中国貴州茅台酒廠(集団)有限責任公司が深セン市漢栄世紀実業有限公司、深セン市金尊酒業有限公司を訴えた商標権侵害紛争事件

2017-01-04

  事件の概要:

  原告は第3159143号登録商標「色指定」および第3159141号登録商標「貴州茅台」の所有者である。両被告は原告から承認を受けずに、「茅台万元創業計画」と題して、深セン、西安、成都などで「中国共産主義青年団創業中国茅台創業連盟深セン始動大会」などの活動を実施し、前述の2件の登録商標を使用して茅台原酒を小瓶で販売した。また、被告である深セン市漢栄世紀実業有限公司の公式サイト、深セン財経生活チャンネル、深セン移動チャンネルおよび全国の多くの主要サイトで宣伝、報道した。

  法院は、両被告は偽の登録商標の商品を販売してはいないものの、関係するサイト、カラー広告、従業員の名詞、創業者特約代理販売合意書、および全国各地の発表会や各大手テレビ局、主要ネットサイトの関連報道において、大量に図形や「貴州茅台集団」の文字、「貴州茅台酒」の図上の商標を使用しており、その行為は商標の使用に当たる。故に両被告が原告から承認を受けずに登録商標を使用した行為は原告の商標権を侵害しており、法により賠償すべきであると判断した。

  コメント:

  本事件は、ある種特殊な商標権侵害行為のパターンにかかわる。「中華人民共和国商標法」第48条では、商標の使用とは、商標を商品、商品の包装若しくは容器及び商品の取引文書において又は広告宣伝、展示若しくはその他の商業活動において、その商品の出所を区別するために使用する行為をいうと規定されている。商標を使用する限りは、必ず権利者から承認または許可を得なければならず、そうしなければ商標権の侵害を構成する。このため、本事件で両被告は偽の登録商標の茅台酒の販売は行っていないものの、原告から承認または許可を得ていないという前提において、貴州茅台の知名度を利用し、原告が商標権を持つ2つの登録商標を使用して、いわゆる「茅台万元創業計画」を大々的に宣伝するとともに、別の商品を販売したことは、商標権の侵害行為を構成するものであり、社会に悪影響を与え、権利者の信用を大きく損ねることになる。

 

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