS番号850649-62-6、中国語の通称を「ホン(くさかんむりに本)甲酸阿格烈汀」(アログリプチン安息香酸塩)とする製品は本件特許の請求項1—3の保護範囲に該当し、北京邁瑞達科技有限公司が関連ウェブサイト上で販売の申し出を行ったCAS番号850649-61-5、中国語の通称を「阿格烈汀」(アログリプチン)とする製品は、本件特許の請求項1および請求項2の保護範囲に該当する。2名の被請求人には本件製品の販売の申し出が存在する。2022年11月2日、北京市知識産権局は2件の事件に対して行政裁決を下し、被請求人に本件侵害製品の販売の申し出の停止を命じた。
専門家の講評
本件は糖尿病の治療と予防に関係する医薬品の特許権侵害紛争である。技術に関する事実を明らかにするために、北京市知識産権局は技術調査官を派遣して調査意見を作成し、合議体が真摯に評議を行ったことにより、技術に関する事実は明らかで、証拠に対する考慮も全面的で、最終結論には専門性および科学性がある。請求人は日本の製薬企業であり、事件の処理は中国が知的財産権保護において国内外の企業を同一視し、平等に扱うことを示すものであり、市場の公正な競争環境の創出、ビジネス環境の継続的な最適化にとって有益である。(北京知的財産権司法保護研究会副事務局長 衣朋華)
(事例出典:中国国家知識産権局ウェブサイト)
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