二審で判決変更!120万が満額支持、権利侵害の実質的支配者と工具会社の連帯責任を認定、実質的支配者の絶対多数の割合での連帯責任が強調

2024-11-26

 事件の概要

 原告のドイツリキモリ社(Liqui-Moly Gesellschaft Mit Bescherankter Hfatung)は国際的に有名な自動車用潤滑油、添加剤のブランドオーナーであり、原告のLIQUIMOLY、力魔ブランドのエンジンオイルは1957~1960年前後に販売が開始され、車両用添加剤、潤滑油および自動車のメンテナンス分野において継続的に欧州や世界市場で上位を占めている。原告のLIQUIMOLY、力魔ブランドのエンジンオイル、潤滑油などの製品は、2005年の中国市場への参入以来、長年にわたる使用および宣伝・普及を経て、極めて高い知名度を誇っている。また、原告のドイツリキモリ社も、中核的な事業および生産・販売製品について商標区分の第1類、第4類などで「LIQUI MOLY」「力魔」「」のシリーズ商標を登録している。

 被告の何某茜、林某香、何某鵬は、母子、母娘という直系の親族関係にあり、この3名のグループは共同の合意および役割分担により商標の冒認出願、登録商標の変形使用、虚偽の宣伝などの権利侵害および不正競争行為を実施した。具体的には以下のとおりである。

 一.商標の冒認出願

 2010年10月9日、2014年8月7日に、林某香は第15112414号商標、第8723418号商標を出願し、2011年10月21日、2015年11月28日に、上述の2件の商標は登録を許可された。2018年8月30日、林某香は被告の浙江某某力魔公司(当該公司の法定代表者および実質的支配者は林某香の息子の何某鵬)に上述の商標の使用を許諾した。2021年11月13日、2021月12月31日に林某香はさらに上述の2件の商標をその娘の何某茜に譲渡した。この2件の冒認商標は最終的に2024年1月に北京市高級人民法院の審理を経て、《商標法》第44条第1項「その他の不正な手段により登録を得た」という絶対的な理由により無効とされた。

 二.被告グループは共同の合意および厳密な役割分担により、被疑侵害フィルタ製品を継続的に生産、販売し、かつ虚偽の宣伝などの不正競争行為を実施した。

 林某香の娘の何某茜は2014年11月27日にウルムチ市天山区延安路の力魔某某商店(個人事業主)を設立し、かつ2017年にTOYOTAなどのブランドを侵害するフィルタを販売したことにより市場監督管理局の処分を受けた。その後2019年に何某茜はさらにその個人事業主の名義によりロシアタタールスタン国際自動車部品展覧会に参加し、かつ本件の被疑侵害フィルタ製品の展示・営業を行った。原告のドイツリキモリ社はこの件について何某茜に弁護士名義の書簡を発送し、関連の権利侵害行為の即刻停止を要求した。しかし、何某茜は何の対応も取らなかっただけでなく、本件の審理過程においても、その経営する天山区延安路の力魔某某商店で被疑侵害フィルタ製品の販売を継続し、かつ店舗入口でも被疑侵害標章を目立つ形で使用していた。これ以外にも、何某茜は2016年9月22日に被疑侵害標章のを、美術著作物として著作権登記証書の手続きを行っていた。

 林某香の息子の何某鵬は2018年8月24日に浙江某某力魔汽配有限公司(自然人による独資)を設立したが、何某鵬は同社の法定代表者、執行董事、管理者および実質的支配者であり、同社は被疑侵害フィルタ製品の生産・販売・輸出を手掛け(その販売形式にはオンライン(1688ショップ)とオフラインを含む)、カザフスタンなどの国と地域に輸出していた。同社はまた、ドイツリキモリ社の信用力に便乗することを目的とする「ドイツブランド」「ドイツクオリティ」などの虚偽の宣伝行為を実施した、本件の被疑侵害標章の直接の使用者である。2022年1月、原告の苦情申し出により、浙江某某力魔汽配公司は金華市市場監督管理局によりドイツリキモリ社の関連商標の専用権に対する侵害を理由として行政処罰を受けた。原告はまた、被告グループによるオンライン、オフラインでの権利侵害および不正競争行為に対し、金華市中級人民法院に救済を求める民事訴訟を提起した。

 三.民事上の司法救済

 一審法院は審理を経て、被告の浙江某某力魔汽配公司が原告の関連商標の専用権に対する侵害を構成し、原告の商号に関する虚偽の宣伝・不正競争行為を構成すると判断したが、本件証拠では林某香、何某茜、浙江某某力魔汽配公司が合意のもとで、異なる役割分担により被疑侵害および不正競争行為を実施したことを証明するには不十分であると判断し、最終的に一審では浙江某某力魔汽配公司に被疑侵害および不正競争行為に対して30万元の権利侵害による損害賠償責任を負うことを命じる判決が下された(権利侵害行為の停止に関する判決内容は省略)。

 原告はこれを不服として、浙江省高級人民法院に控訴し、浙江省高級人民法院は審理を経て判決を変更し、林某香、何某茜および浙江某某力魔汽配公司は共同権利侵害を構成し、連帯して責任を負うこととなった。さらに判決を変更し、原判決で確定した賠償金額を引き上げ、ドイツリキモリ社が主張する経済損失および合理的支出計120万元を満額支持し、何某香、林某茜は共同で実施した商権侵害行為についてそのうち100万人民元に対して連帯して責任を負うこととなった。

 典型事例の意義

 本件の円満な解決は原告が被告の悪意ある冒認商標を無効とすることに成功しただけでなく、さらに原告が行政と司法レベルにおいて全力を尽くして有効な救済手段を十分に活用し、自身の正当な権利・利益を守る戦いに全面的に勝利したことを意味するものである。

 

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