「奔跑吧兄弟」商標登録異議申立事件

2017-08-28

  基本状況:

                                 奔跑吧兄弟

  (被異議申立商標第18類)                  (著名映画・テレビ作品名)

  異議申立人:浙江藍巨星国際伝媒有限公司

  被異議申立人:瑞安市科諾貿易有限公司

  主な理由および法的根拠:被異議申立商標は異議申立人の著名なテレビ番組の先使用権および美術作品の著作権に損害を与えた。《商標法》第32条の規定に基づき、被異議申立商標の登録を拒絶することを請求する。

  主なやり方と経験:

  「奔跑吧兄弟」は異議申立人が先に導入、製作したもので、この命名による独創的なテレビ番組の名称であり、浙江衛星テレビにおいて多数回再放送された。代理弁護人は十分に保護されるよう、《商標法》第32条「他人の既存の先使用権に損害を与える」に関連した点から十分な論述を行った。

  第1段階:「著名映画・テレビ番組名称」が《商標法》第32条の規定する先使用権の範疇に属することを論証する。

  異議申立人が提供する主な証拠には、韓国企業との「奔跑吧兄弟」番組の協力合意、番組各回の紹介、番組視聴率、商品イメージキャラクターなどの証拠が含まれる。「奔跑吧兄弟」が異議申立人の先の独創的なテレビ番組の名称で、バラエティ番組視聴率ランキングにおいて安定的に上位にあり、2017年初めの最新の改正《商標審理基準》において規定された「先使用権」に属し、《商標法》第32条の規定する先使用権の範疇に入れなければならないことを十分に論証する。

  第2段階:「著名映画・テレビ番組名称」が著作権と同等に保護されることを論証する。

  著作権のほか、一般的な先使用権の保護範囲は、同一または類似の商品(役務)のみに及ぶ。この点を鑑み、本事件は保護の目的を実現することが難しい。十分に保護されるには、当該映画・テレビ番組名称が著作権の範疇に属する、または種類にまたがる保護の現実的需要があることを論証しなければならない。代理弁護士は次のように分析した。《著作権法》第3条の規定する作品の種類には映画・テレビ作品名称が明確に含まれていないものの、当該条項は開放式の規定であり、《著作権法》は「作品の完全性を保護」しなければならないと規定し、映画・テレビ作品の完全性を意味するのは作品の内容、創作構想などだけではない。客観的には、映画・テレビ作品名称は映画・テレビ作品の構成部分に属し、すなわち映画・テレビ作品名称自体が著作権の範疇に属し、それを著作権と同等に保護することは法理上も可能である。このため、著作権保護期間内の作品に対し、作品名称、作品中の配役名称などの知名度が比較的高い場合、それを商標として関連商品に利用することにより、それが権利者の承諾を得た、または権利者と特定の関係が存在すると誤認されやすいため、当事者がそれにより先使用権の構成を主張する場合、これを支持しなければならない。「奔跑吧兄弟」は独創的なテレビ番組の名称であり、視聴率ランキングで安定的に上位にあり、一連の栄誉を得ており、十分に保護されなければならない。

  商標局の審理は異議申立人の上述の見解を支持し、「奔跑吧兄弟」はすでに著名な映画・テレビ作品名称として先使用権として保護されなければならない。被異議申立商標と異議申立人の著名な番組名称は完全に同一で、誤認を招きやすいため、《商標法》第32条の先使用権の規定に基づき、被異議申立商標の登録を拒絶するとした。

  典型的意義:

  本件の典型的な点は、「著名映画・テレビ番組名称」を先使用権に組み入れ、《商標法》第32条の先使用権の著作権と同等に保護したことである。著名映画・テレビ作品名称は商業的価値および広範な影響力を持っており、他者の使用が「ブランドの便乗使用」による不当な利益の取得という嫌疑をかけられ、権利者の関連利益を損なうため、「著名映画・テレビ番組名称」を《商標法》第32条の先使用権の範疇に組み入れ、保護することには現実的需要がある。また、「著名映画・テレビ番組名称」は著作権の重要な構成部分として著作権と同等に保護されなければならず、実質的に「著名映画・テレビ番組名称」が著作権法の保護範囲に属すると認められた。「著名映画・テレビ番組名称」を先使用権に組み入れ、先使用権著作権と同等に保護されたことは《商標法》の快挙である。これを契機に迅速に細則が公布され、作品名称権保護過程を前進に導くことが期待される。

 

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