上海市浦東新区知識産権局が“BORDEAUX” 地理的表示の侵害事件を摘発

2021-12-06

  事件の概要:

  第19564618号商標「BORDEAUX」はボルドーワイン委員会がワイン商品について登録している地理的表示の団体商標で、その権利の更新期限は2027年7月20日である。

  2019年4月25日、上海市浦東新区知識産権局は成都市市場監督管理局からの通報により以下の手がかりを得た。上海菲桐貿易有限公司(以下「菲桐社」という。)は全国糖酒商品交易会において商標「BORDEAUX」の権利侵害が疑われるワインを出展した。検査の結果、菲桐社は2018 年 7 月より煙台奥威依曼酒業有限公司に「BURKE LAFAEL」シリーズの赤ワインの製造を委託、ボトル、キャップ、ボトルラベル、内箱・外箱などの材料が提供していた。このうち、ボトルラベルについては菲桐社がサンプルを提供して深セン市大衛福音包装設計印刷有限公司に設計と生産を委託後、煙台奥威依曼酒業有限公司に納品され、貼付けが行われていた。菲桐社はワインボトルのラベルにおいてみだりに「BORDEAUX」の表記を使用しており、その違法行為による被害総額は38万5,900人民元であった。

  検査機関は、菲桐社による上述の権利侵害商品を製造販売する行為は《商標法》第五十七条第一号で定める権利侵害行為にあたるとした。当事件では関係する商品の数が多く、被害金額も大きいことから、すでに刑事訴追の基準に達しており、検査機関は同事件を公安へ移送している。

  2020年6月4日、上海市浦東新区人民法院は法に基づいて刑事判決を下し、被告人である菲桐社については登録商標冒用罪にあたるとして罰金10万元に処した。被告人の諸葛某(菲桐社の実際の経営者)については登録商標冒用罪にあたるとして、懲役1年6个月、執行猶予1年6个月、罰金5万元に処した。押収した商標冒用のワインは没収となった。被告人の諸葛某については執行猶予期間内に食品の製造、販売、及び関連の活動に従事することを禁止した。

  専門家のコメント:

  地理的表示とは特定地域にとって貴重な資源であり財産である。地理的表示を偽造した商品を製造販売することは地理的表示のイメージを著しく傷つけ、特定地域の生産者の競争優位性などの合法的な権益を著しく侵害するものである。地理的表示の保護は、我が国の知的財産権保護に係る国際条約義務の履行を体現するものであり、また、我が国が農村振興戦略を推進する上でも重要な取り組みである。《刑法》第二百一十三条の登録商標冒用罪の侵害の客体には団体商標と証明商標は含まれてないと見る向きもある。だが、当事件の取締りによって、実証的な面から地理的表示の団体商標が登録商標冒用罪の侵害の客体になることが明確になった。そして、我が国が国内外問わず地理的表示の商標を「平等に守る」ことが体現されたほか、我が国の商標行政にかかわる法執行のための地域間協力メカニズムが有効に運用され、商標にかかる行政法執行と刑事司法とが効果的に連携されていることが示された。(江西省撫州市人民代表大会法制工作委員 黄璞琳)

 

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