「夢特嬌(モンタギュ)」案件からの思考

2016-12-29

  集佳法律事務所 弁護士 戴福堂

  2004年12月16日、北京市第二中級人民法院(以下「管轄法院」と略称)は世間を騒がせたフランス「モンタギュ」商標権侵害・不正競争の案件(案件番号: <2004> 二中民初字第 04399 号)に判決を下した。筆者は同案件の原告の訴訟代理人として、この案件が映したいくつかの法律的問題について、簡単な評価を加える。

  一. 背景となる資料——案件の状況と判决

  管轄法院が、取り調べで明らかにしたことと認定したことは以下となる。

  原告であるフランスの「 Bonneteric Cevenole S.A.R.L. 」はフランスにて法に依り登録・設立された有限責任会社である。早くは 1991 年に中国商標局に「夢特嬌」という繁体字の文字商標と「花の絵柄」の図形商標 ( 図 1 参照 ) を登録しており、商標登録商品第 25 類の服、靴、帽子、ヘアアクセサリー等に使用されている。商標専有権は今だに有効期限内にある。前述の商標は原告の幅広い宣伝と長期的な使用により、すでに中国の大衆に広く知られており、原告「夢特嬌」ファッションは知名度の高い商品となっている。またこれと同時に、原告の商品の包装デザインは、赤い花に緑色の葉という上述の「花の絵柄」、「 MONTAGUT 」の文字、緑色の横線、横線上の「 PARIS 」という字を組み合わせた図案であり、この図案は原告が独自に設計したものであり、原告の商品特有のデザインと言える。

  これと同時に、管轄法院は、さらに取り調べで明らかにしたことと認定したことは以下となる。

  被告「広州梦嬌公子貿易有限公司」と「広州梦嬌公子服装有限公司」は、いわゆる「夢特嬌(香港)発展有限公司」の中国総代理、総販売商であり、広州、北京等でいわゆる「夢特嬌」の服を販売し、且つ、服、包装物、取引文書に、明らかに「夢特嬌」という文字を使用し、また原告の花の絵柄の登録商標に似た花の絵柄の商標(図 3 参照)( 筆者注:被告が実際使用している花の絵柄は2重の外側の円を除いていると法院は判定した )を使用し、大衆に誤認を招きやすく、申請者の商標専用権を侵害している。さらに、被告の商品の包装デザインでは赤い花に緑色の葉という絵柄(図 2 参照)(絵の外側に2重の円で囲んでいる)、黒い「 MENGJIAOBOY 」の文字、緑色の横線、横線には「 GUANGZHOU 」の字で組み合わされた図案を使用し、原告の知名度の高い商品の上述の特有な包装デザインと、構図、色等の面で似ており、消費者の誤認を招き、原告の不正競争が成立する。かつまた、被告の商品において原告の商品の偽造防止商標と似た偽造防止商標では、原告の商号「Bonneteric Cevenole S.A.R.L.」を直接使用しており 、原告の不正競争が 成立する 。

  管轄法院の最終的な判决は、中華人民共和国の「民法通則」、「商標法」、「商標法実施条例」、「反不正競争法」と商標法に関する司法的解釈に基づき、被告は直ちに上述の原告の商標専用権を侵害する行為を止め、被告は上述の不正競争行為を直ちに止め、被告共同で、原告に経済的損失 35 万元を賠償する等の判决が下された。

図 1
図 2
図 3
原告の登録商標
被告の登録商標(認可済み)
被告の実際に使用している標識

  「パリ条約」の中国での司法適用

  本案件は被告が原告の商号Bonneteric Cevenole S.A.R.L.をみだりに使用している部分に及び、中国国内の法律では外国の会社の商号を保護する規定がないため、管轄法院は「パリ条約」の規定を直接援用して審理の根拠とした。

  中国はフランスとともに「パリ条約」のメンバー国であり、同条約での上述の規定に基づき、原告には他者がメンバー国内で商工業活動の際、誠実な慣例に違反する不正競争行為に対して取締を要求する権利を有し、原告はそのフランス語の企業名が中国で主張する権利を有した。その主張された権利は中国の法律の保護を当然受けるべきである。

  登録商標の侵害容疑に対する訴訟

  本案件において、被告が商標権侵害容疑の標識(図2の花の絵柄)について、商標専用権を有することで、被告はこれを理由に権利侵害にあたらないとして抗議していた。しかし、裁判所は被告のこの抗議・主張を支持しなかった。その理由は以下となる。

  原告は、訴訟開始時に被告が登録した商標の問題に及ばないとし、被告の実際に使用している花の絵柄の標識(—被告が実際に使用している花の絵柄は外側の円を除いている)が、原告の上述の花の絵柄の登録商標に似ており、侵害となると明確にした。

  同時に、かりに被告が登録商標を改めておらず、また他の商業的目印と一緒に使用し、全体的に他人の登録商標または包装デザインと似た状況下では、同様に商標侵権または不正競争が成立する可能性がある。そこで、管轄法院は登録商標を登録商標に直接対抗する問題とすることはできないとして解決した。即ち登録商標が訴えられれば、「商標法」の規定に従い使用していても、これらの使用は(他の商業的目印と一起であり)、つまり「反不正競争法」の保護範囲に入り、権利者特有の包装デザインの専用権に対する侵害であり、不正競争が成立する。

  包装デザインの法律的保護

  包装デザインの法律的保護は主に 1993 年の「反不正競争法」を根拠に、国家工商局の 1995 年の「知名商品の特有の名称、包装、デザインを偽造するという不正競争行為を禁止する若干の規定について」、及び司法的実践において熟した方法を参照する。

  司法的実践における関連の包装デザインの法律保護が及ぶ主な問題は以下のとおりである。

  4.誠実信用の原則

  [条項の帝王」と称され、広くかつ大量に司法的実践において適用され、偽物、他人の商業的目印をまねる案件で「誠実信用」の原則が多く援用されている。具体的な条項で規定されてはおらず多様な偽物侵害行為を拘束する際に、この「誠実信用」の原則がその案件の「最終条項」となっている。

  2.どのように「知名度の高い」商品として認定するか。

  商品の包装デザインが「反不正競争法」の保護を受けようとする場合、この商品は必ず「知名度のある」商品でなければならない。いわゆる「知名度の高い」商品とは、特定の市場において一定の知名度があり、大衆に広く知られている商品のことである。「知名度」の認定には、その商品の特定市場での生産・販売の歴史と市場の合理的な占有率、商品の品質、名誉度、広告のカバー地域、経歴期間と広告の頻度等の要素を総合的に考慮しなければならない。

  本案件において、原告は裁判所に大量の証拠を提出し、「モンタギュ」の知名度を証明し、裁判所に「知名度の高い商品の認定」をさせたのである。

  3.どのように「特有」の包装デザインを認定するか。

  包装デザインは顕著な状況下で、「特有」の「反不正競争法」保護を受ける客観的な可能性を有する。

  いわゆる「特有」とは、経営者が単独に使用または他人から授権されて単独で使用し、他の経営者の同系の商品と区別できる名称、包装デザインを指す。「特有」の認定は、先に使用するという原則で認定され、「特有」を認定しなければならない。同一の市場において認定するには注意が必要で、ここには競争関係のある同一地域での市場や、競争関係にある同類の商品市場が含まれる。

  本案件において、裁判所は以下のように認定した。原告の商品の包装デザインの図案は原告のオリジナルの設計であり、原告の商品の特有なデザインに属する。被告の商品の包装デザインは図案を組み合わせて、原告の知名度の高い商品の上述の特有な包装デザインと、構図、色等の面で似ており、消費者の誤認を招き、原告の不正競争が成立する。

  4.どのように「近似」と「混同」を判定するか。

  「近似」をどのように判定するかについて、以下の原則に基づき判断しなければならない。(一)大衆の一般的な注意力を基準とする。(二)包装デザインの全体的に比較対照し、また包装デザインの主要部分を比較対照する。(三)対象を隔離した状態でそれぞれ比較対照する。(四)近似か否かの判断については、包装デザインの特有性と知名度の保護要求を考慮しなければならない。

  どのように「混同」と判定するか。「混同」とは大衆の商品の出所に対する誤認を招く、または商品の出所と知名度のある商品との特定の関係が認められる場合を指す。

  5.「損害の結果」の発生を証明する必要があるか。

  知的所有権の侵害責任の構成は厳格な責任原則を採用しておらず、これはその他の伝統的な侵害理論とは異なる。混同に「相当する」、誤認の「可能性がある」と証明するだけで、侵害成立が認められる。そこで、通常は行為者が権利者の特有の包装デザインをまねたことを証明さえすれば、行為者の侵害成立が認められ、損害の結果を証明する必要はない。

  (本文案件の状況は当事者の情報を含めて、すべて北京市第二中級人民法院 <2004> 二中民初字第 04399 号「民事判决書」にて公開されたものである 

 

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