集佳が代理人を務めた益世界公司が「動友富翁」を提訴したゲームの「皮換え」による権利侵害事件において、賠償金500万の判決

2025-06-20

 事件の概要

 上海益世界信息技術集団有限公司(旧名:上海益玩網落科技有限公司)は2012年に設立された、自社開発、独占代理、共同運営、広告宣伝を行う、プレーヤーのためのプラットフォームを有する総合的なオンラインゲーム企業である。「金幣大富翁」は益世界公司が発表した現実世界をテーマとするQ版(2~3等身のミニキャラ)2Dの多人数参加型オンライン経営シミュレーションゲームであり、ゲームがリリースされるや否や爆発的な人気を集め、極めて高い知名度を有している。

 麟貝公司、動友公司、摩多公司が共同で開発、運営する「動友富翁」ゲームは、その内容が「金幣大富翁」のゲームデザインを全般的に摸倣したものであり、さらには「動友富翁」ゲームのbug内容が「金幣大富翁」と同じである状況が発生している。

2種類のゲームの比較

 法院の認定および事件の結果

 法院は次のように判断した。本件における2つのゲームは同一タイプのゲームに属し、直接的な競合関係が存在する。益世界公司の「金幣大富翁」ゲームの本格的な運営開始から短期間で、麟貝公司、動友公司、摩多公司は「動友富翁」ゲームの開発、運営を実現したが、これは本質的に益世界公司から同タイプのゲームの商機または市場シェアを奪う行為である。2つのゲームの操作方法やルールの比較状況から見ると、「動友富翁」ゲームは実質的に「金幣大富翁」ゲームの視覚的要素を入れ替えただけの「皮換え版」に過ぎず、しかもそのまま摸倣したことにより明らかな不具合が発生しており、2つのゲームがプレーヤーにもたらすゲーム体験はほぼ一致しており、ゲーム画面中の視覚的要素が異なる以外は、「動友富翁」ゲームは益世界公司の「金幣大富翁」ゲームの「復刻」版と言うことができ、このような程度の摸倣行為は合理的な限度を明らかに逸脱しているとともに、実質的な置き換えをもたらし得るものであり、合理的な参考、自由な摸倣の限界をすでに超えており、盗作の域に達している。「金幣大富翁」ゲームの操作方法やルールを完全に盗作し、その視覚的要素を別の内容に入れ替えただけであることこそが、まさに麟貝公司、動友公司、摩多公司がわずか数か月で「動友富翁」ゲームの開発、運営を実現することができた重要な要因である。通常のゲーム開発手順に従っていれば、操作方法の設定、パラメータデザインなどだけでも繰り返し試行錯誤と改善を行う必要があり、麟貝公司、動友公司、摩多公司が短期間で「動友富翁」ゲームを公開、運営し、益世界公司の「金幣大富翁」ゲームと市場競争を展開し、関連のマーケットシェアを不正に強奪できるとは限らない。この3社は自己の知的労働または資金を投じて競争優位性を勝ち取ったのではなく、盗作という手段により他者の知的成果において重要かつ中核的なオリジナリティという商業的価値を直接奪ったものである。このような他者の知的成果を無断で使用し、他者の莫大な投資をないがしろにし、他者の信用や事業利益を犠牲にして商機を奪う行為は、信義誠実の原則および広く認められている商業道徳に反するものであり、不正競争行為を構成する。ついては麟貝公司、動友公司、摩多公司に対して益世界公司の経済的損失および合理的支出の合計500万元を共同で賠償することを命じる。

 典型事例の意義

 本件の判決は不正競争防止法、著作権法に基づき、ゲーム産業の商用運営の法則を尊重した上で、ゲームの操作方法やルールが不正競争行為の構成事由に該当するか否かを分析、認定し、ゲーム市場の競争秩序を乱す行為を規制し、ゲーム開発業者の正当な権利利益を守る内容となっている。

 

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