集佳が捜狗公司(Sogou)を代理した「入力過程での情報削除に関する方法および装置」に関する特許(ZL200810116190.8)の無効審判事件について、先頃、再審委員会による審査の決定を受け、特許権がすべて有効であることが維持された。当該特許は、これまで請求者から3回にわたり無効審判が請求され、集佳はいずれも捜狗公司の代理として3回連続勝訴した。また、先日、北京知識産権法院は本件にかかわる当該特許に対する一審判決で、百度公司(バイドゥ)に対し、権利侵害行為の即刻停止、すなわち本件にかかわる特許権を使用する「百度携帯電話入力ソフト製品」の発行、または第三者へのあらゆる方式による提供を直ちに停止するよう判決を下した。
無効審判請求審査決定書 (第 35082 号) |
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専利法第46条第1項の規定に基づき、専利再審委員会は請求人に対し、上述の専利権について提出された無効審判請求を審査し、ここに次の通り決定する。 □専利権のすべてが無効であることを宣告する。 □専利権の一部が無効であることを宣告する。 ■専利権が有効であることを維持する。 専利法第46条第2項の規定に基づき、この決定に不服がある場合は、この通知を受け取った日から3か月以内に北京知識産権法院に訴えを起こすことができ、相手方当事者は第三者として訴訟に参加する。 添付:決定書の本文計15ページ(本文は2ページ目から起算)。 |
判決 |
一.被告の北京百度網訊科技有限公司は、この判決の発効日から、第 200810116190.8 号、名称を「入力過程での情報削除に関する方法および装置」とする特許権の使用を直ちに停止する。 二.被告の北京百度網訊科技有限公司は、この判決の発効日から、第200810116190.8号、名称を「入力過程での情報削除に関する法法および装置」とする特許権を使用した「百度携帯電話入力ソフト製品」の発行、または第三者へのあらゆる方式による提供を直ちに停止する。 |
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今回の無効審判の口頭審理では、本件にかかわる特許に対し請求者から提出された第2回目および第3回目の無効請求が合わせて審理された。この事件の注目ポイントは、使用公開(使用による公開――訳注)の7組の証拠の証拠適格の問題、およびそれが本件にかかわる特許の新規性、創造性を損ない得るかという点にある。
(請求者が使用公開の証拠としようとして提出した旧型携帯電話7機種。左から右、上から下へ順に、フィリップス9@9r、夏新A8、波導V08、夏新M66、モトローラW161、パナソニックX77、サムスンSGH-S508)
双方の紛争の注目点、および合議体による認定は主に次のとおりである。
1.証拠1~7は使用公開の証拠たり得るか
特許権者の考えによれば、請求者が提出したいわゆる使用公開の証拠は、証拠の「3性」要件、すなわち「真実性、適法性、関連性」を満たすことができない。簡単に言うと、請求人が使用公開の証拠として提出したすべての証拠は、いずれも2000年前後の旧型の携帯電話であり、その携帯電話の購入日を証明できるいかなる購入証明もなく、すなわち、その携帯電話に使われている技術方案の公開日を証明することができず、したがって、請求者が提出した証拠の間には完全な証拠チェーンが形成され得ず、それらの証拠はいずれも、使用公開の証拠として、本件にかかわる特許の新規性を評価することはできない。合議体は、証拠の適格性に関する特許権者の意見を認めるとともに、請求者が提出した証拠および証拠チェーンは、この特許の新規性および創造性の評価に用いることができないと認定した。
2.引用文献1-1・引用文献8・周知技術の組み合わせにより、この特許の請求項1の技術方案が公開されているか
請求者が提出した旧型の携帯電話は、使用公開の証拠に用いることはできないものの、引用文献1-1は旧型携帯電話の使用説明書として、証拠の形式的要件を満たしている。このことに鑑み、合議体は、引用文献1-1と請求項1との間に、次のような2つの異なる技術的特徴が存在することを認定した。1)すべてのコードの削除が完了した場合、前記削除キーのコマンドのアクセプトが一時停止する。2)前記削除キーの状態が、あらかじめ設定された条件を満たす場合には、削除キーのコマンドを引き続きアクセプトし、文字を削除するとディスプレイ上部の文字が削除される。
逆に、引用文献8では、そのレイテンシを設定する目的は、削除キーのバックスペース機能が作動しないことを保証する、すなわち削除機能からバックスペース機能への切り替えを実行しないためであるが、請求項1では、削除キーには削除機能しかなく、削除キーによるバックスペース機能および削除機能の切り替えに関する技術的問題は存在せず、あらかじめ条件を設定する目的は、削除キーのコマンドのアクセプトを一時停止した後、前記削除キーの状態があらかじめ設定された条件を満たす場合に、引き続き削除キーのコマンドをアクセプトするためである。したがって、合議体は、引用文献8ではレイテンシの設定が開示されているものの、引用文献8におけるレイテンシの設定の目的は、請求項1における条件設定の目的とは異なるため、引用文献8では、上述した異なる技術的特徴が開示されておらず、この分野の技術者は引用文献8に基づくいかなる関連技術の示唆も得ることができないと判断した。
本件において、請求者が優勢と思われた第2回目および第3回目の無効審判請求、および押し寄せる7組の使用公開の証拠に対し、集佳チームは主に次の点から着手し、十分に準備を行った。まず、同じ型番の7機種の旧型携帯電話を購入し、その機能および効果を十分に理解し、本件における特許の技術方案との比較を行った。次に、専利復審委員会が証拠チェーンに疑いがあるとして証拠能力を否定した類似事例を検索により発見し、本事件の合議体に十分な根拠および裏付けを提供した。また、専門家の証人の力を借り、技術的背景および原理の視点から踏み込んだ分析を行い、口頭審理において合議体に詳しく説明した。孫長龍氏、王宝筠氏、郭化雨氏、劉磊氏、仇思揚氏ら集佳チームの構成員が一丸となり、積極的に協力することで、本件の特許無効審判手続きでの捜狗公司の3回連続の勝利をサポートするとともに、本件の訴訟手続きにおける勝利のための強固な基礎を築いた。