事件の概要
LIQUI MOLY GmbH(以下、「ドイツリキモリ社」という)は第G803684号「」、第G567461号「LIQUI MOLY」および第4973900号「力魔」の商標権者である。被告の保力克潤滑油(珠海)有限公司(以下、「保力克公司」という)は標章「
」「」「」の潤滑油、エンジンオイルなどの製品を生産、販売している。一審法院は審査を経て、保力克公司および珠海美合科技股份有限公司(以下、「美合公司」という)が生産し、かつ保力克公司および広東天辰商貿有限公司(以下、「天辰公司」という)が販売する被疑侵害標章「 」「」「」を使用した潤滑油製品は、ドイツリキモリ社の登録商標の専用権を侵害し、保力克公司がエンジンオイル、潤滑油上でドイツ国旗、GERMAN TECHNOLOGYなどの要素を使用し、かつ宣伝する行為は《不正競争防止法》第8条第1項に定める虚偽の宣伝・不正競争行為を構成する旨を認定し、次の内容を命じる判決を下した。保力克公司、天辰公司および美合公司はドイツリキモリ社の登録商標の専用権を侵害する行為を直ちに停止する。保力克公司は不正競争行為を直ちに停止する。保力克公司はドイツリキモリ社に経済損失および合理的費用計70万元を賠償し、美合公司は30万元を限度として連帯して弁済する責任を負い、天辰公司は25万元を限度として連帯して弁済する責任を負う。
美合公司は一審判決を不服として、自身は生産業者であり、賠償責任を負うべきではない旨を主張し、広東省中山市中級人民法院に控訴を提起し、法院に判決を変更し、美合公司は連帯して弁済する責任を負う必要がないものとし、または美合公司が連帯して賠償すべき金額を減額することを求めた。
二審法院の認定
美合公司は保力克公司の委託を受けて容器への充填を行う時点で、保力克公司が提供する権利侵害標章が印刷された潤滑油、エンジンオイル容器について、事情を知っていた。商標「」「」「力魔」はドイツリキモリ社が長期的に使用し、高い知名度と名声を誇っている。美合公司は2007年に設立され、かつ登録資本金が7,560万元にのぼる潤滑油加工の専門企業であり、生産規模は比較的大きく、専門知識も相応に高く、ドイツリキモリ社の上述の商標に関する事情を当然知っているべきであるが、依然として保力克公司の委託を受け、上述の権利侵害標章が印刷された潤滑油、エンジンオイル容器に充填を行っており、保力克公司と共に共同権利侵害を構成することから、美合公司は権利侵害行為について当然連帯して弁済する責任を負うべきである。一審法院は保力克公司にドイツリキモリ社の経済損失および合理的費用計70万元の賠償を命じる判決を下し、美合公司に30万元を限度として連帯して弁済する責任を負うことを命じる判決を下した。本件における保力克公司、美合公司の権利侵害行為、侵害規模、各当事者の役割などの要素を総合し、中山市中級人民法院は一審判決が命じた連帯して弁済する責任を負う金額は合理的であり、維持すべきであると判断し、控訴を棄却し、原判決を維持する判決を下した。