北京市知識産権局が「バランススクーター(ミニ)」意匠権侵害紛争事件を処理

2021-12-21

  事件の概要:

  申立人の納恩博(北京)科技有限公司(以下、納恩博公司という)は、2016年1月に名称を「バランススクーター(ミニ)」とする意匠権(専利番号ZL201530316168.9)を取得した。当該専利権は申立人が権利侵害紛争処理の申立てを提起した時点で適法的かつ有効であった。

  申立人は、杭州錦鋒智能科技有限公司、杭州傑沢貿易有限公司、深圳市飛特威科技有限公司など複数の被申立人が電子商取引プラットフォームで販売しているバランススクーター製品が係争専利権の保護範囲内であることを発見し、北京市知識産権局に専利権侵害紛争処理の処理を申立てた。2019年3月18日、北京市知識産権局は法に基づいて一連の事件を受理し、被申立人および権利侵害で訴えられた製品の型番を対象に計20件立件した。被申立人は、権利侵害で訴えられた製品は係争専利と比べて大きな違いが存在し、権利侵害で訴えられた製品と係争専利との共通点はいずれも先行意匠によって公開されており、係争専利の意匠要点ではなく、権利侵害で訴えられた製品と係争専利との相違点は共通点に比べて全体的な視覚効果に対してより影響があり、権利侵害で訴えられた製品と係争専利とは同一でも類似でもなく、権利侵害を構成しないと主張した。

  審理の結果、北京市知識産権局は、バランススクーター系の製品は車体、車輪、制御レバーおよびハンドルからなるデザインがよく見られるものであると判断した。係争専利における車輪の直径とレッグ制御レバーの長さの比例関係により形成される全体的な小型軽量の視覚効果は、先行意匠には現れたことがなく、革新的なデザイン的特徴に該当し、このような小型軽量のデザインスタイルは一般消費者により深い印象を残し、識別性を有する。権利侵害で訴えられた製品と係争専利の関連部位におけるデザインの特徴は基本的に同一である。「全体的な観察、総合的な判断」の原則に基づき、権利侵害で訴えられた製品は専利製品と比べて明らかな違いがなく、全体的な視覚効果において実質的な差異はなく、類似意匠に該当する。北京市知識産権局は、上記の被申立人の権利侵害行為が成立すると認定し、係争意匠権を侵害する製品の販売を直ちに停止するよう命じた。

  典型事例の意義:

  本件はインターネット、電子商取引プラットフォーム上で発生した集団的権利侵害事件に該当する。北京市知識産権局は法に基づいて立件し、本行政区域内で同一の専利権を侵害していた20件の事件を統合して処理し、「全体的な観察、総合的な判断」の原則に基づき、権利侵害で訴えられた製品と専利製品を比べて全体的な視覚効果に実質的な差異がなく、類似意匠に該当すると判定し、意匠権侵害紛争の行政裁決を遅滞なく下した。近年、インターネット販売に係る権利侵害事件が頻繁に発生しており、その危害性と専利権者の権益保護の難しさは無視できず、中国の知的財産権保護プロセスにおける待ったなしの新たな問題になっている。この一連の事件の迅速的かつ効率的処理は、今後のこのような事件の処理にとって参考となる。(江蘇省知識産権研究センター研究員陳蘇寧)

 

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