集佳の訴訟代理成功事例――上海三聯(集団)有限公司、上海三聯(集団)有限公司呉良材眼鏡公司 対 南京呉良材眼鏡有限公司などの商標権侵害および不正競争紛争事件

2018-06-18

  主要状況:

  上海三聯(集団)有限公司呉良材眼鏡公司(以下、「上海呉良材」)の前身は、1719年に上海で創業した澄明齋珠宝玉器舗で、1807年に呉良材氏がこれを呉良材眼鏡店に改めた。1947年、呉良材氏の子孫である呉国城氏が南京市で支店を開設した。1979年、南京呉良材眼鏡有限公司(以下、「南京呉良材」)は、「呉良材」の文字をその企業名称として登録した。歴史的な原因から、上海と寧波の呉良材企業は、公私合営の形態を取ってから一切の関連性を持たなくなってしまった。1989年以降、原告は相継いで複数の「呉良材」文字商標を登録し、長期の使用を経て、市場において高い著名度を有するようになり、かつ2004年には著名馳名商標(日本の著名商標に相当――訳注)に認定された。2015年、原告は、南京市の呉良材とその支店などの登記・登録やその経営において「呉良材」を含む企業名称と標章が使用され、さらにその屋号が憚り無くフランチャイズ経営に使用されていること、また、対外的にも「南京呉良材公司は、上海呉良材眼鏡公司が設立した南京の支社が発展してきたもの」など公言していることを知った。両原告は、被告が商標権侵害と不正競争を構成していると考え、南京呉良材による「呉良材」を含む企業名称の使用の停止、3被告による権利侵害行為の停止、経済損失300万元の賠償、および影響の除去を命じる判決を求めた。

  判決:

  上海市黄浦区人民法院は審理の結果、次のように判断した。南京呉良材は、1947年設立の呉良材南京分公司との間に一定の歴史的関係が確かに存在し、かつ南京呉良材の企業名称の登録時点は原告の商標登録時点よりも先行していることから、同社が「呉良材」の文字を含む企業名称を登録・使用することは、原告に対する不正競争を構成しない。ただし、南京呉良材が、その企業名称の著名度と影響力が南京市の範囲をすでに超えたと証明する証拠がない状況において、南京市以外の地区で支店など出先機関を大量に開設し、フランチャイズを発展させ、「呉良材」の文字を含む企業名称の使用を許諾するなどの行為は、商標権侵害および不正競争を構成するものである。よって、南京呉良材およびその支店などフランチャイズ店の南京市以外の地区における「呉良材」の文字を含む企業名称の登録・使用の停止、経済損失260万元の賠償、および影響の除去を判決した。一審判決後、南京呉良材は上訴したが、二審法院は、上訴を棄却し、原判決を維持する判決を下した。

  典型的意義:

  歴史的な原因により、中国では少なくない数の老舗ブランドが異なる地区の異なる事業者にそれぞれ企業名称や登録商標として使用され、法律上の企業名称権と商標権の衝突のみならず、市場における事業者と関連商品・サービスの混同も生じさせた。本件の2つの審級の法院が準拠した「歴史尊重、混同禁止、誠実信用、利益衡量」という老舗の知的財産権にかかわる司法保護理念は、歴史的に形成された事実を尊重し、被告に相応の発展の余地を残しつつも、商標法の規定に基づいて登録商標の専用権を合理的に保護し、混同を生じさせる使用を禁止している。これは、事業者が順守すべき市場競争における信義誠実の原則を充分に反映しつつ、原被告および消費者の利益も合理的に衡量したものとなっている。本件の典型的意義は、司法によって老舗ブランドの継承と発展を保障し、老舗ブランドの権利の境界線を合理的に画定する上で、法的な思考を提示し、中国の「老字号」(老舗ブランド)の権利に関する紛争事件の妥当な処理について司法上の経験を提供した点にある。

 

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