事件の概要:
浙江三花智能控制股份有限公司(以下、「三花智控」という)は1994年に創立され、27年の発展を経て、家電用冷却部品、自動車用温度管理部品の2大事業を中核とする経営体制を構築した。家電用冷却部品のリーダー企業としての三花智控の規模の優位性は顕著であり、長期にわたり経営は安定している。今回の国際訴訟にかかわる電子膨張弁分野では、現在世界で量産を実現しているのはわずか6社で、三花智控は半分近い占有率により首位を占めている。
三花智控は韓国の某電子企業と安定した電子膨張弁の取引関係を構築しているが、某競合他社が当該韓国企業向けに類似した構造の電子膨張弁の販売を目論んでおり、当該電子膨張弁は韓国の某電子企業が中東地域向けに販売する空調に取り付けられることになっている。当該競合他社は韓国の某電子企業の注文を勝ち取るために、2019年初頭に自社製の電子膨張弁と三花智控の韓国における特許第1455952号および第1478777号について、韓国特許審判院に対して特許の保護範囲を確認する訴訟を提起し、自社製の電子膨張弁が三花智控の上述の2件の韓国における特許権の保護範囲に該当しないことを主張した。韓国特許審判院は審理を経て、一審判決において競合他社の電子膨張弁製品が第1478777号の保護範囲に該当するが、第1455952号の保護範囲に該当しないことを認定した。また、競合他社はさらに三花智控の韓国における特許第1157746号について韓国特許審判院に無効審判を請求し、韓国特許審判院の審理を経て、当該特許はすべて有効性が維持された。
上述の韓国特許審判院の2件の一審判決書に対して、某競合他社と三花智控はいずれも韓国特許法院に控訴を提起した。2021年9月、韓国特許法院は2件の二審判決を下した。
(1)第2020he6866号判決書:韓国特許審判院が下した判決(2019dang587号)を取り消し、某競合他社の明細書および図面に記載された発明が三花智控の韓国第1455952号特許の請求項1の権利の範囲内に該当することを認定する。訴訟費用は某競合他社が負担する。
(2)第2020he6613号判決書:韓国特許審判院が下した判決(2019dang588号)を維持し、某競合他社の上訴を棄却し、某競合他社の明細書および図面に記載された発明が三花智控の韓国第1478777号特許の請求項1~4、7~9の権利の範囲内に該当する(同等である)ことを認定する。訴訟費用は某競合他社が負担する。
典型事例の意義:
集佳が韓国SHIN &KIM法律事務所と共同で代理人を務めた三花智控は今回の韓国特許訴訟において全面的に勝利したが、これは現在までに国内企業が韓国特許法院で全面的に勝利した数少ない重要特許訴訟事件でもあり、本件は「三花智控」の電子膨張弁およびその他の製品の全世界における知的財産権保護にとっても重大な意義を有する。