温瑞安氏任侠小説改変権および不正競争紛争事件

2017-06-12

   2017年4月20日に、北京市高級人民法院は2016年司法保護十大典型事例を公表し、集佳が代理業務を担当した「微信」商標異議再審行政事件、温瑞安氏任侠小説改変権および不正競争紛争事件がともに入選した。

   北京市高級人民法院が毎年公表する十大典型事例はいずれも典型的意義が比較的高く、社会的影響も比較的大きいため、注目を集めており、集佳が代理業務を担当した事件は多くの事件の中で抜きん出ており、光栄にも2件が入選することができたことは、集佳の専門的素養および職業レベルを十分に示すものであり、事件の勝訴により、各自の分野における類似事件において参考に資する権利維持の模範を示した。

   事例の詳細を以下のとおり紹介する。

   担当弁護士:侯玉静弁護士、閻春徳弁護士

   事件の概要:

   「四大名捕」は原告の温瑞安氏が創作した100作品以上の任侠小説のシリーズ名であり、「四大名捕闘将軍」、「四大名捕震関東」、「四大名捕会京師」などがある。「四大名捕」は上述のシリーズ小説全体を通じて登場する中心人物であり、朝廷の中の正義の実力者である「諸葛正我」の4人の弟子で、それぞれ絶技を有し、具体的には軽功・暗器の達人の「無情」、内功に卓越した達人の「鉄手」、腿功が驚異的な「追命」および剣法が一流の「冷血」である。被告の北京市玩蟹科技有限公司(以下、「玩蟹公司」とする)が開発した携帯電話用オンラインカードゲーム「大掌門」は、「冷血」、「無情」、「鉄手」、「追命」および「諸葛先生」の5名の人物および対応する人物名、人物間の関係、外見の特徴、生い立ち、性格の特徴、武術の動作などを使用し、原告の「四大名捕」シリーズ小説の改変権を侵害した。また、人民網ゲームチャンネルには「『大掌門』が再びスター級の弟子を迎え、『四大名捕』が復活」、「『大掌門』追命が出陣し、四大名捕は最終局面」などの文章が掲載され、類似内容の記事が多くのゲーム関連ウェブサイトに掲載された。原告は被告が「四大名捕」を売り文句として「大掌門」ゲームを宣伝、普及する行為は不正競争を構成すると判断した。

   改変権について、法院の見解は次のとおりである。「冷血」、「無情」、「鉄手」、「追命」および「諸葛先生」は温瑞安氏が入念に作り込んだ、不思議な生い立ち、独特な武術の動作、鮮明な性格の特徴、および他に類を見ない外見のイメージを有する小説における5名の重要な登場人物であり、「四大名捕」シリーズ小説を構成する基盤であると同時に、「温瑞安派」の任侠小説を結びつける重要な存在でもある。事件に係る5名の人物は温氏の小説の中で独創性が比較的高い構成部分であり、「温瑞安派」の任侠思想を表現する重要な役割を担っている。温氏はその小説の著作権を有し、それはその中の独創性に係る表現部分の著作権を有することも含めなければならない。「大掌門」ゲームは、ゲーム画面上の情報、カード上の人物の特徴、文字説明および人物間の関係を通じて、温氏の「四大名捕」シリーズ小説の登場人物である「冷血」、「無情」、「鉄手」、「追命」および「諸葛先生」のイメージを表現したのは、オンラインカードゲーム方式により温氏の任侠小説の独創的な人物に対する表現であり、温瑞安氏のその作品の改変権を侵害した。

   不正競争について、法院の見解は次のとおりである。「大掌門」ゲームの宣伝記事はいずれも第三者が執筆し、第三者のウェブサイトで発表したものであり、玩蟹公司との関係を直接示すものではなく、玩蟹公司もこれについて否認したことより、温瑞安氏のこの部分に関する主張は、支持しない。

   最終的に、法院は玩蟹公司に影響を取り除き、温氏への賠償金80万元の支払を命じる判決を下した。

   典型事例の意義

   これは金庸氏の任侠小説オンラインゲーム改変権、不正競争に係る一連の事件に続くもう1つの重要な事件であり、本件と金庸事件の違いは、「大掌門」ゲームはその全体的な構成上で温瑞安氏の小説の人物間の関係、状況設定を改変せず、温氏が創作した100作品以上の任侠小説のシリーズ名である「四大名捕」および5名の主な人物を、カード上の人物として使用した点である。本件では著作権法の意味における表現が、生い立ち、武術の動作、性格の特徴、外見のイメージを含む人物像まで拡大され、今後の文学作品のオンラインゲームの改変権を判定する上で、より有力な保護に関する考え方を提供するものである。

 

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