「冬季五輪マスコット」に係る著作権侵害事件

2023-08-22

  事件の基本情報

  事件番号:(2022)京0106刑初86号

  公訴機関:北京市豊台区人民検察院

  被告人:任某

  事件の概要

  2022年北京冬季オリンピック・パラリンピック組織委員会(以下、「北京冬季五輪組織委員会」と略す)は、美術の著作物である2022年冬季オリンピック・パラリンピックのマスコットの著作権者である。2022年冬季オリンピック・パラリンピック開催準備期間中の2021年11月から12月にかけて、任某は北京冬季五輪組織委員会の許可を得ずに、営利を目的として、現住所である河北省保定市容城県で2022年冬季五輪マスコットの人形を自作し、インターネットショップを通じて北京市豊台区などに販売し、売上額は人民元6万元以上に上った。

  任某は2022年1月1日に北京市公安局豊台支局六里橋派出所の警察官によって逮捕され、その居住地から未作製のマスコット人形の素材30点余り、未販売のマスコット人形160点余りが押収された。

  審法院は、任某が営利を目的とし、著作権者の許可を得ずに、著作権者が著作権を有する作品を複製頒布したことについて、情状が重大で、その行為は著作権侵害罪に当たり、法に基づき処罰されるべきであると判断した。任某が裁判で、犯罪事実を正直に供述し、自発的に罪を認めたことから、法により処罰を軽減し、刑法第217条第1号などの規定に基づき、懲役1年、罰金4万元に処し、引き続き任某の不正所得を追徴して国庫に納付し、犯行に使用された携帯電話1台を没収、保管し、著作権侵害のマスコット人形および素材を没収して廃棄する旨の判決が言い渡された。任某は控訴せず判決が確定し、一審判決は発効した。

  コメント

  本件は北京冬季五輪マスコットという美術の著作物の著作権を侵害した中国初の刑事事件である。冬季五輪の重要なシンボルである冬季五輪マスコットは、創作者の並外れた創作の知恵が凝縮された、芸術的な美しさが際立つ美術の著作物であり、中国の著作権法で保護されるものであり、刑法犯に該当する著作権侵害の対象でもある。本件は北京冬季五輪開幕前に結審し、冬季五輪の知的財産権侵害の犯罪行為の責任を刑事手続きにより追求し、厳罰に処したことで、法に基づき知的財産権を保護する中国の決意と姿勢を十分に知らしめ、中国の冬季五輪関連の知的財産権保護に対する国際的なイメージを効果的に高めた。

  (事例の出典:北京市高級人民法院WeChat公式アカウント)

 

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