事件の概要
シムライズ(Symrise AG、以下、「シムライズ社」という)はドイツのホルツミンデンに本社を構える、世界のエッセンス・香料、食品および化粧品原料、栄養補助食品主要メーカーの1つである。2006年、シムライズ社はフランクフルト証券取引所に上場した。2023年、シムライズ社の所得は47億3,000万ユーロであった。
2023年8月、某無効審判請求人がシムライズ社の「抗微生物組成物」という名称の中国の特許(以下、「係争特許」)に対して特許無効審判を請求し、そこには公開が不十分である、請求項が明細書の記載範囲を超えている、進歩性に欠けるなどの無効理由が含まれている。
シムライズ社は集佳に代理人としてこの無効審判請求に対応することを依頼した。依頼を受けた後に、集佳チームは係争特許および請求人が提出した請求書および大量の証拠資料を入念に検討し、かつクライアントと詳細な議論を行った。これに基づき、無効審判請求における無効理由に対して、逐一詳細な答弁意見を準備し、合議体に提出した。
そのうち、公開が不十分であるとの無効理由について、無効審判請求人は係争特許の実施例にはテスト方法の記載がないと判断した。集佳チームは係争特許の明細書には効果データの明確な記載があり、かつ明細書の別の段落にテストの関連規格の明確な記載があることから、当業者は明細書の記載内容に基づき容易に関連の規格を選択し、テストを行うことができると判断した。請求項が明細書の記載範囲を超えているという無効理由について、集佳チームは各特徴が明細書の記載範囲内である理由を個別に分析し、補足的な実験データを提出し、かつ無効審判請求人が提供した関連の証拠に逐一応答した。進歩性に欠けるという無効理由について、集佳チームは先行技術に技術的示唆が存在せず、反対の教示が存在するなどの反論理由に重点を置いて陳述した。
口頭審理の状況に基づき、集佳チームは実験データをさらに補足することにより係争特許の公開が十分であること、そして請求項が明細書の記載範囲内であることを証明する必要があると判断した。このため、補足的な代理意見を準備し、国家知識産権局に提出した。最終的に係争特許の請求項を変更しない状況の下で、国家知識産権局は専利権の有効性を維持する審決を下した。
本件の決定過程における要点
「実験データのテスト方法が本分野において公知であるならば、当業者は明細書の記載内容に基づき上述の方法を確定することができ、そうでなければ明細書に当該テスト方法が記載されていないことを理由に明細書の開示が不十分であると認定することはできない」。